名曲案内〜交響曲編X〜

(ベルリオーズ〜ベートーヴェン<運命>)



    
  やはりクラシックの華といえば大編成のオーケストラによる交響曲(シンフォニー)でしょう。
  日本のコンサートのプログラムでは常にメインに陣取る大曲ばかりです。
  クラシック鑑賞は、交響曲に始まり交響曲に終わるといってもいいでしょう。

ベルリオーズ     ・ベートーヴェン


交響曲編T(サン=サーンス〜シューベルト)へ     ・交響曲編U(シューマン〜チャイコフスキー)へ

交響曲編V(ドヴォルザーク〜フランク)へ     ・交響曲編W(ブラームス〜プロコフィエフ)へ

交響曲編Y(ベートーヴェン<田園>〜<合唱>)へ      ・交響曲編Z(マーラー〜メンデルスゾーン)へ

交響曲編[(モーツァルト〜ラフマニノフ)へ




☆ベルリオーズ
作品NO.39 幻想交響曲 ★★★ 2017年3月最新更新

  ベルリオーズという作曲家は、この交響曲以外に目ぼしい作品は残していませんが、この作品は失恋の
 悲しみを曲に込めたもので、名作です。「恋を失った芸術家が自殺をはかってアヘンを飲むが、クスリ
 の量が少なすぎ、一連の奇怪な夢をみる」という説明がされています。病的なまでの失恋の物語なので
 す。主人公はベルリオーズ本人で、5つの楽章から成り立っています。
 第1楽章は恋人への情熱を歌ったもの、第2楽章は彼女が他の男と踊る夢をみるもの、第3楽章は散歩
 しながら恋人の幻影をみるもの、第4楽章は夢の中で恋人を殺し、断頭台へ連行される場面、第5楽章
 は死刑の後地獄へ落とされ、地獄の悪魔たちがグロテスクな踊りをおどるもの、となっています。
 まことに異常な物語ですが、感銘度は深いです。
  なお、現実には、何と、ベルリオーズはこの作品に登場する女性とめでたく結婚するに至りました。
 二人の子供ももうけました。しかし・・・。
 幸せな生活は長続きしなかったそうです。「結婚の理想と現実」を考えさせられます・・・。

全曲(バーンスタイン指揮)
 ☆推薦盤☆   ★◎ミュンシュ/パリ管弦楽団(67)(エラート)             SS お薦め!   ・チョン・ミュンフン/パリ・バスティーユ管弦楽団(93)(グラモフォン)      A   ○ミンコフスキ/マーラー室内管弦楽団&ルーヴル宮音楽隊(02)(グラモフォン)   A    「ブラ1」と並び、幻想交響曲のCDもミュンシュ盤が断然ですが、以前にも増して他のCD    との差が顕著になってきました。緊張感溢れるスピードで全曲を駆け抜けていて、その情熱と    雄弁な描写は筆舌に尽くしがたいです。これ1枚あれば他は必要ないでしょう。このCDほど    他のCDとの差が大きいものもそうそうありません。    2番手には実績のあるチョン・ミュンフン盤を挙げておきます。ミュンフンは世界的ヴァイオ    リニストのチョン・キョンファの弟で、ピアニスト兼指揮者です。現在は指揮業を中心として    いまして、よく来日もしています。現在は国内盤、輸入盤とも廃盤中です。    3番手には、一風変わったミンコフスキ盤を挙げておきました。古楽器であるルーヴル宮音楽    隊と、現代楽器のマーラー室内管弦楽団との合同演奏という点が新鮮です。ミュンシュ盤の他    にもう1枚、という方はいかがでしょうか。    <更新のポイント> 特に変わりはございません。
☆ベートーヴェン
作品NO.16 交響曲第1番 ★★ 2017年3月最新更新

 ベートーヴェンが交響曲の作曲に取り組み、初めてこの作品を完成させたのは29歳の時です。それだ
 け、長い時間をかけて構想を練ったベートーヴェンの意図が感じられます。
 この交響曲は第2番以降とは一線を画し、ハイドン古典的交響曲様式に基づいています。ですが、ハ
 イドンが、チャーミングな旋律美の交響曲を多く残したのに対しまして、この「第1番」は、様式こそ
 踏襲してはいますが、若さみなぎるベートーヴェンの、躍進力のある交響曲となっています。
 第2番とは逆に、第3番「英雄」第5番「運命」的な力強さと迫力がある作品です。
 通称「ベト1」です。

