☆バッハ |
| ヴァイオリン協奏曲集 ★★ |
バッハと言えばどうしてもオルガン曲、宗教曲というイメージがあるが、ヴァイオリン協奏曲も作曲し
ている。さすがに「ブラコン」「メンコン」「ベトコン」「チャイコン」「4大ヴァイオリン協奏曲」
の人気には及ばないが、その次にくるくらいの人気はある。また、バッハ特有の、いかにもバロック音
楽的なメロディーが魅力的な作品でもあり、決してマニア好みの隠れた名曲ではないのだ。
ヴァイオリン協奏曲集といっても第1番と第2番しかなく、1枚のCDに2つとも入っていて、しかも
大体は他の曲もカップリングされているので、CDとしてはお得である。
同じくバロック時代の作曲家のヴィヴァルディの曲に似ているとの指摘を受けてはいるが、バロック音
楽を聴きこんだ方はお分かりのように、「四季」のような情景を描いた作品は別として、どうしてもバ
ロック時代の音楽には共通した点が見受けられる。
逆に言えば、「四季」を除けば、バロック時代のヴァイオリン協奏曲で有名なのはバッハのこの作品く
らいなものなので、バロック音楽のヴァイオリン協奏曲を堪能したいという方には真っ先にオススメの
曲。なお、この作品からすでに協奏曲は三楽章構成であった。
☆推薦盤☆
◎シェリング/マリナー アカデミー室内管弦楽団(76)(フィリップス) A
○スタンデイジ/ピノック イングリッシュコンサート(83)(アルヒーフ) A
・S・クイケン/ラ・プティット・バンド(81)(ハルモニア・ムンディ) B
近年古楽器の演奏がモーツァルト、ベートーヴェンなどにも採り入れられているが、バロック
音楽ともなればなおさらで、特にバッハの楽曲は格好の的。古楽器の演奏が、非常に高い評価
を得ていることが多い。このヴァイオリン協奏曲も良い例である。
現代楽器のシェリング盤と、古楽器のスタンデイジ盤が、両者一歩も譲らずベストを争ってい
る。どちらを選ぶかは、好みの演奏スタイルで選んで頂くのがよいのでは。
なお、シェリング盤にはカップリングで「G線上のアリア」が、スタンデイジ盤はチェンバロ
も用いているので、一層バロック音楽風である、というのが特徴である。
古楽器演奏とくれば常連のクイケン盤も一応挙げておいたが、古楽器の演奏なので、スタンデ
イジ盤でチェンバロが嫌に感じる方にはこちらの方がいいかもしれない。お値段も安い。
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| チェンバロ協奏曲第1番 ★★ |
チェンバロという楽器は、まだピアノのない時代、ルネサンス期からバロック期にかけて隆盛期を迎え
た、撥弦(はつげん:弦を爪ではじく)鍵盤楽器のことである。クラシックにおいては「チェンバロ」
という名で呼ばれるのが普通だが、英語では「ハープシコード」という。何とも言えない、独特の音色
に惹かれる方は決して少なくないと思う。主にバロック音楽で登場し、伴奏楽器として使用されていた
が、バッハが本格的に独奏楽器としてこの協奏曲を作曲してから、一躍注目を浴びるようになった。
チェンバロを用いた楽曲の作曲者といえば、ヴィヴァルディ、パーセル、ラモーなどのバロック期の作
曲家ばかりである。
というのも、古典派の時代になるとピアノが出現したため、全くといっていいほどチェンバロを用いた
楽曲は作曲されなくなってしまったからである。
現在、バロック音楽の演奏の時に使われるチェンバロ(古楽器)を、当時のチェンバロと区別して「ヒ
ストリカルチェンバロ」ともいう。
バッハは「チェンバロ協奏曲」を8曲作曲したが、ここでは最もポピュラーな第1番を紹介したい。
チェンバロがお好きな方にはたまらない曲と思われるが、チェンバロという楽器自体、あまり大きな音
が出せないので、ピアノ協奏曲よりはオケの音に圧倒されてしまうきらいはある。
☆推薦盤☆
▲ピノック(弾き振り)/イングリッシュ・コンサート(79)(アルヒーフ) S
◎リヒター(弾き振り)/ミュンヘン・バッハ管弦楽団(71、72)(アルヒーフ) A
○コープマン(弾き振り)/アムステルダム・バロック管弦楽団(88)(アルヒーフ) A
リヒター盤のみが、現代楽器による演奏である。よって現代楽器から聴きたい方、または初心
者の方にはこちらがお薦め。ただ、リヒター盤は「バッハ チェンバロ曲集」という4枚に分
かれているので(チェンバロ協奏曲第1番はNo1だけ)、チェンバロの曲集をすべて集める
となると、一番コストがかかる。その点、S評価のピノック盤は3枚組で約5000円と固定
されているので、約5000円ですべてのチェンバロ曲集を聴けると思えばお得であるが、こ
こでご紹介しているチェンバロ協奏曲第1番だけを聴きたいのであれば、分売されていないだ
けに、かなりのムダで、お高い買い物となってしまう。
私としては、「チェンバロ協奏曲第1番」をCD1枚で聴けるリヒター盤をお薦めしたい。
