名曲案内〜管弦楽曲・室内楽曲編T〜

(アンダーソン〜グリーグ)



    
  クラシックの大曲といえば交響曲ですが、管弦楽曲、室内楽曲も美しい弦の響き、アンサンブル
  などが聴き手を魅了してやみません。交響曲よりも聴きやすいので、クラシックの入門用として
  も高い価値があります。また、一度は聴いたことのある曲も多いことでしょう。
  ちなみに、管弦楽曲とはフルオーケストラ用でない曲のこと、室内楽曲とは各楽器一人ずつによ
  るアンサンブル曲のことを指すようですが、区別は明確ではありません。
   *推薦盤にある(P)はピアノの略です。  

アンダーソン   ・エルガー   ・ガーシュウィン   ・クライスラー   ・グリーグ


管弦楽曲・室内楽曲編U(サラサーテ〜シューベルト)へ     ・管弦楽曲・室内楽曲編V(スメタナ〜ハイドン)へ     

管弦楽曲・室内楽曲編W(バッハ〜フランク)へ     ・管弦楽曲・室内楽曲編X(ブラームス〜ヘンデル)へ 

管弦楽曲・室内楽曲編Y(ベートーヴェン〜メンデルスゾーン)へ     ・管弦楽曲・室内楽曲編Z(モーツァルト)へ

管弦楽曲・室内楽曲編[(ラヴェル〜リムスキー=コルサコフ)へ     ・管弦楽曲・室内楽曲編\(レスピーギ〜シュトラウスファミリー)へ




☆アンダーソン
作品NO.86 アンダーソン名曲集 ★ 2016年6月最新更新

 アンダーソンという作曲家はアメリカの現代作曲家で、非常に軽快な、管弦楽曲の小品を残しました。
 1975年まで生きましたので、完全に現代の作曲家ですが、作品をクラシックとみなすのか、ポピュ
 ラーミュージックとみなすのかは難しいところがあります。日本でいえば、坂本龍一あたりと同じとい
 うことでしょうか。一体「クラシック音楽」の定義とは何なのかと考えてしまいます。
 ファンの間では、どちらにも属さない「アンダーソン・ミュージック」と呼ばれていますが、このあた
 りの判断は学問的な問題ですので、ここでは割愛させて頂きます。CDはもちろんクラシックコーナー
 にあります。
 「アンダーソン・ミュージック」の特徴は、軽快で、愉快で、親しみやすく、そして短く、お子様でも
 楽しめる点にあります。重く、長いイメージのあるクラシックと一線を画している最大の点はここにあ
 ります。ライト・クラシック音楽といったところでしょうか。
 CDは「名曲集」があります。下にリンクがある「そりすべり」や「トランペット吹きの休日」、また
 「シンコペイテッド・クロック」などは誰もが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
 特に「トランペット吹きの休日」は、運動会の定番BGMです。

そりすべり シンコペイテッド・クロック トランペット吹きの休日
 ☆推薦盤☆    ◎「ルロイ・アンダーソン名曲集」 フィードラー/BPO(58〜63)(BMG)    S    ○「コレクション」 アンダーソン/自作自演(52〜62)(ビクター)         S    ▲「ルロイ・アンダーソン名曲集」 アブラヴァネル/ユタ交響楽団(67)(ヴァンガード)S    *BPOはボストン・ポップス・オーケストラの略です    まず、フィードラー指揮のものは、このCDによって一気にアンダーソンの曲がポピュラーに    なった記念碑的CDとされていまして、アンダーソンの曲集としては定盤とされています。や    はりこれが一番のお薦めです。    次に、「コレクション」と題されたCDですが、これはアンダーソン自作自演の2枚組のCD    です。2枚組で収録曲数では一番というのが魅力なのですが、録音が古いのが欠点です。    最後のアブラヴァネル盤は、評価も高くお安いのですが、フィードラー盤に比べると曲数が1    5曲だけというのは痛いところでしょう。    <更新のポイント> 特に変わっておりません。

☆エルガー
作品NO.87 行進曲「威風堂々」第1番 ★ 2021年2月最新更新

 エルガーという作曲家についてご紹介しますと、小曲にポピュラーな「愛の挨拶」があります。
 また、「チェロ協奏曲」もありますが、一般の方には馴染みが少ないです。
 その点、この「威風堂々」第1番の主題は頻繁にコマーシャルで使われていることもありまして、曲名
 とメロディは一致しなくとも、ちょっと聴けばすぐに思い出す方は多いはずでしょう。
 「威風堂々」は第5番までありますが、第1番がダントツで有名です。
 行進曲だけに、胸が奮い立つような名作です。イギリスでは、現在でも大きな催し物では必ず演奏され
 る国民的名曲として親しまれています。

