名曲案内〜交響曲編W〜

(ブラームス〜プロコフィエフ)



    
  やはりクラシックの華といえば大編成のオーケストラによる交響曲(シンフォニー)でしょう。
  日本のコンサートのプログラムでは常にメインに陣取る大曲ばかりです。
  クラシック鑑賞は、交響曲に始まり交響曲に終わるといってもいいでしょう。 

ブラームス     ・ブルックナー     ・プロコフィエフ


交響曲編T(サン=サーンス〜シューベルト)へ     ・交響曲編U(シューマン〜チャイコフスキー)へ

交響曲編V(ドヴォルザーク〜フランク)へ     ・交響曲編X(ベルリオーズ〜ベートーヴェン<運命>)へ

交響曲編Y(ベートーヴェン<田園>〜<合唱>)へ     ・交響曲編Y(マーラー〜メンデルスゾーン)へ

      ・交響曲編[(モーツァルト〜ラフマニノフ)へ



   
☆ブラームス
作品NO.43 交響曲第1番 ★★ 2015年7月最新更新
 
  ブラームスの芸風は、その渋い旋律とロマンティシズムにあります。彼は4つの交響曲を書きました。
 後になるほど音楽は深刻で、暗さを帯びてくるのですが、いずれも名作です。
 とりわけ、この「ブラ1」はブラームスの交響曲の中でも最もポピュラーな作品で、ファンも多いです。
 慎重なブラームスは、構想に、何と20年もかけてこの交響曲を作曲しました。
 なのですが、ブラ1は彼独特の暗さがあまりなく、ベートーヴェンに次ぐ「第10交響曲」とまで言わ
 れていまして、(第4楽章に、ベートーヴェンの「第九」の「歓喜の歌」のテーマを、ブラームスが意 
 図的に引用した部分があります)、情熱とロマンティシズムに満ちた傑作です。第4楽章のフィナーレ
 はベートーヴェンのように勝利の曲となります。
 ブラームスはネクラな性格ですので(詳しくは「作曲家列伝」をご覧下さい)、そういう意味では、ブ
 ラームスの代表的な作品なのにもかかわらず、他のブラームスの作品とは趣が違います。
 ブラームスの交響曲入門用としては、このブラ1かブラ4と言われていますが、「ブラームスの作風」
 を知るには、4番の方が相応しいと私は思うのです。

全楽章(パーヴォ・ヤルヴィ指揮)
 ☆推薦盤☆   ★◎ミュンシュ/パリ管弦楽団(68)(エラート)        SS 超お薦め!    ▲カラヤン/ベルリン・フィル(87)(グラモフォン)      A    ○カラヤン/ベルリン・フィル(87)(グラモフォン) 全集   A お薦め!    ブラ1とベルリオーズの「幻想交響曲」だけはミュンシュの演奏が断然のトップです。    近年、音質の改善のおかげなのか、ますます評価を挙げています。SS評価です。    ブラ1においてもその雄大なスケールといざという時の迫力、情熱が素晴らしいです。    ティンパニの強打も非常に効果的で、しかも楽章によっては憂いを帯びた弦の表情も素晴らし    いです。    また、フィナーレは最高にドラマティックで、ブラ1はこれ1枚あれば充分という、古くから    の愛好者も多い不滅の名盤です。    それに続くのはカラヤン盤。ベルリン・フィルの機能を活かしきっているようで、オケの厚み    はミュンシュ盤以上。ロマンティックな歌わせ方はミュンシュ盤にも匹敵するのでは。    1番下のカラヤンのブラームス交響曲全集は、A評価の第1番、第2番、第3番が入っている    にもかかわらず、何と2500円というお安さ。第4番は残念ながら無評価ですが、2枚で計    3600円をかけて第1番から第3番までを揃えるのならば、明らかにお得な全集です。    <更新のポイント> B評価のバーンスタイン盤を外しました。
作品NO.44 交響曲第2番 ★★★ 2017年1月最新更新
 
  「ブラ1」に次ぐこの「ブラ2」はまだそれほどブラームス特有の暗さが出てはいない作品です。
 ブラームスの交響曲をすべて聴こうという方は、ブラ2を最後に聴くことになる方も多いです。
 ブラームスの交響曲4作品の中では、「隠れた名作」的な作品です。ブラームスが好きな私個人的にも、
 他の3つの交響曲よりはどうしても地味な印象です。
 構想に20年を費やした「ブラ1」とは対称的に、わずか3ヶ月で書き上げた作品です。
 この作品は「ブラームスの田園交響曲」と呼ばれますように、明るく牧歌的な雰囲気を持っていますが、
 かつブラームスチックな甘美な旋律も随所にみられます。第1楽章の、ヴァイオリンやチェロが奏
 でる哀愁に満ちた旋律を是非下のリンクからお聴き下さい。
 第1楽章は牧歌的かつ詠嘆的な曲で、まさにブラームス的な魅力満載です。第2楽章は、ブラームスの
 内面を吐露するかのような曲で、中間部でのヴァイオリンの痛ましいほどの響きが何とも印象的です。
 第3楽章は非常に牧歌的な曲で、この楽章が「田園交響曲」と呼ばれるゆえんなのでしょうか。
 第4楽章は「ブラ1」と同様、情熱的なフィナーレとなります。
 ブラームスの交響曲4作品の中では最も明るく、美しい自然の中で書いたと言われる作品です。
 ちなみに、「田園交響曲」と呼ばれてはいますが、ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」のように、
 田園の風景を描写するような場面はありません。

