名曲案内〜管弦楽曲・室内楽曲編\〜

(レスピーギ〜シュトラウスファミリー)



    
  クラシックの大曲といえば交響曲ですが、管弦楽曲、室内楽曲も美しい弦の響き、アンサンブル
  などが聴き手を魅了してやみません。交響曲よりも聴きやすいので、クラシックの入門用として
  も高い価値があります。また、一度は聴いたことのある曲も多いことでしょう。
  ちなみに、管弦楽曲とはフルオーケストラ用でない曲のこと、室内楽曲とは各楽器一人ずつによ
  るアンサンブル曲のことを指すようですが、区別は明確ではありません。
   *推薦盤にある(P)はピアノの略です。  

レスピーギ   ・ロッシーニ   ・ワーグナー   ・シュトラウス・ファミリー


管弦楽曲・室内楽曲編T(アンダーソン〜グリーグ)へ     ・管弦楽曲・室内楽曲編U(サラサーテ〜シューベルト)へ

管弦楽曲・室内楽曲編V(スメタナ〜ハイドン)へ     ・管弦楽曲・室内楽曲編W(バッハ〜フランク)へ 

管弦楽曲・室内楽曲編X(ブラームス〜ヘンデル)へ     ・管弦楽曲・室内楽曲編Y(ベートーヴェン〜メンデルスゾーン)へ

管弦楽曲・室内楽曲編Z(モーツァルト)へ     ・管弦楽曲・室内楽曲編[(ラヴェル〜リムスキー=コルサコフ)へ




☆レスピーギ
作品NO.168 リュートのための古風なアリアと舞曲 第3組曲 ★★ 2017年1月最新更新
 
 レスピーギは、1879年生まれ、1936年没の、イタリアの現代の作曲家です。
 この作品は、作曲者不詳の「リュートのためのアリア」というバロック期の音楽を題材に、レスピーギ 
 が編曲したものです。第4組曲まであるのですが、とりわけ第3組曲だけがよく演奏され、特に第3曲
 目の有名な「シチリアーナ」はCMなどでも使われています。弦楽合奏がお好きなクラシックファンに
 は何ともいえない弦楽ゆえの魅力に溢れた旋律をもち、第1曲目とともに愛されている曲です。
 なお、リュートというのはルネサンスからバロック期にかけて使われた撥弦(はつげん)楽器ですが、
 古典派以降はギターにとって代わられました。

第1曲「イタリアーナ」     第3曲「シチリアーナ」
 ☆推薦盤☆       ・コボス/ローザンヌ室内管弦楽団(91)(テラーク)         S    ○コボス/ローザンヌ室内管弦楽団(91)(テラーク)         S    ◎マリナー/ロスアンジェルス室内管弦楽団(75)(ワーナー)     S お薦め!    ▲小澤征爾/ボストン交響楽団(75)(グラモフォン)         S    CDは以上3つの演奏に絞られます。この中で、コボス盤とマリナー盤は第4組曲まで収録さ    れている全曲盤ですが、小澤盤は第3組曲のみ収録です。以前は小澤の全曲盤のCDもありま    したのでいずれ再発売されると思われます。    コボスの国内盤は廃盤中のようですので、輸入盤を採り上げました。お薦め度◎は、全曲盤で、    かつ国内盤があり、お値段でも最もお安いマリナー盤にしました。    小澤盤は、全曲盤でお安ければ◎にしてもいいのですが、如何せん、次でご紹介している「ロ    ーマ三部作」がメインのCDのようです。    <更新のポイント> 推薦盤を一新しました。

作品NO.169 交響詩「ローマの噴水」「ローマの松」「ローマの祭」 ★★ 2017年1月最新更新
 
 「リュートのための古風なアリアと舞曲」はCMなどで使われている分、親しみやすいですが、レスピ
 ーギの代表作といえば、「ローマの噴水」「ローマの松」「ローマの祭」(作曲順)でして、「ローマ
 三部作」と呼ばれます。これらは交響詩で、描写音楽です。曲名の通り、イタリアの首都ローマのある
 ものを題材にした音楽で、管弦楽の色彩感豊かな作品です。例えば「ローマの噴水」では、噴水の様子
 を管弦楽で表現しているという音楽です。ローマに行かれたことがある方はよりイメージしやすいでし
 ょう。各楽章とも、何を表現しているのかの標題がついていますので、ローマに行かれたことのない方
 も、解説書を見ながら情景を思い浮かべて聴くと、より分かりやすいかと思われます。
 それぞれ第4楽章まであって、各楽章とも5分程度なので、とても聴きやすいです。
 最初に作曲された「ローマの噴水」の大好評によって、レスピーギは一躍作曲家としてデビューしたと
 されています。
 ちなみに、最も親しみやすく、かつ最高傑作であるのは「ローマの松」だと言われています。

