☆ラヴェル |
作品NO.165 ボレロ ★ 2016年9月最新更新 |
いかにも管弦楽曲らしい曲です。有名さでは管弦楽曲の中でも屈指の曲なのですが、ほとんどの方は曲
名とメロディーが一致しないのではないでしょうか。メロディーを少し聴かれれば、「この曲ボレロっ
ていうのか!」と気づく方はかなり多いと思われます。テレビ番組にもよく使われています。
この曲は約15分かかりますが、皆さんご存知のあのメロディーが延々と繰り返されるだけの、ごく簡
単な構成の曲で、テレビなどで流される部分は、全体が盛り上がったほんの最後の最後、少しだけです。
CDで聴いていると、お馴染みの部分が出てくるまでかなり待たなければいけません。
ボレロの作曲家ラヴェルはフランスの作曲家です。自作の曲もあるのですが、他の作曲家の曲を編曲す
る技術にすぐれ、(ラヴェル編)と書かれているのを目になさることもたまにあると思われます。ラヴ
ェルは管弦楽法の魔術師とも呼ばれた人物で、元々ピアノ曲だったムソルグスキーの「展覧会の絵」を、
管弦楽曲に編曲したのも他ならぬラヴェルです。
ちなみに、ボレロは単発の曲で、ラヴェルの管弦楽曲集の中の一曲なのですが、非常に有名な曲ですの
で、CDショップではラヴェルのコーナーにいけばボレロだけ別にして置いてあることが多いです。
有名な部分は4:45からです
☆推薦盤☆
★◎クリュイタンス/パリ音楽院管弦楽団(61)(エラート) SS お薦め!
○ブーレーズ/ベルリン・フィル(93)(グラモフォン) A
▲ミュンシュ/パリ管弦楽団(68)(エラート) A
3人ともフランス音楽を得意とする指揮者が並んでいます。
中でもクリュイタンス盤はこの曲の一大金字塔で、これを超える演奏は当面現れそうにない
ほどで、CDはこれ1枚だけで充分と言ってもいいでしょう。
A評価のCDも2枚ご紹介。
ブーレーズ盤はこの中で最もお高いのですが、バレエ「ダフニスとクロエ」とのカップリン
グという点がお得です。
ミュンシュ盤はお安いのが魅力です。
<更新のポイント> ブーレーズ盤とミュンシュ盤のお薦め度を入れ替えました。
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☆リスト |
作品NO.106 交響詩「前奏曲」 ★★★ 2021年4月最新更新 |
「交響詩」や「標題音楽」というジャンルを発明したのは、ピアニスト兼作曲家のリストで、この作品
はまさにリストが「交響詩」の思想性を確立した作品です。「交響詩」というのは、簡単にご説明しま
すと、交響曲のような4楽章形式であるものとないものがありまして、あったとしても区切らずに連続
して演奏される形式で、ある思想性や物語を表現している音楽のことです。
「交響詩」といえば、次にご紹介するリヒャルト・シュトラウスが第一人者的存在ですので、詳しくお
知りになりたい方は次からの作品紹介をお読み下さい。もちろん、聴いて頂けば一層分かりやすいです。
このリストの「前奏曲」は、ラマルティーヌの「人生とは死への前奏曲…」という散文詩を標題として
作曲されています。
「前奏曲」(バレンボイム指揮)
☆推薦盤☆
◎カラヤン/ベルリン・フィル(67)(グラモフォン) SS
・ショルティ/シカゴ交響楽団(92)(デッカ) A
・コチシュ/ハンガリー国立管弦楽団(11)(ワーナー) A輸
○フルトヴェングラー/ウィーン・フィル(54)(ワーナー) A
この作品は完全な「単品」のもので、CDでも「リスト 前奏曲他」という冠で扱われる作品
ではなく、しかも他の作曲家の作品のカップリングとして入っていることがほとんどですので、
CDを探すのも一苦労です。
SS評価のカラヤンのCDは、3回のうち2番目の録音です。お値段もお安く、録音年もさほ
ど古くはありませんので、絶対のお薦め★にしてもいいくらいです。これ1枚で十分でしょう。
ショルティ盤、コチシュ盤は廃盤中です。
最後のフルトヴェングラー盤は、モノーラル録音ですので中〜上級者の方向けです。お値段は
かなりお高めですが、今でも支持を得ているあたり、カラヤン盤にはない感銘をもたらせてく
れるでしょう。
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☆リヒャルト・シュトラウス |
作品NO.203 アルプス交響曲 ★★ 2017年2月最新更新 |
クラシックファンでなくても、日本人ならばヨーロッパのアルプスに憧れる方は多いのではないでしょ
うか。本場のアルプス。きっと誰もが、残雪に覆われた絵に描いたような美しい光景を想像するのでは
ないでしょうか。
この「アルプス交響曲」は、交響曲と題されてはいるものの、普通の交響曲とは違って、交響詩、標題
音楽的な構成で、全曲切れ目なく演奏されます。よって、ジャンルは管弦楽曲となります。「登山」
「滝」「お花畑」「頂上にて」「雷雨」「日没」「下山」など、20もの副題のついた小曲から構成さ
れ、ほとんどの曲は2分以内で、数十秒の曲も多いです。
全曲(カラヤン&ベルリン・フィル)
☆推薦盤☆
H★◎カラヤン/ベルリン・フィル(80)(グラモフォン) SS お薦め!
