☆ヴィヴァルディ |
作品NO.223 協奏曲集「四季」 ★ 2017年2月最新更新 |
ヴィヴァルディと言ったら「四季」、「四季」と言ったらヴィヴァルディです。
「四季」はあらゆるクラシック作品の中でも最もポピュラーな作品の一つです。特に「春」の第1楽章
は聴いたことのない方はいないのではないでしょうか。春夏秋冬の4つの季節感を音だけで見事に表現
した名曲中の名曲です。
とは言いましても、ほとんどの方は春の第一楽章だけを聴いたことがあるということではないでしょう
か。各季節に3曲ずつありますので、春夏秋冬で4季節、計12曲で構成されています。協奏曲は普通
3楽章しかありませんので、これは珍しいケースです。バロック時代という古い時代に作曲されたとい
うこともあるのでしょう。
この古い作品を一気にポピュラーな作品に高めたのは、ドイツのミュンヒンガー率いるシュトゥットガ
ルト室内管弦楽団の1951年録音の演奏で、世界的な大ヒットとなりました。
そして、更にイタリア特有の「歌うような(カンタービレ)」演奏で芸術性を高め、同じく大ヒットと
なり、日本でも現在のように、この作品の確固たる地位を築き上げたのは、イタリアのイ・ムジチ合奏
団でありまして、「四季」は同合奏団の代名詞にもなっています。初録音から50年以上経った今でも、
まさに模範通り、オーソドックスな「四季」を聴かせてくれますので、来日の際にはぜひ生演奏をお聴
きになるのをお薦めします。
「春」第1楽章(クレーメル演奏) 「冬」第2楽章
☆推薦盤☆
〇ビオンディ/エウローパ・ガランテ(00)(エラート) S
▲S・クイケン/ラ・プティット・バンド(06)(ACCENT) S輸
・イル・ジャルディーノ・アルモニコ(93)(テルデック) A
◎イ・ムジチ合奏団/カルミレッリ(Vn)(82)(デッカ) A
△ムター/トロンヘイム・ソロイスツ(99)(グラモフォン) A
「誰もが一度は聴いたことがある」というこの作品の性質からして、◎はイ・ムジチ盤としま
した。独奏のカルミレッリもそうですが、非常にオーソドックスで、巷でよく流れている通り
の、かつ美音と流麗さに満ちた「四季」です。その意味では、これ一枚あれば、「四季」のC
Dは他にいらないと言える一枚でしょう。
古楽器演奏で聴きたい方にはS・クイケン盤がお薦めです。こちらもオーソドックスです。
そういう演奏は聴き飽きた、あるいはそういう演奏では物足りないという方にはビオンディ盤
がお薦めです。かなり即興的で、初めて聴くような場面が続出します。愉しい「四季」です。
イル・ジャルディーノ・アルモニコ盤は廃盤中のようです。
ムター盤は、現代楽器の演奏をお好みの方にはイ・ムジチ盤の次にお薦めします。
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作品NO.224 フルート協奏曲 Op10 ★★ 2017年2月最新更新 |
フルート協奏曲と言えば、モーツァルト作曲の2つの演奏機会が断然多いのですが、バロック時代のフ
ルート協奏曲といえば、何と言ってもこの、ヴィヴァルディの作品が名高いです。。あえて「フルート
協奏曲『Op10』」としてご紹介したのは「名作曲家列伝」でご紹介してある通り、ヴィヴァルディ
は実に500もの協奏曲を作曲したため、作品を間違えやすいためです。特に輸入盤ともなりますと、
買い間違えも起こってしまいかねないのでご注意下さい。
「Op10」というのは、作品10という意味です。この作品、つまり「フルート協奏曲集作品10」
は6つの曲集から成っていて、曲集2のみが6楽章構成で、あとはすべて3楽章構成ですので、全部で
21曲から成っています。ほとんど2、3分の曲ばかりですので、21曲とは言っても、初心者の方で
も聴きやすいでしょう。
とりわけ有名なのは第1から第3の曲集で、それぞれ第1曲集には「海の嵐」、第2には「夜」、第3
には「五色ひわ(ごしきひわ:五色のとりのことです)」という副題がついています。
いかにもバロック的な弦楽器の旋律と、名人芸的なフルートとの掛け合いが見事な曲集です。
第3曲集「五色ひわ」第1楽章
☆推薦盤☆
◎有田正広/東京バッハ・モーツァルトアンサンブル(90)(デンオン) S
・ブリュッヘン(指揮、演奏)/18世紀オーケストラ(79)(セオン) S
・アントニーニ/イル・ジャルディーノ・アルモニコ(90)(テルデック) S