「ローマの松」第1楽章(何とトスカニーニ指揮)
           ☆推薦盤☆   B2◎トスカニーニ/NBC交響楽団(49〜53)(RCA)        S お薦め!       △パッパーノ/ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団(07)(ワーナー) S       ○デュトワ/モントリオール交響楽団(82)(デッカ)         A    ▲ムーティ/フィラデルフィア管弦楽団(84)(ワーナー)       A    この曲集のCDには、古くから伝説的名盤として今なお君臨し続ける1枚があります。    それがトスカニーニ盤です。世紀の巨匠トスカニーニの最高傑作の1枚とも言われているほど    です。当然録音年は49年〜53年と古いのですが、音質には定評のあるRCAレーベルです    し、Blu-specCD2ですので、音質はさほど気にはならないでしょう。上のYOUTUBEへのリン    クからご試聴下さい。お薦め度は◎です。    パッパーノ盤は評価は高いのですが、なぜか2枚組で、お高いのが最大の欠点です。    よってお薦め度○はデュトワ盤、▲はムーティ盤としました。       <更新のポイント> パッパーノ盤を追加し、お薦め度を一新しました。

☆ロッシーニ
作品NO.172 弦楽のためのソナタ集 ★★ 2017年1月最新更新
 
 オペラで有名なロッシーニですが、実は名作ともいえる管弦楽曲を残しています。それがこの「弦楽の
 ためのソナタ集」で、すべて3楽章からなる6曲、つまり全18曲で構成されています。なかなか各曲
 の構成はしっかりしていますし、「メロディーメイカー」としてのロッシーニならではの魅力溢れる美
 しい旋律も随所に散りばめられているということで、専門家の評価は高い作品です。
 しかも、この曲集は何と12歳の時に作曲されており、専門家の中には「モーツァルトにも匹敵する天
 賦の才能」と絶賛する人もいるくらいなのです。
 晩年はただの料理マニアになってしまったロッシーニですが、ファンの方には、若き頃のロッシーニの
 才能を満喫して頂きたい逸品です。

第1番 第1楽章
 ☆推薦盤☆    ・アッカルド&ガゾー(Vn)他/(78)(フィリップス)      SS    ・アッカルド&ガゾー(Vn)他/(78)(フィリップス)      SS   ◎イタリア合奏団/(87)(デンオン)                S    ・イ・ムジチ合奏団(71)/(フィリップス)             A    CDは2011年の更新時点と同じく、上の3つしかお薦め盤がありません。    中でもアッカルド、ガゾーらによる演奏が群を抜いてSS評価なのですが、旧フィリップス音源    のため未だに国内盤、輸入盤共に廃盤中です。マイナーな作品ですので再発売されないのも致し    方ないのでしょうか。デッカからの再発売待ちです。    一番下のイ・ムジチ盤も同じく旧フィリップスの音源で、再発売がされていない状況です。    よって、現在お薦めできるのはイタリア合奏団によるCDのみとなっています。    <更新のポイント> 特に変わりはございません。

☆ワーグナー
作品NO.225 管弦楽曲集 ★★★ 2017年2月最新更新
 
 ワーグナーは管弦楽曲の作曲家ではなくて、オペラの作曲家です。しかし、作品を鑑賞するとなります
 と、何枚組にもなってお高いオペラの全曲盤のCDを買わなければならないので効率が悪いです。気軽
 にワーグナーのオペラの有名曲を聴けるための配慮でしょうか、ワーグナーの管弦楽曲集というような
 タイトルのCDがたくさん発売されています。これによって、我々は廉価で魅力的なオペラ曲だけを聴
 くことができるわけです。
 CDは評価の高いものを推薦盤としましたので、楽曲、曲目は全く考慮しておりません。お求めの際は、
 ご自分の聴きたい作品が入っているCDを優先なさって下さい。
 なお、CDショップではオペラの全曲盤CDは別コーナーになっているのがほとんどですので、そこに
 管弦楽曲集もおいてあるか、他の作曲家と同じようにワーグナーのコーナーに置いてあります。