第1楽章(バーンスタイン指揮)
 ☆推薦盤☆  S○◎パーヴォ・ヤルヴィ/ドイツ・カンマー管弦楽団(06)(RCA)      S    ・トスカニーニ/NBC交響楽団(51)(RCA)             S    ・トスカニーニ/NBC交響楽団(51)(RCA)    2枚組      S     ・トスカニーニ/NBC交響楽団(51)(JBC)             S  S?・ヴァント/北ドイツ放送交響楽団(97)(RCA)            A      ○バーンスタイン/ウィーン・フィル(78)(グラモフォン)        A    ・ファイ/ハイデルベルク交響楽団(00)(ヘンスラー)          A   △アバド/ベルリン・フィル(00)(グラモフォン)            B          第1番のCDにはこれというCDがありません。お薦め度はカップリング等を考慮しました。    ◎のヤルヴィ盤は2006年の録音で、かつカップリングの「運命」もA評価です(個人的に    は「運命」の演奏は好みませんが)。    きびきびとしたリズムと速めのテンポで進み、躍動感、力感溢れる現代的なスタイルで、演奏    自体も良いですし、ハイブリッドSACDながら、むしろ割安です。これは◎でお薦めです。    なお、トランペットとティンパニは、古楽器を使用しているようです。    トスカニーニは、こういったパンチ力が必要な作品はお得意ですので、演奏自体はベスト盤と    も言えるのですが、如何せん録音が古い点は痛いですし、現在、国内盤はお高いXRCDしか    ありません。カップリングのベートーヴェンの「交響曲第7番」の評価がイマイチだけに、C    Dとしてはあまりお薦めはできません。    ヴァント盤は演奏自体は素晴らしいのですが、通常音質のCDが廃盤中であるためにお高いS    ACDしかないことと、カップリングの「第2番」の評価がイマイチであることを考えますと、    このCDもあまりお薦めできません。また、S○なのかの確認もとれておりません。       バーンスタイン盤はベートーヴェン全集からの1枚です。約1200円というお安さですので、    評価が低いカップリングは「気にしない!」という方にはお薦めです。上のYOUTUBEへのリン    クが同じ音源かは分かりませんが、ぜひご視聴下さい。    ファイ盤は元々国内盤はなく、輸入盤も廃盤中です。    最後にアバド&ベルリン・フィルのCDを挙げておきましたが、これは、カップリングの「第    2番」がA評価の割にはお安いですし、録音も新しいという意味で挙げておきました。        <更新のポイント> ファイ盤を追加しました。
作品NO.17 交響曲第2番 ★★ 2017年3月最新更新

 CDの曲名を伏せて、初めてこの作品の第1楽章を少し聴いて、作曲者を答えろと言われたら、おそら
 くモーツァルトと答える方が多いのではないでしょうか。
 それくらい、ベートーヴェンの初期の交響曲第1番と第2番は、古典派の影響をまだ受けていまして、
 英雄運命第九などを聴いてベートーヴェンの作風を知っている方にとっては、ベートーヴェンの作
 品とは思えないところがあります。特にこの「ベト2」は、古典派のように小さくまとまった交響曲で
 して、かつモーツァルティックな旋律のチャーミングさに満ちていますので、ベートーヴェンの交響曲
 の中でも「隠れた名作」として愛好者が多い作品となっています。「隠れた」というのは、ベートーヴ
 ェンの交響曲には、「英雄」「運命」「第九」などの大作、有名作が多いからです。
 この「ベト2」は規模も小さく、前記3作品と比べれば聴きやすいと言われています。ベートーヴェン
 の交響曲は、やはり一番有名な「運命」を真っ先に、そして、この第2番よりも前に、、英雄、田園、
 第7番、第九をまず聴くというのが常道と言われています。
 これらの作品と比べると、「第2番」には、これといった印象的な旋律は特にないため、初心者の方は
 飽きてしまうかもしれません。ベートーヴェンの作品の中でも「マイナー」な作品で、大作の後に聴く
 からこそ光を放っているのだと思われるのです。
 なお、この「第2番」から、大作の第3番「英雄」への一大発展は、ベートーヴェンが「音楽の革命児」
 と呼ばれる大きな要因ともなっています。当時、交響曲には「英雄」ほどの大作はなかったからです。
 そして、音楽史は古典派からロマン派へと進んでいきます。