第1楽章(ハーディング指揮)
 ☆推薦盤☆   ◎アバド/ベルリン・フィル(88)(グラモフォン)         S       ・ヴァント/北ドイツ放送交響楽団(96)(RCA)  全集     A       ・ヴァント/北ドイツ放送交響楽団(96)(RCA)  全集     A   ▲カラヤン/ベルリン・フィル(86)(グラモフォン)        A    ・ジュリーニ/ウィーン・フィル(91)(グラモフォン)       A    ・ジュリーニ/ウィーン・フィル(91)(グラモフォン)       A       ○カラヤン/ベルリン・フィル(86)(グラモフォン) 全集     A お薦め!      アバド盤が抜け出していまして、SS評価にしてもいいほどです。    このCDは元々、なぜか輸入盤しかなかったのですが、2011年にようやく国内盤が発売さ    れました。しかもSHM−CDです。アバドの音楽性が存分に活きた格調高いブラームスで、    流麗なことこの上なく、陰鬱さのない、純音楽的な名演と言えます。    ヴァント盤は、ブラ2だけの分売は元々なかったのですが、ついに廃盤にまで至ってしまいま    した。推薦盤の上から2番目は国内盤の全集ですが廃盤中で、3番目の輸入盤も廃盤中です。    ブラ2の演奏自体ならば個人的にはお薦め度◎にしたいのですが…。    簡単に特徴を書きますと、スマートさや派手さを排除した、ドイツの巨匠ヴァントならではの、    渋〜いブラ2です。常に愁いを帯びていて、詠嘆に満ち、味わい深さでは、アバド、カラヤン    よりも上で、聴くほどに魅力を増す、最もブラームス的な演奏なのではと思っています。    カラヤンはアバド盤よりも力感に溢れる演奏です。    旋律の歌いは抜群で、かつ力強い演奏となっています。その分、ヴァントのような詠嘆的な要    素には乏しいです。なお、カラヤンのブラ2の録音は他にもありますので、ベルリン・フィル    との86年盤ということでお間違えのないようにお気をつけ下さい。同じく名演の、ブラ3と    のカップリングという点は、非常にありがたく、それを考慮すれば◎にしたいほどです。    ジュリーニ盤は、テンポも緩やかで、落ち着いた中でブラームスの音楽を堪能できるという点    では素晴らしいのですが、カップリング、お値段などを考慮しますと、CDとしてはあまりお    薦めできないところですし、現在は国内盤、輸入盤共に廃盤中です。    1番下のカラヤンのブラームス交響曲全集は、A評価の第1番、第2番、第3番が入っている    にもかかわらず、何と2500円というお安さ。第4番は残念ながら無評価ですが、2枚で計    3600円をかけて第1番から第3番までを揃えるのならば、明らかにお得な全集です。    <更新のポイント> ベーム盤を外し、ジュリーニ盤を追加しました。  
作品NO.45 交響曲第3番 ★★★ 2015年7月最新更新
 
  「ブラ3」はブラームスの交響曲4作品の中では後期にあたり、彼独特の「暗さ」が出始めている作品
 です。ロマンティシズムに溢れ、哀愁を帯びた名作です。
 確かに「ブラ1」はベート−ヴェンのように情熱的な作品であるために、ブラームスの交響曲の中でも
 一際ポピュラーなのはうなずけます。暗い曲がお好きでない方にとってはなおさらでしょう。
 けれども、私のようなブラームスファンは、暗いながらも哀愁がたっぷりとこもったこの作品の魅力は
 たまりません。そこがブラームスの音楽の最大の魅力なのではないでしょうか。
 古くから、愛好者の多い作品ではありますが、一方、ブラームスと相性が合わない方には無縁の作品と
 も言えます。
 彼の深い味わいを求めるファンは、「ブラ4」とこの「ブラ3」を好む傾向にあります。
 第3楽章はこの楽曲を象徴するかのような甘美な曲で、殊更に哀しく美しいのです。