「威風堂々」第1番より(有名な主題は5:05からです)
 ☆推薦盤☆    ◎プレヴィン/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団(85)(デッカ)   SS    ○ショルティ/ロンドン交響楽団(77)(デッカ)             A    ▲バルビローリ/フィルハーモニア管弦楽団(62)(ワーナー)        A    プレヴィン盤が断然のSS評価です。    プレヴィンは、この曲のように演出性のある管弦楽曲においては天下一品の名盤制作者です。    ショルティ盤とバルビローリ盤がそれに続くという評価でほぼ定まっています。      ショルティ盤もお薦めです。これはホルストの「惑星」にカップリングとして収められている    CDです。かなりの盲点でしょう。    「惑星」をお聴きになるという方には、ショルティの「威風堂々」も同時についてくるという    感覚ですので、実は相当お得なCDです。その意味ではお薦め度◎です。    バルビローリ盤は、ショルティの「かくれCD」を考えれば3番手にせざるをえませんが、お    安いですし、何よりバルビローリの「お国もの」だけに無視はできません。

☆ガーシュウィン
作品NO.92 ラプソディ・イン・ブルー ★★ 2021年3月最新更新

 作曲者ガーシュウィンは1898年生まれのアメリカの作曲家ですので、元々ポピュラーソングの作曲
 家でしたが、その後ロマン派の手法を学び、このような独特の作品を作曲しましたので、この作品は一
 応、クラシック音楽に分類されています。しかし、スタイル、曲調はロマン派の作品とは一線を画して
 おりまして、あまりクラシック音楽という感じはしません。
 事実、これはバンド用に書いたものでして、ジャズの手法と協奏曲の形式を融合させたユニークな作品
 です。ピアノやトランペットなども即興的、アドリブ的で、ジャズがお好きな方にはお薦めです。

第1楽章(何とバーンスタイン指揮+演奏)
 ☆推薦盤☆    ◎バーンスタイン(弾き振り)/コロンビア交響楽団(59)(SONY)     S    ○T・トーマス(弾き振り)/ロサンジェルス管弦楽団(82、83)(SONY) S    ▲プレヴィン(弾き振り)/ピッツバーグ交響楽団(84)(デッカ)       A    ・プレヴィン(弾き振り)/ロンドン交響楽団(71)(ワーナー)        A    ・コステラネッツ/コステラネッツ管弦楽団 プレヴィン(P)(60)(SONY)A  この作品はジャズの要素が多分にあるため、当時のアメリカの音楽に通じている者でなければ、    なかなか名演奏は出来ないとされています。よって、アメリカ生まれのバーンスタインを始め、    アメリカ系の指揮者の演奏が上位を占めています。    (弾き振り)となっているのは、ピアノを演奏しながら指揮もしているということでして、こ    の作品のCDには多いです。上のリンクからバーンスタインの「演奏」ぶりをご覧下さい。    バーンスタイン盤は定盤中の定盤で、作曲者と同じアメリカ出身でもあり、ジャズ・ピアニス    トとしてのセンスが抜群に活きている、古くからの名盤です。59年という録音がいささか古    いのが難点ですが、かえって若々しさが評価されている演奏となっています。    トーマス盤はお安いのが嬉しいです。    プレヴィンの新盤は、自身が優れたジャズ・ピアニストであったということもあってか、プレ    ヴィンの十八番だという声があるほどです。私もどちらかといえばバーンスタイン盤よりもこ    ちらをお薦めしたいくらいです。    それに対して旧盤は、プレヴィンが若いだけに、ピアノ演奏に即興が聴いていて面白いですが、    このCDとプレヴィンがピアニストとして登場しているコストラネッツ盤は廃盤中のようです。

☆クライスラー
作品NO.240 ヴァイオリン小品集 ★★ 2021年4月最新更新

 一般に、自作自演は不評です。その中でも、指揮者のバーンスタイン、ピアニストのラフマニノフ、そ
 してここでご紹介する、ヴァイオリニストのクライスラーの自作自演盤は好評です。詳しくは下の推薦
 盤をご覧頂きたいのですが、とりわけクライスラーの自作自演は高評価で、その要因としましては、や
 はりクライスラーという世紀の大ヴァイオリニストがいかに芸達者であったかに因ると思われます。
 「ヴァイオリン小品集」となっていますが、断然に有名なのは、「愛の喜び」、「愛の悲しみ」、「美
 しきロスマリン」の3曲です。

「愛の喜び」(自作自演静止画)  「美しきロスマリン」(自作自演静止画)
 ☆推薦盤☆   ☆◎クライスラー/ラムソン(P)(1916〜29)(RCA)         SS    〇パールマン/サンダース(P)(76〜78)(ワーナー)           A    ▲シェリング/ライナー(P)(63)(マーキュリー)             A        クライスラーの自作自演のCDが文句なしのSS評価です。    ところが、なんと録音年は100年前後も昔のものです。こういう推薦盤は例外中の例外で、    余りに古いのですが、それだけ演奏が傑出しているということなのでしょう。上記のように、    クライスラーの、19世紀風、古き良き時代の洒脱な演奏、節回しなどは、真似することすら    不可能と言われています。記録としての価値も絶大です。    問題の音質についてですが、ご参考までに挙げた上のYOUTUBEへのリンクをお聴き頂けば、ほ    ぼ同じです。オーケストラではなく、ヴァイオリンとピアノだけですので、さほど鑑賞に差し    支えないと思われるのではないでしょうか。    なお、やはり音質にはこだわりたい方にはお薦め度〇としてパールマン盤を、お値段もお安く    というご希望の方にはシェリング盤をお薦めします。