・プレヴィン/ウィーン・フィル(89)(テラーク) A
▲プレヴィン/ウィーン・フィル(89)(テラーク) A輸
○ケンペ/ドレスデン国立管弦楽団(71)(ワーナー) A
△ハイティンク/アムステルダム・コンセルトヘボウ(85)(デッカ) A
リヒャルト・シュトラウスの作品には滅法強いカラヤンの演奏が断然の評価を得ています。
しかも低価格のSHM−CDで文句なしの1枚と言えそうです。上のYOUTUBEへのリンクは同
じ音源かどうかは分かりません。
プレヴィン盤も素晴らしいのですが、国内盤は廃盤中のようですので輸入盤を挙げておきまし
た。作品の性質からいって日本語の解説があった方がいいと思われますので、お薦め度○は古
くから定評のあるケンペ盤にしました。
また、近年評価を上げているハイティンク盤も追加しておきました。
<更新のポイント> プレヴィンの輸入盤とハイティンク盤を追加しました。
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作品NO.204 交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」 ★★★ 2017年2月最新更新 |
まず、この作品名の由来からご説明します。「ツァラトゥストラはかく語りき」という名前は、有名な
哲学者ニーチェの著書からそのままとったものです。「ツァラトゥストラ」とは何かといいますと、ゾ
ロアスター教の開祖のことです。知っている方は知っている有名な宗教の一つです。その「ゾロアスタ
ー」をドイツ語表記にすると、「ツァラトゥストラ」となるそうです。
次に、「交響詩」というジャンルについてご説明します。交響詩は、交響曲のような4楽章形式といっ
たものをもたない1楽章形式で、各曲が切れ目なく演奏されます。しかしながら楽器編成は交響曲的で、
ある思想性や物語を表現している作品の形式のことです。リヒャルト・シュトラウスは交響詩の第一人
者です。創始者はリストです。
この作品は大宇宙を創造させる巨大なスケール感をもつ導入部から始まりまして、この部分は映画「2
001年宇宙の旅」でも使われ、よくテレビで耳にする部分です。
導入部(音楽は続きます)
☆推薦盤☆
H★◎カラヤン/ベルリン・フィル(83)(グラモフォン) SS お薦め!