・ガッゼローニ/イ・ムジチ合奏団(68)(フィリップス) A
・ガッゼローニ/イ・ムジチ合奏団(68)(フィリップス) A輸
CDは輸入盤も含め5つ挙げてあるのですが、廃盤だらけで、唯一残っているのが一番上、S
評価の有田正広盤です。CDとしてはお安いですので、他のCDがあったとしてもお薦めはこ
のCDです。古楽器による演奏です。
ブリュッヘンは、本業は指揮者ですが、元々管楽器奏者であったため(何と中学校の音楽の教
科書にも載っています)、時々このように、演奏者としても参加することがあります。
しかし、ブリュッヘンにはよくある廃盤中ですので、リンクだけ残しておきました。
アントニーニ盤も廃盤中です。
ブリュッヘン盤、アントニーニ盤共に古楽器演奏です。
現代楽器による演奏がお好みの方には、ガッゼローニ(ザッケローニではありません)をソリ
ストとしたイ・ムジチ盤がお薦めなのですが、国内盤、輸入盤共に旧フィリップス音源で再発
売されていないため、完全廃盤中です。
このように廃盤だらけで、結局有田正広盤だけが残っているという状況です。
<更新のポイント> アントニーニ盤を追加しました。
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☆エルガー |
作品NO.87 チェロ協奏曲 ★★★ 2021年2月最新更新 |
弦楽器の協奏曲は、やはりヴァイオリン協奏曲に名作、有名作が多く、次に多いのがチェロ協奏曲です。
ヴァイオリンには高音の魅力が、チェロは低音の魅力がありまして、好みはそれぞれです。
ヴァイオリン協奏曲は4大ヴァイオリン協奏曲という名があるように一般的にもポピュラーですが、チ
ェロ協奏曲と言えばこのエルガーの作品と、ドヴォルザークの作品の2つが突出して有名です。
もちろん、ヴィオラ協奏曲、コントラバス協奏曲もありますが、CDで鑑賞されることはほとんどない
(興味のある方は他のサイトでお調べ下さい)のが現状です。私も聴いたことすらありません(恥)
チェロという楽器は低音の響きが何とも言えない哀切な響きを醸し出すので、熱烈なファンが多いです。
エルガーのこの作品は、推薦盤でご紹介しているデュ・プレの演奏によってポピュラーとなった、エル
ガーの晩年の傑作です。
全編独特の哀感に満ちていまして、チェロという楽器の音色の魅力を存分に活かした名曲で、テクニッ
クよりは全曲の雰囲気を味わいたい逸品です。
第1楽章(何とデュプレ!&多分バレンボイム演奏)
☆推薦盤☆
★◎デュ・プレ/バルビローリ ロンドン交響楽団(65)(ワーナー) SS
・ヨーヨ・マ/プレヴィン ロンドン交響楽団(75)(SONY) A
・ケラス/ビエロフラーヴェク BBC交響楽団(12)(ハルモニア・ムンディ) A
・フルニエ/ウォーレンステイン ベルリン・フィル(66)(グラモフォン) A
△カザルス/ボールト BBC交響楽団(45)(Naxos) 伝
やはり、この作品の演奏者としては第一人者であるデュ・プレの演奏がトップの評価を確立し
ていまして、デュ・プレの代名詞的演奏にもなっています。お薦め度は★です。
トップ評価なのはバルビローリとの旧盤で、当時の夫、バレンボイムとの新盤の方ではないの
でご注意下さい。デュ・プレも、指揮者バルビローリも、オケのロンドン交響楽団もイギリス
という、すべて同じイギリス出身のエルガーにふさわしいキャストとなっています。
ヨーヨ・マ盤、ケラス盤、フルニエ盤はすべて廃盤中のようです。
カザルス盤は録音が古いですので、上級者の方向けです。
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☆グリーグ |
作品NO.93 ピアノ協奏曲 ★★ 2021年3月最新更新 |
この「ピアノ協奏曲」は「ペールギュント」と共にグリーグの最高傑作でありまして、数あるピアノ協
奏曲のなかでもとりわけ有名な作品で、演奏回数も非常に多いです。各楽章ともそれほど長くなく、次
々と押し寄せてくる音の波を聴いているといつのまにか終わってしまう印象が強いですので、ピアノ経
験のある方は特に聴きやすいのではないでしょうか。演奏時間は約30分です。
第1楽章はまさにピアニズムの極といった感じがあり、あらゆるピアノ協奏曲の中でも傑作に挙げられ
る逸品です。第2楽章は対照的に、天上の音楽のような雰囲気をもっています。第3楽章はスケールの
大きい曲で、全曲を締めくくります。
全楽章
☆推薦盤☆