 
第1楽章     第3楽章(フルトヴェングラー指揮)
 ☆推薦盤☆    ▲カラヤン/ベルリン・フィル(88)(グラモフォン)         S    △ヴァント/北ドイツ放送交響楽団(95)(RCA)          A    ○フルトヴェングラー/ベルリン・フィル(49)(ワーナー)      A お薦め!    S○・フルトヴェングラー/ベルリン・フィル(49)(ワーナー)      A    ◎カラヤン/ベルリン・フィル(88)(グラモフォン) 全集      A お薦め!       ブラ3にはこれというCDがありませんが、その中でカラヤン盤が一歩抜け出しています。    カップリング、演奏そのものや録音の質等を考えると、最もお薦めです。    第1楽章のぶ厚さはさすがにベルリン・フィルの機能を活かしきっていますし、第3楽章の哀    愁に満ちたロマンティシズムの表現も良好。第4楽章の迫力も素晴らしいです。ただ、ここに    ご紹介している他の演奏に比べれば、やや表面的な演奏に感じられないこともないかも。    もちろん、第一のお薦めは4楽曲で2000円強のお得な全集の方です。。    ヴァント盤は、分売されていますので、国内盤が入手できます。いかにも彼らしい、巨匠風、    ドイツ風のブラームスです。ブラ2同様、効果を狙わず、哀愁に満ち、頑固なまでに詠嘆的な    スタイルの演奏です。その意味では第4楽章など若々しさやダイナミズムはないかもしれませ    んが、ブラームスの深い味わいを醸し出しており、カラヤンの、ややもすると勢いに任せた様    な演奏を嫌う方は絶対にこちらでしょう。    ブラームスの交響曲4作品において、元々明るい「ブラ1」以外でトップ評価を受けている演    奏は皆スマートで、ブラームス的な「暗さ」がない演奏となっています。そして、評論家筋で    もそのような演奏、つまり、「ブラームスらしさ」を排除した演奏が高評価を受けている傾向    にあります。「ブラームス的な暗さがない!」ということで高評価につながっています。    なぜでしょうか。ブラームスファンは、ブラームスの音楽には「ブラームスらしさ」があるか    らこそ聴きたいと思うのですが…      カップリングの「ブラ1」は無評価で、全集は今廃盤中です。    フルトヴェングラー盤は、彼の持ち味が存分に発揮された凄演で、今でも堂々のA評価に値す    る歴史的名盤です。音質は悪いですが、内容主義の演奏で、戦慄がほとばしり、猛烈なダイナ    ミズムやうねりと共に迫りくる音楽の畏ろしさ、ヴァイオリンの痛ましいまでの悲痛な叫び。    全くもって芸術的なスケールは巨大としか言い様がなく、この作品を愛する方には必聴の名盤    で、世紀の大指揮者フルトヴェングラーのベスト演奏の一つとも言われているほどの演奏です。    音質は古く49年録音ですが、再発売によって、やや音が鮮明になり、拡がりもあり、若干良    化されていますので、それほど鑑賞に差支えはないと思われます(初心者の方にはどうでしょ    うか)。    第3楽章は素晴らしいです。ポルタメントを駆使して弦の表情は常にロマンティシズムの雰囲    気を漂わせながら、音符を1つ1つかみしめながら進行していくかのようです。    上のリンクは、フルトヴェングラー&ベルリン・フィルの演奏のようですが、同じ音源かは分    かりません。しかし、映像がこの曲にマッチし過ぎていて、私には言葉が出ません。「CLASSI    C MUSEUM」でリンクしている映像の中でも1番と言っていいほどです。世界中のどなたかが編    集したものですが、この「第3楽章」に共感できる方には、これ以上ないと言えるほどの編集    となっています。投稿して下さった方に感謝です。    真価が発揮されているのは第4楽章でしょう。他の演奏を聴いた後ですと、これほどまでに劇    的な解釈があったのかと、新たな発見すらあり、さすがはフルトヴェングラーと、有無を言わ    さず納得させられてしまいます。これが歴史的名盤の神髄というものなのでしょうか。彼は主    観主義の指揮者ですが、ドイツの伝統的な演奏法の継承者でもあります。こういった精神性重    視のブラームスは、いつのまにかどこかへ忘れ去られていってしまったのでしょうか。もはや、    現役の指揮者では聴けない演奏ではないでしょうか。それが、録音が古いのにトップ争いをし    ている要因でしょう。    演奏自体は、本音はお薦め度★にしたいのですが、音質とカップリングなどを考えると、初〜    中級者の方には録音が古く、そこまでお薦めしづらいところがツラいですね。下のリンクは、    「ブラ2」とカップリングされたSACDです。    <更新のポイント> カラヤン盤をS評価にしました。  
作品NO.46 交響曲第4番 ★★★ 2017年1月最新更新

  数ある交響曲の中でも、人気はトップクラスの交響曲。ブラームス特有の暗さに満ちている作品ですが、
 チャイコフスキーの「悲愴」のように深刻な暗さはなく、哀愁の込められた甘美な旋律とロマンティシ
 ズムに溢れたブラームスの代表作です。ぜひ下のリンクからお聴き下さい。
 特に、第1楽章の冒頭からの哀感に満ちたヴァイオリンによる第1主題と、チェロによる第2主題は、
 ブラームスファンならずとも惹かれるものがあるのではないでしょうか。
 ブラ1よりもブラームスらしい作品で、彼の交響曲を聴き始める方は、まずこの「ブラ4」から聴き始
 めるのもお薦めです。
 古くからトスカニーニムラヴィンスキーなど往年の大指揮者達も揃って録音している有名曲であるた
 め、録音の数は相当数になるようです。

第1楽章(「晩年の」クライバー指揮)
 ☆推薦盤☆   ◎カルロス・クライバー/ウィーン・フィル(80)(グラモフォン) SS 超お薦め!    ○フルトヴェングラー/ベルリン・フィル(48)(ワーナー)     A お薦め!  S○・フルトヴェングラー/ベルリン・フィル(48)(ワーナー)     A   B2▲ワルター/コロンビア交響楽団(59)(SONY)         A    万人向けの、SS評価でお薦め度★のクライバー盤があります。音楽は常に緊張感を保ちなが    らも、かつ流麗で、クライバーの天才的な音楽性が満喫できます。深刻になり過ぎず、かとい    ってブラームスの味わいにも欠けていない絶妙なバランスの演奏。格調も高いです。第1楽章    に漂う哀愁、第2楽章、第4楽章での、ブラームス風のナイーブな表現も抜群。最も完成度の    高い演奏、いえ、完璧に近い演奏とも言えるかもしれません。クライバーの代表盤の1枚で、    人気抜群のCDです。    フルトヴェングラー盤は彼ならではの主観的な演奏で、第1楽章冒頭の1音目から、既に彼の    伝家の宝刀、デフォルメが炸裂しています。特に第1楽章、第4楽章に見られる尋常でない興    奮度は、もはやブラームスという音楽を越えて芸術性満点。絶えず音楽からいのちが噴き出し    ています。ここまでの領域に達すると、フルトヴェングラーだけが創りうる世界で、クライバ    ーだけでなく、誰もかなわないでしょう。極めて人間的でドラマチック。これぞフルトヴェン    グラー、これぞ歴史的名盤の神髄と、まさに頭が下がる思いです。48年という録音が、かえ    って凄みを助長させているかのように聴こえますが、鑑賞用としてはギリギリの音質でしょう    か。下のリンクはハイブリッドSACDです。お好みでどうぞ。    この二つの演奏は、スタイルが違うので甲乙つけがたいです。初めて聴く方には無難にクライ    バー盤をお薦めしたいですが、ぜひ両方聴いて頂きたいものですね。    ワルター盤は陰鬱な表現のない演奏なので、凄みはないですし、ブラームス的でないと嫌う方    がいらっしゃるかもしれません。ブラームスの暗さが苦手な方にはお薦めの、詠嘆に満ちた純    音楽的な名演というスタイルです。    「ブラ4」と言えば、以上の3つの演奏が「定盤」です。 <更新のポイント> フルトヴェングラーのCDの入れ替え(更新)をしました。
☆ブルックナー
作品NO.54 交響曲第4番「ロマンティック」 ★★★★ 2017年1月最新更新