☆グリーグ
作品NO.94 劇音楽「ペールギュント」全曲または抜粋 ★★★ 2021年3月最新更新
 
  ノルウェーの作曲家であるグリーグの抒情溢れる代表作で、いかにも北欧の雰囲気に包まれています。
 ペール・ギュントというのは、ノルウェーの文豪イプセンの劇の主人公の名で、イプセンが上演にあた
 り伴奏音楽を依頼したのが作曲の由来です。全部で26曲からなる劇音楽で、独唱あり、合唱ありの魅
 力作ですが、後にオーケストラだけの曲を8曲選んで、4曲ずつの第1組曲、第2組曲と名づけました。
 しかし最近は組曲だけでなく、独唱や合唱入りの曲も取り混ぜた抜粋盤が流行しています。
 この作品の第1組曲第1曲の「朝」は学校の教科書にのっていることが多いので、聴き覚えのある方も
 多いのではないでしょうか。下のリンクからお聴き下さい。

第1&第2組曲
 ☆推薦盤☆    ◎ネーメ・ヤルヴィ/エーテボリ交響楽団(87)(グラモフォン)   全曲26曲 SS    ・ネーメ・ヤルヴィ/エーテボリ交響楽団(87)(グラモフォン)    組曲8曲 SS    ○パーヴォ・ヤルヴィ/エストニア国立交響楽団(04)(エラート)  抜粋20曲  A    ▲カラヤン/ベルリン・フィル(71)(グラモフォン)         組曲8曲  A        ネーメ・ヤルヴィはパーヴォ・ヤルヴィの父です。親子で同じ作品を得意としています。    SS評価で抜けているのはネーメの全曲盤ですが、国内盤は廃盤中ですので、輸入盤です。や    はり全曲を聴いて頂きたいと思いますので、これを◎としました。    気軽に味わいたい方には、組曲盤を下に挙げておきました。    パーヴォの新盤は、全26曲中20曲は収録されていますので、ほぼ全曲盤とも言える抜粋版    です。    3番手としてカラヤン盤も挙げておきました。お安いのが嬉しいです。

作品NO.95 ホルベルク組曲 ★ 2021年3月最新更新
 
  グリーグはノルウェー、すなわち北欧の作曲家です。シベリウスもそうなのですが、北欧の作曲家によ
 る曲には、本場のドイツ、オーストリアなどとは違った独特の雰囲気があります。ペール・ギュントと
 同様に、ここでご紹介したい「ホルベルク組曲」も北欧風の抒情的な雰囲気が充満している、魅力的な
 作品です。決してポピュラーな作品ではないですが、そのムードが魅力的なことと、第4楽章のアリア
 を除けば初心者の方でも気軽に聴ける小品であるという点からご紹介することとしました。
 「ホルベルク」とはノルウェー文学の始祖で、生誕200年祭のために書かれました。
 作品名は「ホルベアの時代から」と表記されていることも多いです。

第1楽章     第3楽章
 ☆推薦盤☆    ◎ネーメ・ヤルヴィ/エーテボリ交響楽団(92)(グラモフォン)    ?    ○新イタリア合奏団/(99)(デンオン)               ?    ▲スウィトナー/シュターツカペレ・ベルリン(76)(キングレコード) ?    △カラヤン/ベルリン・フィル(81)(グラモフォン)         ?    「ホルベルク組曲」の名盤について紹介している本は、ほとんど見たことがありません。    よって、結構な枚数があるこの作品のCD(国内盤+輸入盤)の中から、きっとこれは良いだ    ろうと思えるものを私の主観で4枚選びました。ここに挙げた4枚以外のCDは、ほとんど無    名の指揮者や楽団によるものであるということをご了承下さい。    まず、ネーメ・ヤルヴィ盤とカラヤン盤は大オーケストラによる演奏だけに、スケールがやや    大きいです。ネーメ盤は約1000円とお安く、アンサンブルが綺麗なのに対しまして、カラ    ヤン盤は抒情性に欠ける印象を受けますし、お高いですので、私のお薦めはネーメ盤の方です。    新イタリア合奏団盤は、オーケストラではないですので、小編成で即興的です。「管弦楽団」    によるホルベルクを聴きたい方はこちらがお薦めです。値段がお安いのが嬉しいです。    スウィトナー盤は、ジャケットでかなり絶賛されています。他の演奏に比べると、ややスロー    テンポでスケールは大きいのですが、私の好みで言うと、もっと軽快な方がいい気がします。



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