第1楽章(バーンスタイン指揮)
   ☆推薦盤☆  S○▲パーヴォ・ヤルヴィ/ドイツ・カンマー管弦楽団(07)(RCA)      S    ◎ワルター/コロンビア交響楽団(59)(SONY)  with 第1番     S    ○ワルター/コロンビア交響楽団(59)(SONY)  with 第6番     S    △ブリュッヘン/18世紀オーケストラ(88)(デッカ)          A   △アバド/ベルリン・フィル(00)(グラモフォン)            A        ヤルヴィは、21世紀になって、ベートーヴェンの交響曲に評価の高い演奏を残していますが、    この「第2番」も例にもれず、メリハリが効いていて、肝心な部分の力感、躍動感が絶妙で、    素晴らしい演奏に感じられます。ですが、カップリングの「田園」が、あまりにあっさりしす    ぎで、情緒の愉しみに欠けています。評価も無評価に近いですから、カップリング重視、1枚    のCDとしてのお得さを重視する方には、あまりお薦めできません。    そこで、古くから定評のあるワルター盤の方をお薦めします。    CDとしても、ワルターの代表的演奏である「田園」とのカップリングですから、数年前まで    は超お薦め盤でした。ところが、「田園」にはBlu-specCD2が発売されまして、そのCDは、    「ベト2」ではなく、「運命」とのカップリングですので、「田園」のBlu-specCD2と、こ    のCDを購入すると、「田園」がだぶってしまいます。    ワルターの「運命」はお薦めされているほどの演奏ではありませんが、ワルターの代表的演奏    の「田園」は、ぜひBlu-specCD2で聴いて頂きたいと思うのです。    よって、「田園」はBlu-specCD2の方を、「ベト2」は「第1番」とのカップリングのCD    の方がお薦め、というのが現時点での管理人、私の考えです。音質にこだわらない方や、ワル    ター演奏の「運命」は不要という方には、もちろん、「田園」とのカップリングのCDが第1    のお薦めですし、今後、「田園」と「ベト2」のBlu-specCD2が発売されるかもしれません。    ワルターの演奏は、以前から断然の評価を得てきた、確固たる名演です。テンポ、豊かな表情    の味付け、緩急のバランスなどが絶品で、ワルターがモーツァルト演奏の第1人者ということ    も関係しているのでしょうか。59年の録音ですが、ステレオ録音で、音質は古さを感じさせ    ません。    第1番のワルターの演奏は、特に突出した評価を得ているわけではないのですが、カップリン    グを考えますと、現在では、「ベト2」と「田園」は切り離して考えた方がいいようです。    △として古楽器のブリュッヘン盤を挙げておきましたが、廃盤になってしまうかもしれません。    最後に、カップリングの「ベト1」がB評価のアバドの新盤を挙げておきました。      <更新のポイント> アバドの旧盤を外しました。
作品NO.18 交響曲第3番「英雄」 ★★ 2017年3月最新更新