◎リヒテル/マタチッチ モンテ・カルロ国立歌劇場管弦楽団(74)(ワーナー) S
☆リパッティ/ガリエラ フィルハーモニア管弦楽団(47)(ワーナー) 伝
○アンスネス/ヤンソンス ベルリン・フィル(02)(ワーナー) A
夭折の天才、リパッティ盤はこの作品の定盤でした。47年の録音ですので、確かに音は古く、
特に伴奏のオケが古いです。ですが、音質の悪さを超越して迫ってくるものが確かにこの演奏
にはあります。とりわけ、のけぞりそうになるほどのダイナミズムに満ちた第1楽章の表現は
特筆ものでしょう。リパッティの指によってこの作品の魅力が何倍にも増しているのではない
でしょうか。演奏だけをとれば◎にしたいのですが、録音が古く、評価も急落していますので、
☆としました。ちなみに、リンク先のCDがなぜか異常にお高いのが不思議です。
リヒテル盤は、リパッティ盤は古いという方に真っ先にお薦めです。この演奏とて、リパッテ
ィ盤と共に長い間この作品の定盤でしたので、充分、魅力を堪能できます。リヒテル盤の次に
は、録音が新しいアンスネス盤を挙げておきます。
CDは以上3枚に続くものがない状況です。
この作品のファンの方は、是非リパッティ盤を聴いて頂きたいです。
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☆サン=サーンス |
作品NO.173 ヴァイオリン協奏曲第3番 ★★★ 2017年1月最新更新 |
サン=サーンスはヴァイオリン協奏曲を3つ書いていますが、この第3番が圧倒的に有名で、現在よく
演奏されるのはこの第3番だけのようです。多くのヴァイオリン協奏曲の中でも傑作の誉れが高い逸品
です。
この作品はサラサーテのために書かれ、サラサーテによって初演されました。よって華麗なテクニック
が要求されるのはもちろんのことですが、オケの厚みが適度で、ヴァイオリンが縦横無尽に活躍する作
品です。
ヴァイオリンという弦楽器の魅力が最大限に発揮されるように書かれていますので、華やかで、甘美で、
ヴァイオリン・ファンにはたまらない魅力があるでしょう。特に第2楽章の終わりの美しさは特筆もの
です。ぜひ下のYOUTUBEへのリンクからどうぞ。
第2楽章(チョン・キョンファ&フォスター演奏)
☆推薦盤☆
★◎グリュミオー/ロザンタール ラムルー管弦楽団(63)(デッカ) SS 超お薦め!
○チョン・キョンファ/フォスター ロンドン交響楽団(75)(デッカ) A
・ミルシテイン/フィストゥラーリ フィルハーモニアO(64)(EMI) A
グリュミオー盤は、ラロの代表作、「スペイン交響曲」とのカップリングで、そこでも触れて
いますが、2つともSS評価で1000円ちょっとという、超お薦めのCDです。もちろんお
薦め度は★です。
チョン・キョンファ盤もとてもお安く、カップリングにはヴュータンという珍しい作曲家(本
職はヴァイオリニストのようです)のヴァイオリン協奏曲が入っていますので、こちらも大い
にお薦めのCDです。
この作品がお好きな方は、合計2千円ちょっとでぜひ2枚揃えたいところです。
ミルシテイン盤は旧EMIの音源のため、国内盤、輸入盤共に廃盤中です。
<更新のポイント> ミルシテイン盤を追加しました。
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☆シベリウス |
NO.198 ヴァイオリン協奏曲 ★★★ 2017年2月最新更新 |
シベリウスはフィンランドの作曲家です。日本人で、北欧の景色を写真で見て憧れている方は多いこと
でしょう。北欧の作曲家には、独特の作風があります。同じく北欧であるノルウェーのグリーグの作品
もご紹介していますが、シベリウスの曲にはフィンランドの味があります。交響曲も何曲か作曲してい
て、名作ではありますが、非常に分かりにくく上級者向け、いえ、曲によっては上級者向けとも言えな
いのが難点です。
その代わり、ここでご紹介するヴァイオリン協奏曲ならば、初心者〜中級者の方でも分かりやすいでし
ょう。通称は「シベコン」です。
特に第1楽章が名作で、フィンランドの風景を想像しながら曲に浸っていればきっと魅力が分かると思
います。慣れるまでは、長い第1楽章だけを何度も聴くという方法も賢明ではないでしょうか。
全楽章(ヒラリー・ハーン演奏)
☆推薦盤☆
B2★◎ハイフェッツ/ヘンドル シカゴ交響楽団(59)(RCA) SS 超お薦め!