コープマン盤は2枚組でこのお値段は安く、No2まで揃えたとしても4000円はかからな
い。コスト的には一番お安い。演奏スタイルは古楽器。
よって、まとめて多くの曲を聴けるという点と演奏をとるならばピノック盤、現代楽器である
という点と、1枚の分売で買えるという点をとるならばリヒター盤、ピノック盤よりもお値段
の安さを重視するのであれば同じ古楽器演奏のコープマン盤がお薦め。
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☆パガニーニ |
| ヴァイオリン協奏曲第1番 ★★ |
パガニーニは自らの技巧を誇示するために作曲もしたのだが、おそらくこの「ヴァイオリン協奏曲第1
番」が最高傑作ではないかと思う。確かにパガニーニの曲といえば、超絶技巧曲、超難曲というイメー
ジが先についてまわるが、特に何らかの思想性などを元に作曲しているわけではないので、一つの曲と
して捉えると、祝祭的で、明るく優雅な曲であり、普通に聴いているだけでも楽しい。初心者の方でも、
軽い気持ちで接することができる。
また、あくまでヴァイオリンが主役の曲なので、伴奏のオケを控えめにしており、分かりやすい。
やはりヴァイオリン経験のある方に是非聴いて欲しい曲である。あらゆる技巧を駆使した曲なので、ソ
ロのヴァイオリンの音色を聴いているだけで、どのような技巧を使っているかが分かって楽しい。
「鬼人」と呼ばれたヴァイオリニストであった作曲者自身は、一体どう演奏したのだろう…
☆推薦盤☆
◎アッカルド/デュトワ ロンドンフィル(75)(グラモフォン) S
▲シェリング/ギブソン ロンドン交響楽団(75)(フィリップス) A
○庄司紗矢香/メータ イスラエルフィル(00)(グラモフォン) ↑A
アッカルド盤は、さすがにパガニーニのスペシャリスト、アッカルドだけあって、こんな難曲
でもサラっと弾いてしまうかっこよさでは一番の、模範的演奏である。スマートで、これとい
った即興を加えない、正統派の演奏である。S評価で、この曲においては断然の1枚の座を揺
るぎないものとし、しかも1000円で買えるのだから、初めてこの曲を聴く方にはこのCD
がお薦め。
次にはA評価でシェリング盤を挙げたが、シェリングも無難な演奏をするので、私個人として
は、次の庄司紗矢香のCDをお薦めしたい。更に言えば、アッカルド盤をさしおいて第一にお
薦めしたいくらいである。
このCDは日本が生んだ天才少女、庄司紗矢香が17歳の時に録音した、初めてのCDである。
まだ発売されて間もないため、評価が定まっていないので↑A評価にしたが、何という自在の
節回し。軽快な弓さばき。明るさ溢れるヴィブラート。アッカルドの正統派のスタイルとは正
反対に、祝典的、優雅なこの曲を、楽しむかのように演奏し、曲の性格にピッタリとマッチし
ていると思う。
全く私の個人的なお薦めになってしまったが、この曲が好きな方には是非とも聴いて頂きたい。
☆ブラームス |
| ヴァイオリン協奏曲 ★★★ |
チャイコフスキー、ベートーヴェン、メンデルスゾーンと並び、4大ヴァイオリン協奏曲と言われる名
作であるが、私はその中でも最高傑作だと思う。それどころか、ブラームスの最高傑作と言ってもいい
ほどの大傑作だと思う。特にブラームスのファンの方で私と同意見の方は多いのではないだろうか。
ファンにはこたえられない魅力に溢れる、まさにブラームスならではの名曲中の名曲であると思う。
第1楽章のブラームス節全快の哀愁を帯びたメロディは涙を禁じえない。人生の重みをずっしりと背負
った、まさに挽歌のような曲。また、第2楽章も、哀切が滲み出るようなセンチメンタルな曲。それだ
けに、あまり若い方には解りにくいかもしれない。
ファンにとっては一生の宝物のような名作だと思う。
ブラームスの音楽の中でも、とりわけこの協奏曲は、彼の私的な感情が表現されているため、楽譜とい
うよりも、彼へのシンパシーをもった解釈が演奏に直結する。よって、録音すること自体が、ヴァイオ
リニストの「ブラームス解釈披露会」のような性格をもってしまう。他の「4大ヴァイオリン協奏曲」
は録音しても、この楽曲の録音には手をつけないヴァイオリニストもいるくらいである。もちろん、ど
ういった解釈が良い、悪いと決めることは出来ないのだが、それだけ慎重にならざるをえないほど、ヴ
ァイオリニスト個人の解釈がはっきりと露呈されてしまう、ある意味怖い作品である。
従って、CD選びも難しい。いくら評判は高くても、ブラームスのファンは、自分流のシンパシーと重
なった演奏でないと納得できないと思う。
下の推薦盤も大混戦になっているが、上記のような、この楽曲の性質からして、どうしても万人受けす
る、無難な解釈の演奏が上位に来てしまう点をご理解下さい。
☆推薦盤☆
・オイストラフ/セル クリーヴランド管弦楽団(69)(EMI) A 売れてます!
