名曲案内〜声楽曲編U〜

(フォーレ〜リヒャルト・シュトラウス)



    
  オーケストラや吹奏楽、ピアノなどからクラシックに親しんだ方にとっては、特に声楽曲は   
  馴染みの薄いことでしょう。しかし、合唱経験のある方は声楽曲からクラシック音楽に触れ
  るのも、とてもよい方法なのです。
  普段はあまり接する機会のない曲が多いですが、これら珠玉の作品たちも、クラシック音楽
  を担う立派な一ジャンルであり、クラシックの上級者の方でも、これらの作品に触れると、
  いかに大きな感動を与えてくれる曲ばかりなのかを実感することでしょう。
  声楽曲にも実は、クラシックを代表する名曲が多いのです。
  
    歌詞対訳のないCDや輸入盤は、インターネットである程度調べることが出来ますが、
  不便なため、評価ランクのところに「輸」あるいは「無」マークがあります。 

フォーレ   ・ブラームス   ・ヘンデル   ・ベートーヴェン

マーラー   ・モンテヴェルディ   ・モーツァルト   ・R.シュトラウス


声楽曲編T(秋川雅史〜バッハ)へ




☆フォーレ
作品NO.91 レクイエム ★★ 2016年6月最新更新
  
 ヴェルディモーツァルトのレクイエムと並んで、3大レクイエムの1つと呼ばれる、フォーレの代表
 作品であるとともに、あらゆる宗教曲の中でもトップクラスの人気があります。
 フォーレがパリのマドレーヌ教会の合唱長をしていた時に作られました。
 ヴェルディのレクイエムはオペラチックで劇的ですので、「フォーレの静、ヴェルディの動」と称され
 ていますように、こちらはおとなしく、慎ましく、瞑想的なレクイエムです。
 男声はバリトン、女声はソプラノの独唱歌手2名と合唱団によって歌われます。
 ヴェルディのレクイエムと同じく7曲構成ですが、こちらは規模が小さく、演奏時間は約40分です。
 その意味でも、ヴェルディよりはこちらを先に聴く方がお薦めです。

第3曲「サンクトゥス」
 ☆推薦盤☆     ★◎クリュイタンス/パリ音楽院管弦楽団(62)(ワーナー)        SS お薦め!    ○コルボ/ベルン交響楽団(72)(エラート)                    A    ・コルボ/ベルン交響楽団(72)(エラート)                    A    ▲ガーディナー/レヴォルショネール・エ・ロマンティーク管弦楽団(92)(デッカ)  A    クリュイタンス盤の評価が他のCDを圧倒していて、これが一番お薦めです。    第2にお薦めするコルボ盤は、ソプラノ独唱に女性の代わりに少年を使っていまして、純粋な    美しさではこちらの方が上だという声もあります。    3番目のCDは、再発売されたコルボのCDで、ちょっとお高くなっていますが、もしかする    と、上のCDはなくなってしまうかもしれません。    3番手として古楽器のガーディナー盤を挙げておきました。    フォーレについて触れられるのはここしかありませんので1つ。    フォーレの代表曲といえば何といってもこの「レクイエム」になりますが、かなり多くの方が    聴いたことがあると思われるのは下の「シシリエンヌ」という曲です。「シチリアーノ」と呼    ばれることもあります。原曲はチェロの曲なのですが、フルート用の管弦楽用に編曲されてい    まして、ヴァイオリン用などにアレンジされたものもあります。    ハープにのったフルートの音色が何とも言えず、どことなく郷愁漂うメロディーに惹かれたこ    とがある方も多いのではないでしょうか。
「ペレアスとメリザンド」より「シシリエンヌ」
   <更新のポイント> クリュイタンス盤のお薦め度を★にし、ガーディナー盤を追加しました。
☆ブラームス
作品NO.54 ドイツ・レクイエム ★★★ 2017年1月最新更新
  
 ブラームスがなぜレクイエムを作曲したのかは明らかになってはいません。この作品は他のレクイエム
 と違い、ラテン語で書かれているわけでもなく、そしてルター訳のドイツ語訳の旧約聖書などから、ブ
 ラームス自身が気に入った言葉を自由に選んで書いたものでして、通常のレクイエムの形式とは異なっ
 ています。
 従来のレクイエムは、神への許しを求め死者の平和を願う祈りであるのに対し、この作品は、生き残っ
 たものへの悲しみと慰めを主題にしているという点が特徴です。全部で7曲です。