H○ムター/プレヴィン ドレスデン国立管弦楽団(95)(グラモフォン) A
・シェリング/ロジェストヴェンスキー ロンドン交響楽団(65)(フィリップス)A
H▲ハーン/サロネン スウェーデン放送交響楽団(07)(グラモフォン) A
最も評価が高いのはハイフェッツ盤で、頭一つ抜けています。この演奏は、ハイフェッツの音
色は素晴らしいのですが、オーケストラが今一つという専門家の意見もあります。とは言え、
Blu-specCD2で、カップリングに協奏曲2つが入っている点もCDとしてはお得ですので、
今回はお薦め度★としました。
ムターの国内盤は長らく廃盤中だったのですが、やっと復活しました。カップリングは寂しい
いですが、演奏自体の評価は高いです。
3番目のシェリング盤も評価は高いのですが、旧フィリップスの音源のため現在は廃盤中です。
いずれデッカから再発売されると思われます。
ハーン盤は録音が新しく、シェーンベルクのヴァイオリン協奏曲とのカップリングでかつお得
なSHM−CDということもありますので、お薦め度○でもいいほどです。
上のYOUTUBEへのリンクは同じ音源かもしれません。
<更新のポイント> シェリング盤、ハーン盤を追加し、オイストラフ盤、チョン・キョンファ
盤を外しました。また、ハイフェッツ盤の評価をSSに、お薦め度を★
にしました。
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☆シューマン |
作品NO.187 ピアノ協奏曲 ★★★ 2017年2月最新更新 |
第1楽章冒頭がとてもかっこよく印象的な、ピアノ協奏曲の中でも屈指の名作の一つです。
ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」が「ピアノ協奏曲の王様」と称される一方で、こちらは
「ピアノ協奏曲の女王」と称されるほどの逸品なのです。王様と女王の違いは何なのかと言いますと、
単純に雰囲気かと思われますが、初演は妻でありピアニストでもあったクララ・シューマンがピアノを
弾きましたので、妻クララのために作曲したとも言われておりまして、それが「女王」と称される所以
なのかもしれません。
この作品は当初、「ピアノとオーケストラのための幻想曲」なるものを書いたシューマンが、後に2つ
の楽章を加え、ピアノ協奏曲として完成させたとのことです。よって第1楽章が幻想的なムードで、一
番の聴き所でしょう。
ピアノの活躍ぶりが目立つ協奏曲で、ダイナミズムと叙情性を併せ持っています。
全楽章(アルゲリッチ演奏)
☆推薦盤☆
◎ポリーニ/アバド ベルリン・フィル(89)(グラモフォン) SS
▲リパッティ/カラヤン フィルハーモニア管弦楽団(48)(ワーナー) A
○アンスネス/ヤンソンス ベルリン・フィル(02)(ワーナー) A
ポリーニ盤がSS評価と1つ抜けています。
評価は高いのですが、個人的には、やはりポリーニの協奏曲はどうも表面的に聴こえてしま
います。一度だけ聴くとすればいいのですが…。管理人の私の耳が肥えていないせいか、正
直、どこがいいのかよく分かりません。ですが、SS評価で録音もいいですので、お薦め度
は◎にしておきました。再発売されましたのでSHM−CDかと思われます。
演奏だけをとれば、リパッティ盤に軍配が上がります。ましてや、SS評価のグリーグのピ
アノ協奏曲とのカップリングですから、CDとしてもすこぶる価値が高いです。
問題点は、48年という録音年です。音質は…特にバックのオケの音が古いです。
音質にこだわらない方にはまずこのCDがお薦めという限定つきです。
ポリーニ盤に満足いかない方、リパッティ盤は古いという方にはお安めのアンスネス盤をお
薦めしたいと思います。
<更新のポイント> アンスネス盤を追加し、アルゲリッチ盤、コルトー盤を外しました。
また、ポリーニ盤をSS評価のお薦め度◎にしました。
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