▲ムター/カラヤン ベルリン・フィル(81)(グラモフォン) A
◎クレーメル/バーンスタイン ウィーン・フィル(82)(グラモフォン) A
○チョン・キョンファ/ラトル ウィーン・フィル(00)(EMI) ↑A
○ムター/マズア ニューヨーク・フィル(97)(グラモフォン) ↑A
・ハイフェッツ/ライナー シカゴ交響楽団(55)(RCA) B
▲シゲティ/メンゲス ロンドン交響楽団(59)(フィリップス) ↑B
本当はもう数枚ご紹介したいのだが、サイトの性質上、上のラインナップだけとしたい。
最も評判がいいのはオイストラフ盤。私は、彼の楽天的な音色とブラームスはミスマッチだと
思うのだが、深刻すぎないブラームスなので、まさに万人向けの演奏。初めてこの曲を聴く方
には、このCDをお薦めしたい。オイストラフにはクレンペラー指揮の演奏もあるが、評判は
セル盤の方がよいので割愛したい。
ムターの旧盤の方は、なんと18歳のムターによるブラームス。若いだけに、無垢で、変に個
性を発揮しておらず、純粋に曲にアプローチしており、いい意味でオーソドックスな演奏。音
色は澄んでおり、ヴィブラート豊かな演奏である。また、若々しく勢いがあり、明るさを保ち
ながらもブラームスの魅力を失っていない。このCDも初めてこの曲を聴く方にお薦めしたい。
次に、この曲を聴き込んだ方には、クレーメル盤とチョン・キョンファ盤をお薦めしたい。
クレーメル盤は例によってクールな演奏、キョンファ盤は熱い演奏となっているが、二人とも
曲の芸術性をしっかりと捉え切っている表現である。よって、聴きこんだ方には、上の2枚の
CDにはない新鮮な感動を与えてくれるはずである。奏法がブラームス的ではないと言われれ
ば確かにその通りだが、二人とも音色が冷たいだけに、ブラームスの嘆きが一層悲痛に聴こえ
る。これだけ曲の芸術性を堪能させてくれれば文句は言えないだろう。
ちなみに、チョン・キョンファ盤の評価は、評論家筋では「外れた」ということになっていて
さっぱりだが、彼女が熱く弾きすぎて純粋な音楽美が失われているからなのかもしれない。
しかし、肝心な部分の芸術表現は卓越しているので、あえて独断でA評価とした。
私が1枚選ぶとしたら、クレーメルのCDだが、2枚とも個性が強く、この曲を初めて聴く方
が良さを理解するのは難しいと思う。
ムターの新盤の方は、当然のことだが、18歳の時の旧盤に比べて、彼女の個性がより引き立
っている。その個性が出すぎていると批評する声も多く、またオケが厚みに欠けるため、オー
ソドックスな旧盤の方が評価が高いが、私としては、中〜上級者の方には、より深化した新盤
の方をお薦めしたい。旧盤に比べていかにも「ムターらしい」演奏で、彼女の持ち味である旋
律の歌いが最大の魅力。もちろん、ムターの華やかな表現を好まない方には全く不向きである
し、初心者の方には旧盤の方がお薦め。現在、国内盤は入手困難なので、リンク先は輸入盤。
次に、往年の大巨匠の名盤を2枚紹介したい。
ハイフェッツ盤だが、この難曲をさらっと弾いてしまうかっこよさでは一番だ。特にカデンツ
ァの凄さは尋常ではないが、上手すぎて演奏に含みがないといえばそれまでの演奏である。
ハイフェッツでさえどちらかというと低評価であるという事実は、いかにこの作品を演奏する
ことが難しいかの象徴なのでは。
シゲティ盤は対照的にこの難曲に苦労している様子が眼に浮かぶようだが、彼の芸術表現はさ