 ブルックナーの交響曲の中では、第7番あたりと並んで、最も親しみやすいのが、この第4番とされて
 います。ですが!ブルックナーの音楽を聴いたことのない方が注意しなければならないのは、この交響
 曲もブルックナーの音楽には変わりはないということです。「ロマンティック」という副題は作曲者が
 つけたもので、作曲されたのもロマン派の時代となれば、いかにも勘違いをしてしまうでしょうが、ブ
 ルックナーの交響曲は、ベートーヴェンブラームスらの交響曲とは全く違います。
 「ロマンティック」という名前につられて興味半分でこの作品を聴いてしまったら、訳がわからなくな
 ってしまうこと必至です。上級者の方でも苦痛にしか感じないかもしれません。
 確かにブルックナーの交響曲の入門用にいいとは思いますが、今までのロマン派の交響曲という概念を
 捨てて、「ブルックナー」の交響曲とはどういうものかを知ろうという覚悟で聴く必要があります。
 作曲者自身が、この曲は中世の騎士が狩に出かけ、大自然に触れることをイメージして聴くのが良いと
 言っているだけに、初めて彼の交響曲を聴く方は、ぜひこのイメージを大切に、ブルックナーの音楽と
 いうものがどういうものなのかを理解して頂ければと思います。「ブル4」を聴いて、ブルックナーの
 交響曲に興味を感じたら、次は第8番か第9番でブルックナーの核心に触れて頂きたいです。
 なお、「ブル4」はブルックナーの交響曲の中期の作品とされていますが、他の中期の作品や後期の作
 品とはやや趣が異なります。
 牧歌的、耽美的な要素が強い作品となっています。

全楽章(アバド指揮)
 ☆推薦盤☆  B2★◎ヴァント/ベルリン・フィル(98)(RCA)          SS 超お薦め!  S○・ヴァント/ベルリン・フィル(98)(RCA)          SS   ○アバド/ウィーン・フィル(90)(グラモフォン)         A    ・ハイティンク/ウィーン・フィル(85)(デッカ)         A    ▲ベーム/ウィーン・フィル(73)(デッカ)            B    ブルックナーの交響曲と言ったら、ヴァントの演奏でお決まりというのが、クラシック界の定    説となっていると言ってもいいくらい、最晩年にベルリン・フィルと録音したブルックナーの    交響曲は、いずれも各交響曲のベスト1級の評価を得ています。これにより、ヴァントはクラ    シックの歴史上最高のブルックナー指揮者としての名を不動のものとしました。    この第4番でも堂々のSS評価。細部の繊細さから強音部分までのバランスは、絶妙の一言で、    90歳を目の前にしたヴァントの神業に頭が下がる思いです。当然★で第一のお薦めです。    ハイブリッドSACDもあります。    他に3つお薦めしますが、アバドベームはブルックナーの交響曲のお薦め盤に登場すること    は珍しいです。それはおそらく、「ブル4」が、他の作品と比べて牧歌的、耽美的な要素が強    いからだと思われます。    アバド盤は、イタリア生まれのアバドらしく、ドイツ的というよりはイタリア的なアプローチ    となっています。「ブル4」ゆえに成功しているのでしょう。彼の音楽性が活き、みずみずし    く、透明感のある響きで純音楽的に美しい演奏です。SHM−CDです。上のYOUTUBEへのリ    ンクは「ウィーン・フィル」とのものですが、同じ音源かは不明です。    ハイティンクはどちらかというとブルックナーが得意な指揮者ですが、美しい表情付けなどが    作品とマッチしていまして、この作品でも高評価を得ています。しかし国内盤、輸入盤共に廃    盤中のようです。あればお薦め度○にしたいくらいです。    ベームの演奏はまるでベートーヴェンの交響曲第6番「田園」のようです。耽美的な表現がマ    ッチしています。お薦め度は▲にしましたが、演奏そのものは私個人的にはアバド盤に匹敵す    ると思っています。    <更新のポイント> ヴァントのハイブリッドSACDを追加し、ベーム盤の評価をAから              Bに下げました。 
作品NO.55 交響曲第5番 ★★★★★ 2016年5月最新更新

 ブルックナーの音楽は特殊です。とても初心者の方が聴く音楽ではありませんし、かと言ってよほどの
 クラシック上級者の方でも時間がかかります、また、相性が合わないと駄目です。それは、音楽を聴い
 ているだけでは、作曲者が何を言いたいのかが解りにくいのが原因です。
 「ブルックナーの音楽の本質」については、このページに紹介してある第8番の方をお読み下さい。
 この第5番は、ブルックナーの9つの交響曲の「中期」にあたる作品ですが、非常に難しい音楽でして、
 ブルックナーを初めて聴く方がこの曲から聴きはじめたら、まず挫折するでしょう。挫折するどころか、
 ブルックナー自体、いえ、最悪、クラシック音楽をも嫌いになってしまう可能性があります。その点に
 はくれぐれもご注意下さい。ブルックナーをとにかく聴き込んだ方のみが、この曲を聴く権利を与えら
 れるようなもので、聴き込んだ方でさえ、この「ブル5」を理解するのには時間がかかるでしょう。
 第8番、第9番を聴きこんで「ブルックナーの音楽の本質」を理解していることがまず前提となるので
 はないでしょうか。全くもって大衆性のない作品です。
 「ブル5」は重厚、壮大、まるで大伽藍のようで、音による巨大な建造物を彷彿とさせます。まさにブ
 ルックーの世界です。
 いつかこの曲が理解できたのならば、めでたくブルックナーは卒業と言ってもいいでしょう。
 あるいは、まだまだブルックナーを聴きたいという方は第0番(本当にあります)〜第2番などいかが
 でしょうか。