第1曲「幸いだ、悲しんでいる人たちは」
 ☆推薦盤☆    ◎ジュリーニ/ウィーン・フィル(87)(グラモフォン)              A    ○クレンペラー/フィルハーモニア管弦楽団(61)(ワーナー)           A    ▲カラヤン/ベルリン・フィル(76)(ワーナー)                 A   B2△アーノンクール/ウィーン・フィル(07)(RCA)               A       △カラヤン/ベルリン・フィル(64)(グラモフォン)               A   △ガーディナー/レヴォリュショネール・エ・ロマンティークO(90)(デッカ)   A    ・カラヤン/ウィーン・フィル(83)(グラモフォン)               A        この作品のお薦めCDはいつも大混戦です。すべてA評価、横並びとお考え頂き、録音年、お    値段等、お好みで選んで頂くしかありません。私のお薦め度もかなり主観的です。    カラヤンは何とこの作品を6度も録音しているのに、これという演奏がありません。中では、    76年録音盤がワーナーミュージックから廉価で再発売されましたので、最もお薦めです。    1番下の83年録音盤は、2枚組でお高いのであまりお薦めできません。    1番のお薦めは今までと同じくジュリーニ盤にしました。お値段的にもお得です。    クレンペラー盤は古くから評価が高いです。ワーナーミュージックからの再発売により、歌詞    対訳ができました。お薦め度○にしたのは、ジュリーニ盤の方が録音が新しいからです。    アーノンクール盤は、録音が新しいく、高音質Blu-specCD2なのが魅力です。    また、古楽器がお好きな方にはガーディナー盤もお薦めしたいです。旧フィリップスの音源で    したが、デッカから再発売されました。    <更新のポイント> 2番目のジュリーニ盤と、カラヤン(83)盤を追加しました。
☆ヘンデル
作品NO.99 オラトリオ「メサイア」 ★★★ 2017年1月最新更新
  
 まず、「オラトリオ」というものについて簡単にご説明させて頂きますと、オラトリオとは、バロック
 時代に始まった音楽形式のことで、歌詞は聖書から採り、合唱曲を歌うものですが、単なる合唱曲では
 なく、形式は後のオペラに基づいていまして、オペラから演技や舞台装置を取り除いたもの、とお考え
 頂ければと思います。主にバッハハイドンなどの作曲家がオラトリオを作曲しています。
 ここでご紹介するヘンデルの「メサイア」ですが、この作品はオラトリオを代表する作品の一つでして、
 またバロック期の合唱曲としてはバッハの「マタイ受難曲」などと並んで有名な作品の一つです。
 「メサイア(messiah)」という名は、英語読みした「メシア(救世主)」に由来しています。歌詞はも
 ちろん聖書から採っていますが、すべて英語であるというのが特徴です。イエス・キリストの生涯を、
 独唱曲や合唱曲で歌い上げています。全3部構成とされています(元々決まった形はありません)。
 最も有名な曲は何と言っても第3部の合唱曲「ハレルヤ」で、ほとんどの方がご存知の「ハレルヤ・コ
 ーラス」です。
 バッハなどのミサ曲は概して暗い面がありますが、この「メサイア」は明るい雰囲気で、宗教的な声楽
 曲の暗さが苦手な方にはぜひ聴いて頂きたい逸品です。