 ベートーヴェンの交響曲の中でも「第九」に次ぐ大作で、あらゆる交響曲の中でも有数の傑作の1つで
 す。作曲当時の基準では、非常に規模(演奏時間)の大きな”大曲”でした。
 ベートーヴェンが、この作品をもって「音楽の革命児」と呼ばれる所以は、単に演奏時間が長かっただ
 けではなく、楽器の編成が増えたり、また、第1楽章のように大きな拡がりをもつ作品を書いたことに
 由来していると言われています。
 「英雄」または「エロイカ(英雄の意味です)」と言いまして、「ベト3」という言い方はあまりしま
 せん。
 スケールが雄大で、風格、立派さの点でも素晴らしい作品なのですが、第2楽章の「葬送行進曲」が冗
 長になる点や、演奏時間が長いですので、いくら有名な作品とは言え、初心者の方が気軽に聴けないの
 が難点ではあります。
 ベートーヴェンの交響曲と言えば「運命」から入り、「第九」へと進み、この「英雄」に戻る聴き方が
 一般的と言われます。これは、「有名な順」「曲を知っている順」ということでもありますが、英雄と
 いう大曲を聴き込めるかどうかが1つの壁ではないでしょうか。ここを突破できなくては、少なくとも
 交響曲や大曲においては、それ以上進むことはできないでしょう。小品の鑑賞に進む方がいいのかもし
 れません。クリアできれば、残りのベートーヴェンの交響曲はおろか、他の作曲家の交響曲もかなり多
  く聴き込めるはずだと思われるのです。その段階に至れば「中級者」でしょう。
 ベートーヴェンは初めこの作品を「英雄」ナポレオンに捧げようとしましたが、ナポレオンがフランス
 皇帝に就いてしまうと烈火のように怒り、「献呈」の文字を塗りつぶしてしまいました。そして「ナポ
 レオンも俗物にすぎなかったのだ」と語り、ナポレオンが死去すると、第2楽章の「葬送行進曲」を指
 し、「私はこれを予言していた」と言い放ったとのエピソードがあまりに有名です。
 下のリンクには、三世代の指揮者(モノーラル、ステレオ、21世紀)による第1楽章へのリンクを貼
 っておきました。どの演奏がお好みか、聴き比べをお楽しみ下さい。

第1楽章より(何とフルトヴェングラー指揮44年!)
第1楽章(バーンスタイン指揮)
 