第4楽章「フィナーレ」途中より(何とヴァント指揮!)
 ☆推薦盤☆ S○★◎ヴァント/ベルリン・フィル(96)(RCA)            SS 超お薦め!    ○ヨッフム/アムステルダム・コンセルト・ヘボウ(64)(デッカ)    A    ▲ヨッフム/ドレスデン国立管弦楽団(80)(ワーナー)         A  S○・アーノンクール/ウィーン・フィル(02)(RCA)          A    ・アバド/ウィーン・フィル(93)(グラモフォン)           A    ヴァント盤は、このCDによってヴァントがクラシックの歴史上最高のブルックナー指揮者と    して評価され始めたきっかけのCDでもあります。その後ブルックナーの録音をする度に評価    を高めていきました。そんなヴァントのブルックナー録音の中でも一際優れた演奏として名高    い1枚です。現在はハイブリッドSACDで、Blu-specCD2盤などはありません。    ヴァント自身も、「第5番」と「第7番」をブルックナーの最高傑作と評しています。    ヨッフム盤には新旧2枚ありまして、旧盤は、ヴァント盤が出る前は「ブル5」のベストCD    とされてきました。私個人的にはあまり違いを感じませんので、旧盤を○としておきました。    ヨッフムはブルックナーが得意な指揮者です。ヴァントの音楽は繊細、丁寧なだけに、それが    人によってはしつこく感じられることがあるようなのですが、重厚でかつ軽快な印象で、開放    感があるのが特徴です。もちろん、「ブル5」でも、細部のデリケートさは失っていません。    時に、「ブル5」でもそうなのですが、あっさりとしていてイマ一つ堪能できない面もありま    す。それがヨッフムの演奏の欠点です。    どうしてもヴァントの演奏に抵抗を感じる方にはヨッフムの新旧2枚がお薦めです。    アーノンクール盤は、賛否両論のようです。私は明らかに後者です。他のどの推薦盤でも聴く    ことができないものも部分的にはありますが、ちょっと相性が悪いのではないかと思われます。    この作品のファンの方は一度は聴いてみる価値はあるかもしれませんがお薦めはしません。    2枚組で、2枚目がリハーサルだけというユニークなハイブリッドSACDです。    アバド盤は、悪い演奏ではないのですが、ブルックナー、あるいは「ブル5」ということを考    えますと、ズレを感じます。「ブル4」とは相性はいいと思われるのですが…。    推薦盤にあるのは再発売されたCDで、まだ同じ音源かの確認がとれておりませんが、いずれ    にしてもお薦めはしません。           <更新のポイント> ヴァントの輸入盤、クナッパーツブッシュ盤を外し、アーノンクール              盤、アバド盤を追加、ヨッフムの新盤の入れ替えをしました。
作品NO.56 交響曲第7番 ★★★★ 2017年1月最新更新

 ブルックナーの交響曲は9曲ありますが、第7番、第8番、第9番は後期の3曲と称されます。第8番、
 第9番がブルックナーの音楽の核心だと私は思いますが、第7番は第4番と共に、その2曲よりもとっ
 つきやすく、演奏頻度も高いと言われています。
 ブルックナーの交響曲を聴くには、まずは第8番から入って頂くのが私はベストだと思いますが、第7
 番の第2楽章は名作で、ブルックナーにあまり親しんでいない方も聴けると思います。この曲は作曲者
 が、かのワーグナーの死の予感のうちに書かれた葬送行進曲ですが、もちろんベートーヴェンの「英雄」
 の第2楽章などとは違い、至って宗教的なブルックナーの世界です。非常に荘厳、美しい祈りに満ちた
 曲ですので、この楽章を聴いて少しでもブルックナーの音楽に共感できた方は、是非とも第8番を聴き
 こんで頂きたいです。
 既に第8番、第9番を聴きこんだ方には、フィナーレ(第4楽章)が今一つ物足りない分、やはり聴き
 所は第2楽章なのではないでしょうか。

第2楽章(ヨッフム指揮)
 ☆推薦盤☆  B2★◎ヴァント/ベルリン・フィル(99)(RCA)        SS 超お薦め!  S○・ヴァント/ベルリン・フィル(99)(RCA)        SS   ○カラヤン/ウィーン・フィル(89)(グラモフォン)      A   ▲ジュリーニ/ウィーン・フィル(86)(グラモフォン)     A    ヴァント&ベルリン・フィルの一連のブルックナーの録音は、ほぼすべての曲においてベスト    の評価を受けていますが、特にこの第7番の演奏が最高傑作という人は少なくありません。    ヴァントの繊細、細やかなスタイルは、この第7番のような曲には相性がピタリと合っていま    して、神業という他ない演奏です。特に第2楽章の深い瞑想と祈りに満ちた表現は特筆すべき    だと個人的にも思います。神への祈りを聴くような演奏です。ハイブリッドSACDもありま    す。    カラヤン盤は、「ブル8」とは相性が悪いと私は思いますが、この作品とは良いのではないで    しょうか。少し表面的な美しさに聴こえてしまう面が無いとも言えませんが、崇高な祈りを美    しく奏で、かつ重厚な部分ではブルックナーそのものと言ってもいいほどの宇宙的な拡がりを    見せています。お薦め度○にしました。    そしてこのCD、何と、膨大な録音を遺したカラヤンの最後の録音でもあり、記録としても価    値があるCDです。    ジュリーニ盤は、「ブル8」「ブル9」と同じことが当てはまります。ジュリーニの音楽に対    する真摯な姿勢が演奏にも表れていて、第2楽章などは上記2つの演奏にも匹敵するのではな    いかと思われるほどです。    CDは以上3種類のご紹介ですが、いずれも素晴らしい演奏です。    <更新のポイント> ヴァントのハイブリッドSACDとジュリーニ盤を追加しました。
作品NO.57 交響曲第8番 ★★★★★ 2017年1月最新更新