ながらわび、さびの世界と言ったらよいのだろうか、まさにこの曲のある一面をしっかりと捉
えた、男の哀愁に満ちた音楽がここにある。こんな演奏は彼にしかできないだろう。テクニッ
ク的にも決して初心者向けではなく、そのため、渋すぎて評価は低いが、解る方には解る演奏
なので、B評価とした。ステレオなので音も良い。
この曲を聴き込んだ方が、この演奏に感動できなければシゲティとは無縁だと思う。
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| | ピアノ協奏曲第1番 ★★ |
ピアノ協奏曲というと、チャイコフスキーとベートーヴェンの「皇帝」が断然に有名である。それらに
比べると、大作曲家ではあっても、ブラームスやショパンのピアノ協奏曲はあまり頻繁に演奏されるこ
ともないようだ。
しかし、ブラームスの固定ファンは多いので、ここに紹介したい。彼は2曲書いているが、こちらの第
1番の方が有名である。
第2楽章のアダージョを抜かせば、いかにもブラームス風な、シンフォニックなピアノ協奏曲で、伴奏
のオーケストラが非常にぶ厚い。と言うのも、当初は交響曲を作るつもりだったのだが、途中で断念し、
このピアノ協奏曲第1番に変わってしまったらしい。
ピアノに派手さ、華麗さはないのだが、とても渋い。ピアノがお好きな方には渋すぎるかもしれないの
で、ブラームスの音楽こそ好きだという方に是非聴いて頂きたい逸品。
☆推薦盤☆
・ブレンデル/アバド ベルリンフィル(86)(フィリップス) A
・ギレリス/ヨッフム ベルリンフィル(72)(グラモフォン) A
・ポリーニ/アバド ベルリンフィル(97)(グラモフォン) B
3枚ともオケがベルリンフィルというのは、さすがといったところか。まず、ギレリス盤だが、
演奏自体はブレンデル盤とそれほど差はない。しかし輸入盤であるのはともかくとしても、さ
ほど評判がいいわけではないブラームスのピアノ協奏曲第2番とのカップリングで2枚組とい
うのは痛いところ。よってCDとしての評価は二番手とした。これによって、ブレンデル盤が
文句なしで第一のお薦め。お安いのも嬉しい。ギレリス盤は、第2番もまとめて聴きたい方に
はお薦め。
ポリーニ盤は演奏の評価はかなり下がる。まだ録音が新しいため、評価が定まっておらず、将
来的にはA評価になるかもしれないがどうだろう。
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| ピアノ協奏曲第2番 ★★ |
第2番は、ブラームスの創作活動の充実期に作曲され、いかにも渋い第1番よりは、はるかに洗練され
た作品である。よって、一般受けするのはこちらの方なので、ブラームスの渋さに惹かれる方でなくと
もお薦めしたい逸品。
まず、長調であることが一つ目の理由。二つ目は、第1楽章の魅力。冒頭の牧歌的なホルンの後にピア
ノが美しい響きを奏で、オケ全体で盛り上がって、再び重量感溢れるピアノのしらべとなるあたりは、
非常に印象的である。
他の楽章も、ブラームス特有の厚みがあり、さすがにショパンのような華麗さには欠けるものの、躍動
感、力強さなどが、明るさと調和している。
第1番と同様、シンフォニックな協奏曲である。
☆推薦盤☆
・ポリーニ/アバド ベルリンフィル(95)(グラモフォン) A
・バックハウス/ベーム ウィーンフィル(55)(デッカ) A 売れてます!