第1楽章(パーヴォ・ヤルヴィ指揮日本公演)
   ☆推薦盤☆    ◎フルトヴェングラー/ウィーン・フィル(52)(ワーナー)        S お薦め!  S○・フルトヴェングラー/ウィーン・フィル(52)(ワーナー)        S    ・フルトヴェングラー/ウィーン・フィル(44)(EMI)         S    △フルトヴェングラー/ウィーン・フィル(44)(ウラニア)        S    △フルトヴェングラー/ウィーン・フィル(44)(ウラニア)        S  S○○パーヴォ・ヤルヴィ/ドイツ・カンマー管弦楽団(05)(RCA)      S   B2▲パーヴォ・ヤルヴィ/ドイツ・カンマー管弦楽団(05)(RCA)      S    △トスカニーニ/NBC交響楽団(53)(RCA)             A    ・トスカニーニ/NBC交響楽団(53)(RCA)    2枚組      A    △セル/クリーヴランド管弦楽団(57)(SONY)            A    ☆トスカニーニ/NBC交響楽団(39)(RCA)             B    △バーンスタイン/ウィーン・フィル(78)(グラモフォン)        B    ☆トスカニーニ/NBC交響楽団(39)(メモリーズ)    全集     B        「英雄」の推薦CDは、混戦となっています。数年前までは、長らくベスト盤に君臨していた    フルトヴェングラーの新盤が、音質が改善され、不動の地位を築いていたのですが、現在は、    録音が古いということもあってか、混戦です。SS評価と言えるCDはなく、CDをたくさん    挙げることとなりました。時代の流れですね。    私は、その中でも、やはりフルトヴェングラーの新盤のCDをお薦めします。    スケールが雄大で、精神的な深みも併せ持ち、まことに立派な演奏です。戦時中の悲壮感から    脱したフルトヴェングラーとウィーン・フィルの誇りや風格があり、格調は高く、あいまいさ    はどこにもありません。特に第2楽章では顕著でしょう。「英雄」という大曲を堂々と、満足    いくまで「聴かせて」くれます。上のリンクからお聴き頂いて比較して頂けば、その「凄み」    をお分かり頂けるのではないでしょうか。2番目にはハイブリッドSACDを挙げておきまし    た。SACDの互換機が必要と記載されていますが、実物で確認しました。S○です。    フルトヴェングラー&ウィーン・フィル盤には44年録音の旧盤もありますが、52年の新盤    の方が流通していまして、評価も高いですので、やはり新盤を第1にお薦めします。    旧盤である44年盤の正規の録音は、旧EMI所有の音源で、国内盤は長らく廃盤中です。ワ    ーナーからの再発売に期待です。現在入手できるのは別レーベルからの音源です。上から4番    目、5番目は「ウラニア盤」と言われ、米ウラニア社から発売された有名な音源のものです。    5番目は紙ジャケットのCDです。    上にリンクを貼ってあるYOUTUBEの演奏は、画面がCDジャケットと同じですので、おそらく    同じ音源だと思われます。    フルトヴェングラーと言えばライヴでこそ燃える実演派でしたので、音質は悪くても、こちら    の44年盤を採る人もいます。私も新盤をずっと愛聴してきましたが、旧盤の方が熱気、迫力    に満ちているダイナミックな演奏で、「これがフルトヴェングラーのライブか」と思い知らさ    れています。ぜひ上のリンクからお聴き下さい。    新盤に比べて、風格、スケール、そして何よりも音質の点では劣りますが、音質が気にならな    い方には、ぜひこちらもお薦めしたいです。フルトヴェングラーの新盤旧盤に限らず、「英雄」    のCDはぜひ3、4枚は聴いて頂きたいところです。    さて、フルトヴェングラーのベートーヴェンの録音において、特に「英雄」「運命」「第九」    は伝説化されているため、録音日が違う多くの「歴史的録音」が存在します。一般的に常に馴    染まれてきたのは、ワーナー(旧EMI)やグラモフォンというメジャーレーベル所有の音源    でした。それ以外の「歴史的録音」「秘蔵音源」は、OPUS蔵、デルタ、ナクソス、アルト    ゥスなどから発売されていますが、国内盤だけでも、かなりややこしいことになっています。    輸入盤も含めれば、わけが分からなくなるほどです。    例えば、この「英雄」においては、1番上に挙げた52年録音の音源は、11月26、27日    の録音なのですが、11月30日や12月7日、はたまた同日のEMI録音後のライヴ録音な    どという音源も多くのレーベルから「発掘」されています。これでは、CDの買い間違えが起    こってしまいます。くれぐれもご注意下さい。    「CLASSIC MUSEUM」でご紹介しているのは、あくまでワーナーやグラモフォンなどのメジャー    レーベル所有の音源によるCDが主体ですので、お間違えのないよう、ご注意下さい。    「運命」「第九」でも同様のことが起こっています。専門書籍等で評価が高く、ご紹介してい    るフルトヴェングラーのベートーヴェンの録音は、原則、ワーナーミュージックか、グラモフ    ォン所有の音源です。他のレーベルのCDや、録音日が異なるものは、はっきりと明記してあ    ります。録音日が違う音源で、そちらの演奏の方がお気に召したということであれば、大変素    晴らしいことですが、ここでご紹介している「評価」とは無関係ですので、その点はご了承下    さい。    話がくどくなりました。ややこしいですねぇ。でも、フルトヴェングラーが人気者である証拠    でもあります。    ヤルヴィによる演奏は、21世紀録音の「英雄」としてはベストの評価を得ています。ダイナ    ミズム、力感、推進力などは素晴らしく、これが21世紀の「英雄」の演奏スタイルなのでし    ょう。その反面、格調の高さやスケールの点では物足りないのですが、それ以上に充実した響    きを聴かせてくれ、常に緊張感に満ちています。音源は違いますが上のYOUTUBEからどうぞ。    CDは2種類ありまして、カップリングの「第8番」もS評価で、ハイブリッドSACDであ    る上のCDのお薦め度を○とし、カップリングでは劣りますが、お安いBlu-specCD2である    下のCDのお薦め度を▲としました。お好みでどうぞ。    トスカニーニ盤は39年と53年の録音がありまして音質も評価も53年の新盤の方が上です。    1番目の53年盤は期間生産限定盤で、いつまで在庫があるか分かりませんが、お値段がお安    いのでお薦めです。2番目の2枚組のCDも同じ音源で、割安ですから在庫があればお薦めし    たいのですが、現在廃盤中です。3番目の39年の旧盤の方が音質はやや悪いとはいえ、はる    かに脂がのっている演奏で、古い音質に抵抗がない方には、こちらの方がお薦めです。一応リ    ンクを貼っておきましたが、どうもこのCDは、度々国内盤が再発売されたと思いきや、すぐ    に廃盤になることが繰り返されていまして、今も廃盤中です。このCDは私が所有しているも    のでして、1000円のはずです。もし入手可能でしたら、ぜひとも聴いて頂きたい歴史的名    盤です。    39年盤は、スケールの大きさや立派さこそフルトヴェングラー盤に大きく劣るものの、もの    凄く気迫の充満した究極の凄演で、第1楽章冒頭の主題を聴いた時には震え上がったほどの、    私の想い出のCDです。トスカニーニの芸風のごとく、切れば血のでるような弦の熱気に溢れ    た切れの良さ、ティンパニの猛打、地の底まで突き刺さるようなリズム、まさにリアリズムの    極致、トスカニーニイズムの爆発です。現代の指揮者からはこのような音は聴けなくなってし    まいました。    ベートーヴェンが目指した音のドラマとはこういうものであったに違いないと、有無を言わせ    ず納得させられてしまうでしょう。一応、下に、お得な輸入盤の全集へのリンクを貼っておき    ました。この輸入盤も残念ながら廃盤中です。    トスカニーニの正規盤は、RCA発売のものです。戦前に活躍した指揮者ですので、フルトヴ    ェングラー同様、色々なレーベルから音源が発掘されています。そのため、CDも、発売され    たと思ったら、すぐに廃盤になってしまうなど、非常に把握しづらいです。    これは「英雄」に限ったことではないですので、ご承知おき下さい。    セル盤は、20世紀のステレオ録音としては数少ない推薦盤ですが、お値段がお高いのが欠点    です。    バーンスタイン盤は、かつてはフルトヴェングラー盤に匹敵するほどの評価を得ていたのです    が、今やB評価まで下がってしまいました。お安さが何と言っても魅力です。    ぜひ上のYOUTUBEをご参考にどうぞ。    <更新のポイント> フルトヴェングラーのウラニア盤とセル盤を追加しました。
作品NO.19 交響曲第4番 ★★ 2017年3月最新更新