 第9番と共に、交響曲だけでなく、あらゆるクラシック音楽の作品の中でも最高傑作の一つとの誉れが
 高い作品です。私自身も交響曲の中でベートーヴェンの「第九」以上の、ベストの作品だと思います。
 しかし、ブルックナーの交響曲は、初心者の方には分かりにくいです。真価が分からないと、これとい
 った旋律もなく、非常に長いですので、ただの苦痛になってしまうでしょう。そうなるとクラシック音
 楽自体が嫌いになる恐れがありますので、初心者の方は手を出さないで下さい!私も初めの頃はブルッ
 クナーが全く分かりませんでした。これがなぜ交響曲の中で最高傑作の一つなのか、不思議で仕方あり
 ませんでした。しかしある日、突然その真価が分かり、以来ブルックナーの愛好家になってしまったの
 です。
 上級者の方向けですが、さすがの上級者の方でも初めは退屈で仕方ないと思います。ですが、ブルック
 ナーを愛するファンは誰もが通って来た道ですので、いつかその魅力が分かるはずです。あまりにも勿
 体無い話ですので、食わず嫌いだけはやめて欲しいのです。それでも、どうしてもダメという方はブル
 ックナーとは無縁でしょう。誰にでも共感できる音楽ではありませんので、それ以上聴くのは苦痛でし
 かないと思われます。
 ブルックナーの交響曲で一般的に最もポピュラーなのは第4番「ロマンティック」ですが、ブルックナ
 ーの魅力に満ちた、この「ブル8」から入るべきではと私は思っています。
 ブルックナーの交響曲は、作曲者の言いたいことが分かりづらいので難しいです。それに、後述するよ
 うに、ブルックナーと相性のいい指揮者の演奏に巡り合っていないのも原因なのではないでしょうか。
 ブルックナーの本質は、悠久な大自然と、限りある生命の明滅、時には人間業を超える自然の怖ろしさ、
 そして大自然、大宇宙、生命を創造した神に対する崇高な祈りと畏敬の念などです。これらが音楽から
 感じ取れればブルックナーが解るようになるでしょう。一貫して、人間世界とはかけ離れているのがブ
 ルックナーの音楽です。
 「ブル8」の第3楽章は言語を絶する音楽美による陶酔的な音楽で、大自然の崇高な美しさに身を浸す
 ことができます。前半部のハープが奏でる部分は、清らかな川の流れ。これだけ陶酔的な音楽は他に例
 がないでしょう。
 第4楽章のフィナーレもブルックナーの音楽の魅力満点でして、印象的な冒頭からしてまさにブルック
 ナーの世界です。この冒頭は再現部で繰り返されますが、この部分だけでも頭に残るようになれば「ブ
 ル8」への理解はぐっと深まるはずです。そして最後にはアルプスの威容が眼前に立ちはだかります。
 壮大なクライマックスとなります。
 これら第3、第4楽章が「ブル8」の核心ですので、初めて聴く方はこの2つの楽章だけでよいのでは
 ないでしょうか。
 なお、ブルックナーの音楽には人間のドラマは存在しないため、その点を理解している相性のいい指揮
 者でないと、とたんに音楽が壊れてしまいます。作為的な演出をした途端に、大自然の音楽では無くな
 ってしまいます。
 詳しくは「名作曲家列伝」のブルックナーの項を御覧下さい。