・プレヴィン/ウィーン・フィル(87)(テラーク) A
○プレヴィン/ウィーン・フィル(87)(テラーク) A輸
CDは、カラヤンの83年盤とプレヴィン盤の2枚が完全に抜きんでた評価を得ていますので、
他は割愛しました。特にカラヤン盤はSS評価です。
カラヤン盤は録音年の違うCDもあるのでお気をつけ下さい。
プレヴィン盤は国内盤が廃盤中のようですので、輸入盤を挙げておきました。
<更新のポイント> 特に変わっておりません。
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作品NO.205 交響詩「英雄の生涯」 ★★★ 2017年2月最新更新 |
この作品は交響詩であるため、6曲からなる1つの楽章で成り立っていまして、演奏時間は約45分で
す。作品名の通り、交響詩の第一人者リヒャルト・シュトラウスの、最後の交響詩です。
「英雄」とは作曲者自らのことで、自伝的に書いた作品ですから、「何を偉そうに」という声も多いよ
うです。しかも作曲者が34歳の時の作品であるから尚更です。
しかし、全曲の構成は見事で、有無を言わせぬ説得力を持っています。
全曲は、1.英雄、2.英雄の敵、3.英雄の妻、4.英雄の戦場、5.英雄の業績、6.英雄の引退
と完成、から構成されています。1は威風堂々とした、長い英雄の主題から始まります。2は色々な敵
をフルートなどの木管楽器で表現し、最後に英雄の主題が現れ、敵を退けます。3は独奏ヴァイオリン
で恋人を表現します。トランペットのファンファーレが鳴り、4に入ると、英雄の主題と敵の主題とが
交錯するのを、ヴァイオリンによる恋人の主題が励まし、打ち勝った英雄の主題が更に堂々と鳴り響き
ます。5は全曲中の一番の聴き所です。作曲者の作品である「ドン・キホーテ」や「ツァラトゥストラ
はかく語りき」などの主題が回想的に現れます。最後の6では静かな曲調となり、悠々自適の生活を送
り、幸福に浸る英雄の姿が描かれます。
こういった見事な構成力が発揮された作品で、交響詩の第一人者として人生を全うした英雄=リヒャル
ト・シュトラウスの姿には素直に感服してしまいます。交響詩の最高傑作の1つに挙げられる逸品です。
全曲(ヤンソンス指揮)
☆推薦盤☆
H◎カラヤン/ベルリン・フィル(85)(グラモフォン) S お薦め!
・プレヴィン/ウィーン・フィル(88)(テラーク) S
○プレヴィン/ウィーン・フィル(88)(テラーク) S輸
▲カラヤン/ベルリン・フィル(74)(ワーナー) A
カラヤンの85年盤と、プレヴィン盤が抜きん出た評価を得ています。
この両者は本当にリヒャルト・シュトラウスの交響詩を得意としているようです。
プレヴィンの国内盤は廃盤中のようですので、輸入盤を挙げておきました。
この2枚で十分かと思われますが、この作品を生涯愛したカラヤンの74年盤も挙げておきま
した。
カラヤンには、59年の録音もあるので、ご注意下さい。
<更新のポイント> 特に変わっておりません。
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☆リムスキー=コルサコフ |
作品NO.170 交響組曲「シェエラザード」 ★★★ 2017年1月最新更新 |
リムスキー=コルサコフは、1844年ロシア生まれの管弦楽法に秀でていた作曲家です。この「シェ
エラザード」は自身の最高傑作というだけでなく、ロシア音楽を代表する管弦楽曲となっています。ヴ
ァイオリン独奏を伴った4つの楽章からなっています。
題材は「千一夜物語」で、シェエラザードと王のテーマが全曲を通じてしばしば表れます。
メロディの美しさ、卓抜した管弦楽法による音色の多彩さ、描写性などが大変魅力的な作品です。
第1楽章(デュトワ指揮)
☆推薦盤☆
◎ゲルギエフ/キーロフ劇場管弦楽団(01)(デッカ) SS お薦め!
○コンドラシン/アムステルダム・コンセルトヘボウ(79)(デッカ) A
・ライナー/シカゴ交響楽団(60)(RCA) A
△ライナー/シカゴ交響楽団(60)(RCA) A輸
・シャイー/ロイヤル・コンセルトヘボウ(93)(デッカ) A
・シャイー/ロイヤル・コンセルトヘボウ(93)(デッカ) A輸
▲ロストロポーヴィチ/パリ管弦楽団(74)(ワーナー) B
一番のお薦めはゲルギエフ盤です。録音も新しいので、今後もこの作品のベストCDとして君
臨し、SS評価を揺るぎないものとする可能性は高いです。見事なまでの管弦楽の音の彩り、
文句のつけようのない演奏です。お国ものであるということも大きいのでしょう。
お薦め度○のコンドラシンもロシアの指揮者です。お値段がお安いのが嬉しいです。
ライナー盤は国内盤が、シャイー盤は国内盤、輸入盤共に廃盤中です。
最後のロストロポーヴィチ盤は、大チェリスト、ロストロポーヴィチが指揮したもので、ゲル
ギエフ盤が発売される前、20世紀にはこの作品のベストCDの名を不動のものにしていた演
奏です。今ではかなり評価が下がってしまいましたが、お薦め度▲にしておきました。
<更新のポイント> 6年ぶりの更新で推薦盤を一新しました。ゲルギエフ盤は変わりあり
ません。
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