・ポリーニ/アバド ウィーンフィル(76)(グラモフォン) A
推薦盤としては、以上3枚が突出していて激戦なので、それぞれ全く横並びのA評価としたい。
CD選びは、好みで選んで頂くしかないので、特徴をご紹介。
まず、ポリーニの2種について。新盤は95年録音の1枚なのに対し、旧盤は、B評価もいい
ところのベーム指揮の第1番とのカップリングで2枚組。第1番は正直お薦めできないため、
ムダと言えばそれまでで、新盤に軍配が上がる。
単純に第2番だけを比較した場合、新盤が出たのに今でも同評価を得ているのは、76年の録
音当時のポリーニの若さである。彼の若々しい演奏が、ブラームスの暗さを払拭して、純音楽
的な美演となっている。それと比べて、95年録音の新盤は、ポリーニも既に年配になってお
り、若々しさは感じられないよう。その代わりに、ベルリンフィルのぶ厚さ、ライヴ録音なら
ではの熱気、情熱が魅力となっているようである。どちらがお好みだろう。
私の個人的なお薦めは、バックハウス盤である。このCDはモーツァルトのピアノ協奏曲第2
7盤とのカップリングで、そちらでも私は一番のお薦めにしているように、CDとしてカップ
リングが良いのが魅力。それでいて特別お高くもない。
そして、何と言っても、67年当時のバックハウス&ベームといえば、ヨーロッパで最高のコ
ンビと言われていただけに、記録としても価値があるのだが、大巨匠バックハウスの格調の高
いブラームスは、とても現代のピアニストの及ぶところではないのでは、と思わされる。
バックハウスの音色はそもそも華やかではない。ましてや曲がブラームスとなれば、渋い演奏
と言わざるをえないのだが、これこそブラームスそのものと納得させるだけの説得力がある。
よって、ブラームスファンの方にはバックハウス盤を、一般的なピアノ協奏曲ファン、ピアノ
ファンの方には、ポリーニの新盤をお薦めしたい。
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☆プロコフィエフ |
| ピアノ協奏曲第3番 ★★★ |
プロコフィエフという作曲家は、決して有名な作曲家とはいえない。しかも、「これが有名」という曲
を作曲したわけでもないので、一般の方には全くといっていいほど馴染みがない。
彼は1891年に生まれ、1953年まで活躍した、20世紀のロシアを代表する作曲家である。作曲
活動は主に20世紀なので、作風はいたって現代的である。
彼は5曲のピアノ協奏曲を作曲したが、最も有名なのがこの「第3番」で、20世紀に作曲されたピア
ノ協奏曲の代表作の一つと言われる。
ピアノ協奏曲というと、モーツァルトやショパンの曲のように、ピアノ独奏が奏でる美しい旋律に満ち
たものもあれば、ベートーヴェンやチャイコフスキーの曲のように、スケールが壮大で、風格に満ちた
旋律をピアノが奏でるものが一般的には親しまれている。
その点、20世紀に作曲されたこの曲は、全くといっていいほど印象は異なる。
今まで、上記の作曲家達の時代のピアノ協奏曲を愛聴してきた方には果たしてこの曲はどうだろう。
簡潔に言えば、モーツァルトやショパンのピアノ協奏曲とは違い、ピアノは美しい旋律を奏でる役割を
していない。テンポが速いので、めまぐるしく変わるピアノの音型やリズムを、オーケストレーション
と共に聴くといった感じだろうか。ピアニストに要求されるのは、ダイナミズムや技術、俊敏性といっ
た要素で、音への感情の込め方、歌い方などはあまりないように感じられる。
「20世紀、すなわち現代の『ピアノ協奏曲』を聴いてみたい」という方に是非とも聴いて頂きたい。
☆推薦盤☆
・アルゲリッチ/アバド ベルリンフィル(67)(グラモフォン) SS
・アシュケナージ/プレヴィン ロンドン交響楽団(75)(デッカ) S
・キーシン/アバド ベルリンフィル(93)(グラモフォン) A
アルゲリッチがSS評価で独壇場。この演奏は67年録音なので、もう40年以上も前の録音
になるが、今だに他の追随を許さない。当時のアルゲリッチは、65年にショパン・コンクー
ルで優勝した後、初めて協奏曲の録音をした時であった。彼女の芸風は男勝りのピアニズムで、
それは高齢になった今なお健在だが、当時は20代であった分、更に若々しさも伴って、見事
にこの曲が要求しているピアニズムを十二分に発揮しきっている。所々に、「これがアルゲリ
ッチ!」と呼べる部分が散在している。この演奏を超えるには、相当な天才的な閃きとパッシ
ョンを兼ね備えたピアニストでないと無理ではないだろうかとも思わせる。
また、このCDは彼女のお得意であるラヴェルもカップリングされているので、CDとしても
超お薦め盤である。
アシュケナージ盤は、演奏こそ劣るが、お値段が安いことと、カップリングが、滅多に聴くこ
とのないプロコフィエフのピアノ協奏曲第4番と第5番であるのが魅力。プロコフィエフのピ
アノ協奏曲のファンには、超お薦めCDである。
最後には、期待の若手、キーシンの演奏がくる。如何せん、カップリングのチャイコフスキー
は無評価だが、キーシンのファンの方にはお薦めしたい。彼はまだ若いので、もしかしたらア
ルゲリッチ盤に匹敵する名演をいずれ録音する可能性もないとはいえない。その時には貴重な
1枚になると思われるがいかが?
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