第3楽章(ヴァント&北ドイツ放送響)  第4楽章(ヴァント&北ドイツ放送響)
 ☆推薦盤☆   B2◎ヴァント/ベルリン・フィル(01)(RCA)            S↑SS 超お薦め!  S○・ヴァント/ベルリン・フィル(01)(RCA)            S↑SS   △カラヤン/ウィーン・フィル(88)(グラモフォン)          S↓A    △フルトヴェングラー/ベルリン・フィル(49)(ワーナー)         A  S○・フルトヴェングラー/ベルリン・フィル(49)(ワーナー)         A    △ハイティンク/ウィーン・フィル(95)(デッカ)             A    ▲ジュリーニ/ウィーン・フィル(84)(グラモフォン)           A    ☆クナッパーツブッシュ/ミュンヘン・フィル(63)(ウェストミンスター)B↑A   ☆△シューリヒト/ウィーン・フィル(63)(ワーナー)            B    まず真っ先に推薦したいのは、ヴァントの新盤です。    テンポ設定、弦の表情、金管の素朴さなどが練れ切っていて、ベルリン・フィルの機能もあい    まって、最も完璧に近い演奏なのではないでしょうか。    ヴァントは93年の旧盤では緻密さが目立って息苦しい面もありましたが、この演奏では見事    に吹っ切れています。90歳を目の前にしたヴァントの進化に頭が下がるばかりです。ヴァン    トのブルックナーとしては珍しく断然のSS評価ではありませんが、私は最も完璧に近いと思    っていますので、迷うことなくSS評価にしました。ブル8の演奏に必要な素朴さ、ダイナミ    ックさ、スケール、寂寥感などの要素をすべて兼ね備えている神業的演奏なのではないでしょ    うか。    RCAのヴァント&ベルリン・フィルのブルックナーのCDとしては最後に録音されたもので、    最後の大仕事となりました。ヴァントが残してくれた遺産です。    なお、上のYOUTUBEの映像は、ベルリン・フィルとのものではなく、ヴァントの手兵、北ドイツ    放送交響楽団(NDR)とのものです。永年、ドイツ音楽を追究してきた1人の音楽家の姿が    ここにあります。    カラヤン盤は本来はS評価です。表面の美しさは特筆すべき名演なのですが、肝心な寂寥感や    侘しさがあまり感じられません。美しささえ伝わってこない演奏よりははるかに名演でしょう    が、詠嘆的な要素に乏しいです。    フルトヴェングラー盤はA評価ですが、「ブルックナー」の音楽であるのか大いに疑問です。    フルトヴェングラーは、ベートーヴェンブラームスのような人間味に溢れる曲とは抜群に相    性がいいのですが、ブルックナーもそのように演奏してしまっています。確かに他のどの演奏    よりもドラマチック、ダイナミックですので、「こういうブルックナーの演奏があるのか」と    いう意味では開眼するかもしれません。さすがフルトヴェングラーと頭が下がるかもしれませ    ん。よってお薦め度△としておきました。    ですが、ブルックナーの音楽は大自然、大宇宙の音楽でありまして、人間のドラマなど存在し    ないのですから、音楽とはズレているのではないでしょうか。そして49年という録音の悪さ    もマイナスです。ブルックナーの音楽は「響き」がいのちでして、基本中の基本の音質の良さ、    弦や金管の音色の鮮明さがないと表面の美しささえ伝わってきません。    ハイティンク盤は、カラヤン盤と同じことが言えると思います。普通の基準から言えば名演奏    です。テンポ設定も的確で、重厚な上に美しさも兼ね備えています。    けれども、寂寥感や侘しさなどの要素がイマ一つです。    ジュリーニ盤は、美しさこそカラヤン盤やハイティンク盤に劣りますが、ジュリーニの音楽観    が素直に表現されていまして、大自然に対する感謝の念、畏敬の念など、上記2つの演奏に足    りないものを持っています。スケールも巨大です。よってお薦め度▲にしました。    クナッパーツブッシュ盤は古くからこの曲の別格の演奏として名高いCDです。「別格」とい    うのは、クラシックの演奏においては、他の演奏と比較が困難なほど個性的な演奏を称する時    によく使われます。この演奏が「別格」というのは、ブルックナー演奏においてデフォルメは    タブーなため、さすがの「デフォルメの鬼」クナも極力客観的になるよう努めてはいるものの、    何もしないでいられるはずがなく、やはり所々にデフォルメがあります。特に第3楽章のスロ    ーテンポなどは、強い違和感を感じるかもしれません。そこが作為的なデフォルメになってし    まうとブルックナーの音楽はおしまいなのですが、いずれもギリギリのところで収まっており    まして、音楽を壊すまでには至っていません。デフォルメというよりは「誇張」だと私は解釈    します。古くから名高い演奏ながら、大衆向きでないということで専門家の評価ではB評価が    妥当なところなのですが、聴くたびに新たな発見がある演奏ですし、フィナーレの最後の最強    音はさすが巨人指揮者クナと言わんばかりの宇宙的大爆発。    これらの「誇張」を私は曲の魅力を増大させているととりたいのです。クナのような超個性的    な指揮者には賛否がつきものなのですが、「ブル8」は彼には貴重なステレオ録音ですし、こ    の作品に必要なスケールの大きさは疑いようもないですので、「歴史的名盤」としてご紹介し    ておきます。現在は廃盤中です。    シューリヒト盤も古くから「ブル8」の名演とされてきたのですが、今やB評価ですので歴史    的名盤としておきました。    この演奏は、「ブル9」でもそうなのですが、スケールが小さいことです。あっさりと進んで    いきますのでいかにも物足りなく感じられるかもしれません。CDも1枚です。    ですが、特に第3楽章における耽美的な表現、寂寥感、大自然の素朴さなどはブルックナーと    マッチしていますし、重苦しさが無く、気軽に聴けるという点で名演奏です。    お薦め度△として追加しておきました。        <更新のポイント> ヴァント&ミュンヘン・フィル盤を外しました。その代わりにハイテ              ィンク盤とジュリーニ盤を追加しました。            
作品NO.58 交響曲第9番 ★★★★★ 2017年2月最新更新

 第3楽章まで作曲したところでブルックナーが他界してしまいましたので、3楽章しかありません。で
 すが、内容は非常に深く、「ブル8」と共に、あらゆる交響曲の中でもベストを争う作品と言われてい
 る程の傑作です。
  3楽章しかありませんので、他のブルックナーの交響曲に比べますと演奏時間は短く、CDも1枚で済
 みますし、ブルックナーの交響曲にあまり慣れていない方にはありがたいのですが、「ブル8」に比べ
 て宗教的要素が強いですので、やはりブルックナー入門は「ブル8」からが良いと私は思います。
 私個人的には、「ブル9」の第1楽章は素晴らしいと思っています。ブルックナーの他の交響曲を含め、
 ブルックナーの魅力が解りやすくかつ聴きやすいという点ではベストの楽章だと思っています。
 ブルックナーを初めて聴く方は第1楽章を何度も繰り返し聴くのも良いと思われます。ブルックナーへ
 の理解がぐっと深まるはずです。ぜひ、下のリンクから7分だけでも聴いてみて下さい。
 一方で、第3楽章のアダージョは「ブル8」に比べると難しいと言えるのではないでしょうか。
 宗教的要素が強く、ブルックナーの奥の院といった趣ですので、じっくりと腰をすえて聴く必要がある
 でしょう。
 なお、下のアーノンクールのCDのご紹介でも触れていますが、ブルックナーは生前に、第4楽章が完
 成しなければ、同じくブルックナー作曲の声楽曲「テ・デウム」を演奏するようにと伝えていたそうで
 す。現在でも研究が進められていまして、第4楽章は実はほとんど完成していたですとか、諸説があり
 ます。それは、この「ブル9」に限らず、他の作品でも、ブルックナーが改訂癖(楽譜を複数回書きな
 おす癖)があったことと関係しています。ここでご紹介している他の交響曲でも、ほぼすべてのCDに
 「○○版」と記されていまして、楽譜が部分的に異なっています。このサイトではあえてそこまでは触
 れておりませんので、ご興味のある方はこちらを参照なさって下さい。