第3部より 合唱曲「ハレルヤ」
 ☆推薦盤☆      ◎ガーディナー/イギリス・バロック管弦楽団(82)(デッカ)        S お薦め!    ・ガーディナー/イギリス・バロック管弦楽団(82)(デッカ)  抜粋盤      S     B2○アーノンクール/ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス(04)(RCA)     S    ・マクリーシュ/ガブリエリ・コンソート&プレイヤーズ(96)(アルヒーフ)    S    ・ピノック/イングリッシュ・コンサート(88)(アルヒーフ)           S    △ピノック/イングリッシュ・コンサート(88)(アルヒーフ)           S    ▲クレンペラー/ニューフィルハーモニア管弦楽団(64)(ワーナー)        A    この作品のCDはハイレベルな大激戦状態です。S評価の演奏を4つ並べましたがお好みとし    か言えません。とは言え、国内盤が廃盤のものがありますので、ある程度絞られてきます。    ヘンデルあたりになると、ほとんど推薦盤には古楽器演奏しかなくなっているのが現状でして、    ここでもクレンペラーが孤軍奮闘です。    バロック音楽と言ったら、古楽器演奏で聴くのが当たり前、というように、リスナーの我々の    耳も馴らしていかなければいけないのかもしれません。    ガーディナー盤が再発売されました。2011年から、「現在は輸入盤なので、国内盤が発売    されたら◎に」と公言していましたので、その通りにさせて頂きます。合唱が素晴らしいので    すが、それ以上に、2枚組にもかかわらず破格のお値段というのが魅力です。抜粋盤も挙げて    おきましたが、ほとんどお値段は変わりません。第1のお薦めです。    ○はアーノンクール盤にしました。こちらも合唱が素晴らしいです。録音年が新しく、Blu-sp    ecCD2であるのも魅力です。    マクリーシュ盤は評価は高いのですが、国内盤、輸入盤共に廃盤中です。    ピノック盤は国内盤が廃盤中のため、輸入盤を挙げておきましたが、歌詞が分からないため、    あまりお薦めできません。    最後のクレンペラーは現代楽器によるものです。評価は他のCDに比べて1ランク落ちますが、    古楽器が苦手な方にはお薦めしたいです。    <更新のポイント> アーノンクール盤、マクリーシュ盤を追加しました。
☆ベートーヴェン
作品NO.38 ミサ・ソレムニス ★★★★ 2016年4月最新更新
  
 「ミサ・ソレムニス」のことを、日本語では「荘厳ミサ」と呼びます。同じ「ミサ」だと思って、バッ
 モーツァルトと同じイメージを抱いてしまっては、痛い目に遭ってしまいます。ベートーヴェンが
 書いた最後の大宗教曲でありまして、大曲であるがゆえに難解な作品です。ベートーヴェンという名前
 につられて初心者の方が聴こうものならば、わけがわからなくなるでしょう。
 「名作曲家列伝」のページに書きましたが、ベートーヴェンという作曲家は、他のジャンルの作品でも
 交響曲的に聴こえるほど、分厚い音楽を作りました。この声楽曲でさえその例に漏れません。「第九」
 はもちろん交響曲ですが、まだ親しみやすいところがあるのに対して、この作品はいかにも「荘厳」と
 いう言葉が似合います。あまり大衆受けする作品ではありません。その分、作品としては大傑作でして、
 合唱自体は「第九」の第4楽章よりも優れているという声も多いほどです。
 5曲から成り立っていまして、曲数は少ないのですが、1曲1曲が長く、いきなり初めから通して聴く
 のは厳しいでしょう。まずは、第2曲「グローリア」、第3曲「クレド」、第5曲「アニュス・デイ」
 の3曲だけを聴き込むという方法がオススメです。

第2曲「グローリア」(バーンスタイン指揮同じ音源??)
 ☆推薦盤☆    ◎クレンペラー/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団(65)(ワーナー)      S    ○バーンスタイン/アムステルダム・コンセルト・ヘボウ(78)(グラモフォン)  S    ・カラヤン/ベルリン・フィル(66)(グラモフォン)              A    △カラヤン/ベルリン・フィル(66)(グラモフォン)              A       クレンペラー盤とバーンスタイン盤が共にS評価で、他に完全に差をつけている状況です。    私のお薦め盤はクレンペラー盤です。やや録音年は古いですが、お値段がお手ごろであるとい    うことと、彼の芸風のごとく、威風堂々とした立派さ、格調の高さが理由です。    クレンペラーとバーンスタインは芸風が正反対と言ってもいいタイプですので、好みの問題も    あります。    バーンスタイン盤は、待望の再発売がされました。2枚組ですので、お値段はクレンペラー盤    の約2倍です。    作品自体が難解で、あまりポピュラーな作品とは言えないのですが、この作品を愛聴する方に    は是非とも2つの演奏をお聴き頂きたいと思います。    カラヤン盤は国内盤がありませんので、輸入盤を挙げておきましたが、△にしたものの、お薦    めはできません。私の自論で、声楽曲は歌詞対訳がないと鑑賞にならないと思っておりますの    で、基本的に輸入盤はお薦めできません。    <更新のポイント> バーンスタインの国内盤を追加しました。
☆マーラー
作品NO.117 さすらう若人の歌 ★★ 2016年6月最新更新
  