 この交響曲第4番は、ベートーヴェンの9つの交響曲の中でも第2番第7番と並んで一歩地味な存在
 です。ですが、第3番「英雄」作曲後の一皮向けたベートーヴェンだけに、ダイナミックで爆発力に満
 ち、鋭いリズムの刻みが魅力の作品でして、第2番あたりと比べるといかにもベートーヴェンチックな、
 あるいはロマン派シンフォニックな交響曲であるという印象を受けます。よって、ベートーヴェンの
 後期の交響曲のように、ダイナミズムに溢れた交響曲が好きな方の中には、この「ベト4」のファンの
 方も多いです。
 特にこれといったドラマ性などはなく、「第7番」のようにベートーヴェン・サウンドを楽しむ交響曲
 と言えると思われます。
 第1楽章の冒頭では約2分程、もったいぶったような部分が続きますが、そこから軽快なサウンドへと
 一変。ベートーヴェンならではのユーモアでしょうか。

第1楽章(何とクライバー指揮!)
 ☆推薦盤☆    ◎カルロス・クライバー/バイエルン国立管弦楽団(82)(オルフェオ)  SS お薦め!  S○○パーヴォ・ヤルヴィ/ドイツ・カンマー管弦楽団(05)(RCA)      A       ・ファイ/ハイデルベルク交響楽団(01)(ヘンスラー)          A    ・ブリュッヘン/18世紀オーケストラ(90)(デッカ)          A    ▲ムラヴィンスキー/レニングラード・フィル(73)(アルトゥス)     A    ▲ムラヴィンスキー/レニングラード・フィル(73)(アルトゥス)     A    ・ワルター/コロンビア交響楽団(58)(SONY)            A    第4番の推薦盤はなぜかお高いものが多いです。    まず、誰にも安心してお薦めできるのはSS評価と断然の評価を得ているクライバー盤です。    上のYOUTUBEへのリンクは、音源は違いますが、ぜひご視聴をどうぞ。ちょっと画像が歪んで    いて観づらいですが…。    ヤルヴィムラヴィンスキーも同様で、速いテンポできびきびと鋭いリズムを刻んでいくタイ    プの指揮者ですので、作品との相性が抜群にいいのでしょう。誠に気分爽快です。    クライバーのCDは元々国内盤はありません。日本語解説付きの輸入盤が1番上のCDです。    ヤルヴィ盤は非常にキレがよく、表現もクライバーに似ていて、この「第4番」に限ってはお    薦めなのですが、カップリングの「第7番」が、なぜかあまり評価が芳しくありません。    ファイ盤は元々国内盤はなく、輸入盤も廃盤中です。    古楽器演奏のブリュッヘン盤も現在廃盤中です。    ムラヴィンスキー盤は同じ73年でも2種類あります。上のCDは日本でのライブ録音盤です    が、在庫がないことが多いですので、下に同じ年のライヴ録音である日本語解説付きの輸入盤    を挙げておきました。    この演奏は、終楽章に見られるような、高速のテンポの中で身をえぐられるようなリズムの刻    みや、ティンパニの強打が尋常ではなく、単にサウンドを聴かせるだけではない点が魅力的で    す。クライバーやヤルヴィの演奏に物足りなさを感じる方にはもってこいでしょう。    ワルター盤は「運命」とのカップリングでもあるため、CDとしてはお得です。    ワルターはダイナミズムに溢れた演奏をする指揮者ではありませんし、第1、第4楽章などは    スケールは小さいものの、リズムは細かく刻まれ、細部に色々なニュアンスがあります。ワル    ターの老かいさが活きていまして、癒し系のベト4がお好きな方にお薦めしたいのですが、現    在は廃盤中のようです。輸入盤もありません。    <更新のポイント> ファイ盤とムラヴィンスキーの輸入盤を追加しました。
作品NO.20 交響曲第5番「運命」 ★ 2017年3月最新更新