第1楽章前半(何とヴァント&BPO!)   第1楽章後半(何とヴァント&BPO!)
 ☆推薦盤☆ S○★◎ヴァント/ベルリン・フィル(98)(RCA)         SS 超お薦め!    ・ヴァント/ベルリン・フィル(98)(RCA)         SS  S○・アーノンクール/ウィーン・フィル(02)(RCA)       A   S○・アーノンクール/ウィーン・フィル(02)(RCA)       A    ○シューリヒト/ウィーン・フィル(61)(ワ−ナー)       A   ▲ジュリーニ/ウィーン・フィル(88)(グラモフォン)      A    「ブル9」のCDもやはりヴァント盤が決定的な名盤です。今回は★をつけました。    「ブル8」よりも宗教的要素が強いだけに、ヴァントの独壇場といった感があります。    ヴァントは緻密な音楽を創り出しますが、それが作品との相性と絡んで、独特なヴァントの世    界を形成しています。神のお告げ、神への祈りを聴く演奏と言ってもいいほどです。    上のYOUTUBEへのリンクは、同じ音源です。    CDは現在、1番上のハイブリッドSACDしかないはずです。普通のCDプレイヤーでも再    生可能です。廃盤中の通常国内盤は2番目にリンクを残してあります。    アーノンクールのCDは国内盤、輸入盤共に廃盤中です。S○で、普通のCDプレイヤーでも    再生可能なハイブリッドSACDです。    演奏は無難なものですが、むしろこのCDは、現在「断片」と言われているものを集め、2枚    組の1枚目に、第4楽章の断片の演奏が収録されている点が特徴で、価値があります。詳しく    は上をご参照頂きたいのですが、さすがアーノンクールと言える大胆な試みで、演奏記録とし    て価値があると思われます。    シューリヒト盤は、ヴァント盤が出る前、「ブル9」のベスト盤として君臨してきました。    この演奏の良さは、ヴァント盤よりもテンポが速く、気軽に聴けながらも、ブルックナーの本    質をしっかりと捉えている点です。楽器の素朴な音色はブルックナーそのもので、ヴァントの    演奏以上に解りやすいかもしれません。初めてこの作品を聴く方は、この演奏から入るのもお    薦めです。ですが、スケールが小さく、ブルックナーを聴きこんだ方には、その点がいかにも    物足りなく、淡白に聴こえるかもしれません。    お薦め度は○にしましたが、年月によって評価が落ちているのか、S評価からA評価にしまし    た。    ジュリーニ盤は、外面はある意味シューリヒト盤とは正反対で、第1楽章は極端なスローテン    ポで、極大なスケールを生み出しています。異常なほどの遅さかもしれません。第3楽章はジ    ュリーニの、真摯に楽譜と向き合う姿勢が表れていまして、いかにもジュリーニの音楽という    印象を受けます。ですが、宗教的要素などを考えますと、やはりヴァント盤でしょう。        <更新のポイント> 特に変わりはございません。
☆プロコフィエフ
作品NO.152 交響曲第1番「古典交響曲」 ★★ 2016年8月最新更新

 プロコフィエフという作曲家は1953年没の20世紀のロシアの作曲家です。交響曲というよりは、
 協奏曲や管弦楽曲で、CDやコンサートのプログラムなどでたまに見かける名前です。
 よって、初心者の方がこの作品を進んで聴こうとは思われないのではないでしょうか。もっと有名な作
 曲家は山ほどいますし、有名な交響曲も山ほどあります。私個人的にも、かなりクラシックを聴き込む
 まで、この作曲家の作品を聴こうという気すら起きませんでした。
 しかし、プロコフィエフの交響曲の中で最も有名なこの「交響曲第1番」は、初心者の方にも是非お薦
 めしたい作品です。
 と言いますのは、何と、長い楽章でもせいぜい4分少々で、音楽自体も大変優雅で、まるでバレエ曲の
 ような美しい旋律に耳を傾けていると、あっという間に1つの楽章が終わってしまいます。つまり、と
 ても聴きやすく、親しみやすい作品なのです。
 私も初めてこの作品を聴いてみて、「こんなに初心者向けの交響曲がまだあったのか」と驚きました。
 副題の「古典交響曲」というのは、ハイドンの形式、つまり古典派の交響曲様式に基づいて作曲したと
 いう意味でして、この交響曲が作曲されたのは1917年、ロシア革命の起きた年なのですが、現代に
 おける古典様式の交響曲を作ろうという意図によるものです。確かにハイドン並みに短く、聴きやすい
 です。
 しかし、クラシック上級者の方にはどうでしょう。旋律が優雅なので当然一度は聴いて頂きたい曲では
 ありますが、ロマン派の交響曲ように深みのある交響曲ではないので、飽きがきやすいかもしれません。

第1楽章
 ☆推薦盤☆    ・デュトワ/モントリオール交響楽団(88)(デッカ)       SS    ・ゲルギエフ/ロンドン交響楽団(04)(デッカ)          A   ◎プレヴィン/ロスアンジェルス・フィル(86)(デッカ)      A    ○アバド/ヨーロッパ室内管弦楽団(86)(グラモフォン)      B      デュトワ盤がまさにダントツのSS評価ですが、長らく謎のの廃盤中のままです。    ゲルギエフ盤も同じく廃盤中です。共に輸入盤もなく、完全廃盤中です。    プレヴィン盤はデュトワ盤と同じくカップリングは第5番で。お安いです。このCDを◎とし    ました。    アバド盤は、2枚組なのに1500円とお安いシリーズのものです。プロコフィエフの他の作    品も聴けますが、特筆すべきは、超SS評価の、アルゲリッチとのコンビによる同作曲家の    アノ協奏曲第3番が入っていることです。その意味ではこちらのCDの方がお薦めかもしれま    せん。           <更新のポイント> お薦めCDが完全廃盤中のため、変更しました。              推薦盤自体は変わっていません。


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