 マーラーといえば何と言っても交響曲が代表作であるというイメージがあって、事実その通りに違いな
 いのですが、交響曲と歌曲が連作のような形になっています。これは有名な作曲家では珍しいです。
 特に最晩年の交響曲「大地の歌」では、歌曲そのものが交響曲となっています。
 全4曲からなり、伴奏はピアノとオケの2つのバージョンがありますが、後者が主流となっています。
 演奏時間は、4曲で20分弱。詩はマーラー自身によるもので、ヨハンナ・リヒターというソプラノ歌
 手と自らの失恋がテーマになっていまして、失恋に嘆く若者の苦悩を如実に描いています。
 この作品と連作になっているのは交響曲第1番「巨人」で、2つで1つといってもいいほどの関連性が
 あり、双方を聴けばより理解しやすいと言われています。第2曲が第1楽章に、第4曲が第3楽章にそ
 れぞれ転用されています。
 なお、歌詞についてはこちらをご参照下さい。

第1曲「恋人の婚礼の時」(何とディースカウ独唱!)
 ☆推薦盤☆       ◎ディースカウ/フルトヴェングラー フィルハーモニアO(52)(ワーナー)SS お薦め!    ▲ハンプソン/バーンスタイン ウィーン・フィル(90)(グラモフォン)   A    ○ハンプソン/バーンスタイン ウィーン・フィル(90)(グラモフォン)   A お薦め!      まずは何と言ってもフルトヴェングラー&ディースカウのCDです。古くからこの作品の定盤    中の定盤です。20世紀最高の指揮者と最高の歌手が組んだのですから、名前を見ただけでも    名盤と疑う余地がないほどでしょう。ダントツのSS評価です。    フィッシャー・ディースカウは20世紀屈指の男声歌手なので、ぜひ覚えておきたいです。    唯一の欠点は52年という録音で、しかも音質に定評があるわけではない旧EMIの音源とい    うことなのですが、リマスタリングによってかなり音質は良くなっているとは思われますし、    一般的に、声楽曲は多少録音が古くても鑑賞には差し支えないと言われています。    2番手はバーンスタイン盤です。こちらは90年という新しい録音ですので、フルトヴェング    ラー盤の大きな欠点を補っています。よって好みによっては、こちらをとる方もいらっしゃる    かもしれしれませんが、実は下のCDはかなり価値ありなのです。上のCDは、マーラーの歌    曲をもっと聴きたい方はどうぞ。    下のCDは、マーラーの交響曲第1番「巨人」交響曲第5番のところでも触れていますが、    「マーラー作品集」という2枚組で1500円のCDです。しかもA評価で関連性がある「巨    人」とのセットという粋な計らいがされている大変魅力的なCDです。更に!SS評価の第5    番も収録されていまして、3つの作品のCDそれぞれよりもお安いというのは、果たして販売    元のユニバーサル・ミュージックは気づいているのかと思えるほどです。超お得なCDです。    どうしても各作品ずつでなければ嫌という方でなければ、「巨人」「さすらう若人の歌」「交    響曲第5番」の3作品が約1500円で入手できます。これは超お得と言うほかありません。    その意味ではお薦め度◎のCDなのです。    <更新のポイント> 特に変わりはございません。
☆モンテヴェルディ
作品NO.122 聖母マリアの夕べの祈り ★★★★ 2016年6月最新更新
   
 モンテヴェルディは初期バロックの作曲家で、一般に鑑賞、演奏されるバロック期の作曲家では最古の
 存在にあたります。従って、クラシックの作曲家では最も古いと考えて頂いて差し支えありません。
 そのモンテヴェルディの代表作が「聖母マリアの夕べの祈り」で、宗教的な声楽曲ですが、この作品を
 声楽曲の最高傑作と呼ぶ人もいるくらいの大作、名作です。
 大きく分ければ14の部分からなり、細かく分ければ36の部分からなります。
 「夕べの祈り」とは、聖務日課のうち、聖母マリアにちなむ祝日の、日没ころに行われる祈り(これを
 晩課と言います)のための音楽です。