 第1楽章冒頭のテーマがあまりにも有名ですので、この作品を知らない方はいないでしょう。交響曲の 
 中で1番有名といっていい作品です。普通はやはり「運命」と呼ばれます。
 第1楽章は冒頭の「運命の動機」が何度も繰り返され、迫りくる運命と戦う姿が描かれています。
 なお、この冒頭をベートーヴェン自身が「運命はこのように扉を叩く」と言ったというのは有名な話で、
 おそらく学校の音楽の先生から聴いた方が多いと思われますが……これは何の根拠もない作り話なのだ
 そうです。この作り話を信じているのも日本人だけらしいとのことです。
 第2楽章、第3楽章では運命と戦う苦悩が描かれ、やがて第4楽章では勝利の曲となります。第3楽章
 から第4楽章へは曲が途切れることなく演奏されます。第2楽章、第3楽章は暗く、凝縮された曲です
 が、第4楽章は明るく、最も演奏効果に富んでいまして、何度聴いても心が弾みます。知名度相応の、
 ベートーヴェンならではの大傑作です。
 「運命」は第2楽章、第3楽章が暗いとはいえ、第1楽章は有名ですし、第4楽章も演奏効果抜群です
 ので、ベートーヴェンの交響曲の入門用はおろか、あらゆる交響曲の入門用にふさわしい作品でしょう。