第2曲 詩篇109「主はわが主に言いたまえり」(何とガーディナー指揮89年ライヴ映像!)
 ☆推薦盤☆    ・ガーディナー/イギリス・バロック管弦楽団(89)(アルヒーフ)       SS    ・ヤーコプス/コンチェルト・ヴォカーレ(95)(ハルモニア・ムンディ・フランス)A    ・アレッサンドリーニ/コンチェルト・イタリアーノ(04)(NAIVE)     A    ◎クリスティ/レザール・フロリサン(97)(エラート)             A    ・マクリーシュ/ガブリエリ・コンソート&プレイヤーズ(05)(アルヒーフ)   A    ▲マクリーシュ/ガブリエリ・コンソート&プレイヤーズ(05)(アルヒーフ)   A    ○パロット/タヴァナー・プレイヤーズ&コンソート(83、84)(エラート)   B    バッハヘンデルでさえ、昨今は古楽器演奏が主流で、かろうじてリヒタークレンペラーに    よる現代楽器での演奏を聴くことができるのですが、更に古いモンテヴェルディとなっては、    現代楽器の推薦盤を探すこと自体が困難な状況です。しかも現在、輸入盤や廃盤がやたらと多    いです。古楽器演奏家しか録音していないのではないでしょうか。    「カラヤン/ベルリン・フィル」という分かりやすいCDでもあればいいのですが、作品の性    質からして、演奏者は全く馴染みのないものばかりです。    他のCDよりも評価で決定的な差をつけているガーディナー盤が完全な廃盤中のため、CD選    びも大変です。    私は、声楽曲は輸入盤をあまりお薦めしません。歌詞対訳が読めないからです。    そういう観点でお薦め盤に印をうちました。    A評価のCDはどれも似たり寄ったりですので、◎はお安くもあるクリスティ盤としました。    また、○はB評価ながら国内盤があるパロット盤としました。マクリーシュ盤は国内盤がなく、    輸入盤を挙げておきました。他は輸入盤しかありません。    <更新のポイント> B評価だったコルボ盤を外し、アレッサンドリーニ盤、クリスティ盤、              マクリーシュ盤、パロット盤を追加しました。
☆モーツァルト
作品NO.148 戴冠ミサ曲 ★ 2016年6月最新更新
  
 天国的な美しい旋律を作り出すモーツァルトが、声楽曲を作ったとしたらどんなイメージをお持ちにな
 るでしょう。実際は、モーツァルトの声楽曲で最も有名な作品は次にご紹介する「レクイエム」でして、
 作品の性質からして暗さが充満しています。これではモーツァルトの魅力が半減してしまいます。「レ
 クイエム」以外には、主にミサ曲を作曲したのですが、その中で最もモーツァルティックな魅力に満ち
 た作品としては、この「戴冠ミサ曲(あるいは戴冠式ミサ曲とも呼ばれます)」が最有力候補です。
 全部で6曲構成という短い作品ですが、1曲目の「キリエ」の冒頭から天国的な美しさ満点です。
 あるいは、6曲目の「アニュス・デイ」の旋律の美しさといったらどうでしょう。とてもこの世の音楽
 とは思えないです。2曲目の「グローリア」も次々と出てくる美しい旋律に我を忘れてしまいます。
 この作品は以上のように旋律がとても親しみやすく、また1曲が短いですので、初心者の方でも堪能で
 きます。声楽曲を聴こうという方は、まずはこの作品からいかがでしょうか。
 合唱経験からクラシックを聴こうという方でも、あるいは交響曲やピアノ曲には詳しいけれども声楽曲
 には触れていないという方でも、とにかくこの作品を聴いて頂きたいのです。これを聴かないなんて本
 当にもったいないと思うのです。

全曲(カラヤン指揮)   第6曲「アニュス・デイ」(カラヤン指揮バトル独唱抜粋)
 ☆推薦盤☆       ◎クーベリック/バイエルン放送交響楽団(73)(グラモフォン)     SS    ○カラヤン/ベルリン・フィル(75)(グラモフォン)           A    ▲コープマン/アムステルダム・バロック管弦楽団(94)(エラート)    A         「戴冠ミサ曲」の名盤紹介をしている書籍は非常に少ないです。    クーベリック盤が断然のSS評価です。お値段もお安いですし、無難な演奏と思われますので、    第一にお薦めします。    カラヤン盤は75年録音の旧盤の方です。A評価の「レクイエム」とのカップリングで、クーベ    リック盤よりは少しお高いだけです。私個人的には、クーベリック盤よりもこちらの方が好み    です。    上のYOUTUBEからお聴き頂けるのは、おそらく同じ音源かと思われる新盤の方ですのでご参考    までにどうぞ。ちなみに、ソプラノ独唱は、歴史に名を残す名歌手キャサリン・バトルです。    新盤はB評価ですので割愛しました。    コープマン盤は古楽器の演奏ですので、古楽器が好きな方向けです。録音が新しいためか、メ    リハリがあって非常に聴き取りやすいのですが、やや即興的で純粋な美しさに欠けている気が    しないでもないです。格安なのは魅力的です。    <更新のポイント> クーベリック盤の評価をSSとし、デイヴィス盤を外しました。
作品NO.149 レクイエム ★★★ 2017年1月最新更新

 モーツァルトの「レクイエム」については伝説化されているところがありまして、諸説が入り乱れ、今
 でも研究がされている段階です。はっきりと分かっていますのは、モーツァルト自身が作曲したのは第
 1曲と第2曲だけということです。他は、声楽部だけをモーツァルトが作曲し、オケの部分はモーツァ
 ルトの指示に基づいて弟子が作曲したということですが、いずれにしてもモーツァルト以外の人の手が
 加えられているのは事実です。よって、完全に「モーツァルト作曲」の曲は2曲しかありません。
 まず、作曲の経緯からご説明しますと、ある日、ネズミ色のマントを着た男がモーツァルトの前に現れ、
 「名前は聞かないでほしいが『レクイエム』を作曲してほしい」と頼みました。当時、オペラの「魔笛」
 作曲に取り掛かっていたモーツァルトは貧困と病気にあえいでいましたが、もはや命が長くはないこと
 を自覚していましたので、「これは地獄からの使者ではないか」と思い、レクイエムの作曲を承諾しま
 す。そして「自分自身のために」レクイエムの作曲に取り掛かった、とされています。この「自分自身
 のために」という部分が未だ謎の部分で、夭折の天才モーツァルトを伝説化したもの、という説があり
 ます。といいますのは、ネズミ色のマントを着た男も、その男にレクイエムの作曲を依頼させた人物も
 実在の人物であることが分かっていまして、モーツァルトのレクイエム作曲の意図が今一つよく分かっ
 ていないからです。「モーツァルトの書簡」も残っているのですが、それも偽作であるという説があり、
 全く真相は定かではないのが現状です。
 さて、病気は急に重くなり、いよいよこの作品の進行もままならなくなってしまいました。そこでモー
 ツァルトは信頼していた弟子を呼び、この作品を書き進めるよう指示しました。結局、モーツァルトは
 この作品の完成をみないうちに生涯を閉じ、翌年、弟子の補筆を加えた形で完成したのです。全部で1
 4曲からなりますが、すべてをモーツァルト自身が作曲したわけではないですので、この「補筆」に関
 しては様々な波紋を呼んでいます。CDのほとんどは、「補筆」による楽譜を使用した演奏なのですが、
 後に2人のモーツァルト研究家が補筆した楽譜を使用したCDも出ています。つまり、同じモーツァル
 トの「レクイエム」でも、CDによって曲が違うということが起きてしまっています。ここではこれ以
 上詳しいことは割愛させて頂きますので、興味のある方は是非他の専用サイトをあたってみて下さい。
 作品の特徴は、死を前にしたモーツァルトはもはや聴衆のことは考えず、自分の精神状態を吐露するか
 のように作曲しました。そのため、貧困と病気にあえいでいた晩年でさえ明るい曲を作曲していたので
 すが、この作品は例外的に暗く、深刻な曲となっています。すなわち、モーツァルトらしくない曲なの
 がこの「レクイエム」で、モーツァルトの「最期」の作品です。