全楽章(フルトヴェングラー指揮54年)
第1楽章(何とクライバー指揮!!)
第3楽章終わりから第4楽章へ(バーンスタイン指揮)
 ☆推薦盤☆   ◎カルロス・クライバー/ウィーン・フィル(74)(グラモフォン)    SS 超お薦め!  S×・カルロス・クライバー/ウィーン・フィル(74)(グラモフォン)    SS    ○フルトヴェングラー/ベルリン・フィル(47)(グラモフォン)   A↑SS 超お薦め!    ・フルトヴェングラー/ベルリン・フィル(47)(グラモフォン)   A↑SS  S○▲パーヴォ・ヤルヴィ/ドイツ・カンマー管弦楽団(06)(RCA)     A    ・ブリュッヘン/18世紀オーケストラ(90)(デッカ)          A    ☆トスカニーニ/NBC交響楽団(52)(RCA)             B    ☆トスカニーニ/NBC交響楽団(52)(RCA)    2枚組      B    ☆トスカニーニ/NBC交響楽団(39)(RCA)             B    ☆トスカニーニ/NBC交響楽団(39)(RCA)             B    ☆フルトヴェングラー/ウィーン・フィル(54)(ワーナー) with 第7番 B    ☆フルトヴェングラー/ウィーン・フィル(54)(ワーナー) with 未完成 B  S○☆フルトヴェングラー/ウィーン・フィル(54)(ワーナー)        B    ☆トスカニーニ/NBC交響楽団(39)(メモリーズ)   全集      B    クライバー盤は自身の最高傑作の1枚で、特に初心者の方には真っ先にお薦めしたいです。    「運命」がまさに今生まれたかのように活き活きとしていて、クライバーの才能が光ります。    特に、今まで他の「運命」を聴いてきた方は、かなりの衝撃を受けるでしょう。速いテンポか    ら鋭い弦の切れ、金管の強奏、ティンパニの強打、まことに爽快で、ダイナミズムの極。これ    が天才と称されたカルロス・クライバーの世界です。20世紀を代表する名盤にも選ばれまし    た。静止画ですが、ぜひ、音源が同じYOUTUBEを上からご視聴下さい。    クライバーお得意の「第7番」とのカップリングでもあり、お宝級のCDです。    2番目にはS×のSACDへのリンクも貼っておきました。    フルトヴェングラーの47年盤は、自身の「運命」のベスト演奏の1つと言われている猛演で、    古くから人類の至宝とされてきたライヴ録音です。運命との戦いのドラマをこれほどまでに表    現しきった演奏は類を見ない、芸術至上主義の演奏です。    第二次大戦のため演奏活動を停止していたフルトヴェングラーが、ようやく指揮台に立った    1947年5月27日に、ベルリンで行なわれたベルリン・フィルとのライヴ録音です。    戦後の荒廃したベルリンで、オケ共に「運命」の演奏に込めたすべての思いが集約されていま    す。そういった背景を踏まえ、表現力が全快している凄演です。特に第1楽章は運命の動機が    出てくるたびにテンポを落とし、壮絶なまでのドラマを展開していきます。まさに、二度と再    現できない不滅の金字塔なのです。    演奏記録としても、すべてのクラシックCDの中で最高クラスの価値をもつ1枚です。    この音源は、フルトヴェングラーにしては珍しくグラモフォン所有の音源なのですが、他にも    この音源が収録されたCDがありましたので挙げておきました。残念なことに、高音質CDは    ないようです。    クライバー盤とフルトヴェングラー盤は全くスタイルが違いますので、クラシックの聴き方の    勉強という意味でも、両方持っていたいですね。    もちろん、2枚とも、あらゆるクラシックCDの中でも最も有名なCDの1つです。    上のYOUTUBEから聴けるのは54年の演奏で、同じフルトヴェングラーかと思われるほど客観    的な演奏です。こちらはこちらで「54年録音の運命」と区別されていまして、ワーナーから    CDも発売されていますので、下の方に挙げておきました。「第7番」とのカップリングと、    シューベルト「未完成」とのカップリングがありますのでお好みでどうぞ。その下には、    「第7番」とのカップリングのハイブリッドSACDを挙げておきました。SACDの互換機    が必要と記載されていますが、実物で確認しました。S○です。    なお、「英雄」と同様、フルトヴェングラーの「運命」の演奏の音源も多数存在しますのでく    れぐれもご注意下さい。    ヤルヴィ盤はS評価の「ベト1」同様、現代的な速いテンポで、ダイナミズムに溢れ、躍進力    が素晴らしいです。私個人的には、特に第2、第3楽章は好みませんが、S評価でお薦め度◎    の「ベト1」とのカップリングという意味では、CDとしてお得ですし、S○のSACDとし    てはお値段もお手頃です。    ブリュッヘン盤は、堂々とした重厚な演奏です。古楽器による運命としてはベストとも言える    演奏で、古楽器ファンの方にはかなりお薦めの1枚なのですが、国内盤も輸入盤も廃盤中です。    トスカニーニ盤は、独特のダイナミズムに富んだ演奏で、古くからフルトヴェングラー盤と双    璧をなしてきた名盤なのですが、音が古いですし、今では時代の流れか、歴史的名盤としてお    薦めしておきます。「ベト1」でも「英雄」でもそうなのですが、他の作曲家のCDは高音質    CD化されて、トスカニーニの名演を堪能できるのですが、なぜかベートーヴェンにおいては、    まともな国内盤すらないといったのが現状であるのが不満です。    「運命」も例にもれず、複数枚挙げてはありますが、すべて廃盤中のようです。           <更新のポイント> 特に変わりはございません。


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