第8曲「ラクリモーザ」(ベーム指揮)
 ☆推薦盤☆   ◎ベーム/ウィーン・フィル(71)(グラモフォン)            S お薦め!   B2○アーノンクール/ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス(03)(RCA) S   ▲ガーディナー/イギリス・バロック管弦楽団(86)(デッカ)       A    △カラヤン/ベルリン・フィル(75)(グラモフォン)           A    △バーンスタイン/バイエルン放送交響楽団(88)(グラモフォン)     B      20世紀中はベーム盤が断然の評価を得ていた名盤でした。今回の更新まではSS評価にして    いましたが、21世紀録音のアーノンクール盤が肩を並べているという状態です。    お薦め◎はベーム盤で変わりありません。アーノンクール盤も確かに素晴らしいのですが、古    楽器演奏であるということと、アーノンクールならではの斬新な演奏スタイルがありますので、    やはりまずはベーム盤から聴いて頂きたいからです。    ガーディナー盤も古楽器演奏です。この作品のCDとしては安定した評価を得ていますのでお    薦め度▲にしましたが、古楽器がお好みに合うかどうかです。    カラヤン盤は、86年のウィーン・フィル盤よりも、75年のベルリン・フィル盤の方が評価    は高いです。また、上でご紹介している「戴冠ミサ曲」が入っていますので、そちらもお聴き    になりたい方にはお薦めです。    最後のバーンスタイン盤は、評価はB評価と他のCDよりも低いのですが、例の「モーツァル    ト研究家」バイヤーによる補筆の楽譜を用いた演奏の代表盤でして、ベーム盤とは内容がかな    り異なります。そういう意味で採り上げておきました。    なお、他の楽譜による演奏に興味がある方は、専門の文献、ホームページをあたって下さい。    <更新のポイント> ベーム盤の評価をSSからSに下げ、アーノンクール盤をSに上げました。              また、ワルター盤を外しました。
☆リヒャルト・シュトラウス
作品NO.206 4つの最後の歌 ★★★ 2017年2月最新更新
   
 この歌曲集は文字通りリヒャルト・シュトラウスの最後の作品でして、あらゆる歌曲の中でも傑作の誉
 れが高いです。全曲ともソプラノ独唱とオーケストラのために書かれ、詩はヘッセとアイヒェンドルフ
 に基づいています。全曲とは「春」「九月」「眠りにつこうとして」「夕映えの中に」の4曲です。
 主題は翌年に亡くなるリヒャルト・シュトラウスそのものの死への諦念ですが、第1曲のみ、春の至福
 を歌っています。
 演奏時間は、第1曲が約3分、第2、3曲が約5分ずつ、第4曲が約8分で合計約22分と決して長い
 ものではありませんので、聴きやすいです。
 この作品は、作曲者の「辞世の句」ともいえる作品で、至高の境地、すでに作曲者の魂は浄化されてい
 るがごとく、この世の音楽とは思えないものがあります。特に第4曲が聴き所です。
 歌詞については、こちらからどうぞ。

全曲(何とシュヴァルツコップ独唱!)
 ☆推薦盤☆   ★◎シュヴァルツコップ/セル ベルリン放送交響楽団(65)(ワーナー) SS お薦め!    ○ヤノヴィッツ/カラヤン ベルリン・フィル(73)(グラモフォン)   A        20世紀を代表するソプラノ歌手、シュヴァルツコップの演奏は、ダントツの評価を得ている    不滅の名盤となっています。お薦め度は★です。上のYOUTUBEへのリンクは同じ音源です。    シュヴァルツコップの歌唱が大変素晴らしいのは事実なのですが、人間味が出過ぎていて、曲    の性質からいって、もっと透明感がある方がよりこの世との惜別の念としてふさわしいと考え    る評論家は、純粋さに満ちたカラヤン&ヤノヴィッツ盤をお薦めしています。    つまり、第4曲あたりでは、作曲者であるリヒャルト・シュトラウスの魂は、もはや現実の世    界にあるものではないと解釈する評論家が多いです。この曲のファンの方は、できれば両方持    っておきたいところです。        <更新のポイント> 特に変わりはございません。


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