「ニュルンベルクのマイスタージンガー」序曲(フルトヴェングラー指揮)
「タンホイザー」序曲(バーンスタイン指揮)2:15くらいから有名な部分です
 ☆推薦盤☆    ◎カラヤン/ベルリン・フィル     2枚組(74)(ワーナー)     SS お薦め!    ○カラヤン/ベルリン・フィル     第1集(74)(ワーナー)     SS     ○カラヤン/ベルリン・フィル     第2集(74)(ワーナー)     SS    ▲クレンペラー/フィルハーモニア管弦楽団 第1集(60、61)(ワーナー) A    ・クレンペラー/フィルハーモニア管弦楽団 第2集(60、61)(ワーナー) A    △フルトヴェングラー/ウィーン・フィル他 第1集(38〜54)(ワーナー) A    △フルトヴェングラー/ウィーン・フィル他 第2集(38〜54)(ワーナー) A    収録曲がそれぞれ違うので単純には比較できませんが、評価がダントツなのはカラヤン盤です。    1番上の2枚組の方が割安ですので、お薦め度◎としておきました。2番目、3番目はお好み    でどうぞ。第1集、第2集を合わせた収録曲は同じです。    残念ながら、クレンペラーフルトヴェングラーには2枚組というものがありません。    クレンペラーの方が録音がいいですのでお薦め度▲にしておきましたが、第2集は廃盤中?の    ようです。    <更新のポイント> お薦め度をつけました。また、クナッパーツブッシュ盤を              外しました。

☆シュトラウス・ファミリー
作品NO.198 作品集 ★ 2021年2月最新更新
  
 シュトラウス・ファミリーとは、ヨーゼフやヨハンなどのシュトラウス一族を指しています。この一族
 はワルツやポルカなどをたくさん作りました。
 リヒャルト・シュトラウスは一族ではないのでご注意下さい。
 曲名とメロディが一致しなくとも、「美しき青きドナウ」や「ラデツキー行進曲」などを聴いたことの
 ある方はとても多いでしょう。
 ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートをご存知でしょうか。詳しくはこちらからどうぞ。
 これは、世界最高のオーケストラ、ウィーン・フィルが、10〜15曲のワルツ、ポルカを選んで、毎
 年元日に演奏する恒例行事です。指揮者は、世界的知名度のある指揮者(ウィーン・フィルに好かれて
 いるかも重要です)がランダムで選ばれます。2002年、小澤征爾もこの舞台に立ちました。
 元日の恒例行事として演奏されるだけに、どの曲も明るく、華やかで、祝典的な曲ばかりです。最後は
 必ずラデツキー行進曲と決まっています。
 できれば、CDだけでなく、DVDで観るか、あるいはNHKで必ずテレビ放送をするので、「眼」で
 もその華やかさを楽しんで下さい。「クラシック」というとお堅いイメージがありますが、この時ばか
 りは無礼講で、指揮者などのお遊びは見ていて結構愉しいです。
 どの曲も短く、ムードに溢れていますので、初心者の方にもとても分かりやすい音楽です。
 下のYOUTUBEへのリンクは、2曲とも、もちろんニューイヤー・コンサートのものですので、いつでも
 お正月気分に浸って頂ければと思います。
 DVDではやはり、カルロス・クライバーの89年盤が一番人気のようです。
 なお、ニューイヤー・コンサートのCDは、日本では1月中にすぐに発売されます。

「美しき青きドナウ」 2002年小澤征爾指揮
   「ラデツキー行進曲」 2020年ネルソンス指揮
   ☆推薦盤☆    △ニューイヤー・コンサート’89/クライバー(89)(SONY)       S    △ニューイヤー・コンサート’92/クライバー(92)(SONY)       S    ・ニューイヤー・コンサート’92/クライバー(92)(SONY)       S    ◎ニューイヤー・コンサート’89&92/クライバー(SONY)        S    ・クレメンス・クラウス/ウィーン・フィル(50〜53)(デッカ) VOL.1 S       ・クレメンス・クラウス/ウィーン・フィル(50〜53)(デッカ) VOL.2 S    ・クレメンス・クラウス/ウィーン・フィル(OPUS蔵) 第1集        S    ・クレメンス・クラウス/ウィーン・フィル(OPUS蔵) 第2集        S    ・ボスコフスキー/ウィーン・フィル&合唱団(55〜79)(デッカ)      S    ○ボスコフスキー/ウィーン・フィル&合唱団(55〜79)(デッカ)      S    △ボスコフスキー/ウィーン・フィル&合唱団(55〜79)(ワーナー)第1集  S    △ボスコフスキー/ウィーン・フィル&合唱団(55〜79)(ワーナー)第2集  S    △ボスコフスキー/ウィーン・フィル&合唱団(55〜79)(デッカ)      S    △ボスコフスキー/ウィーン・フィル&合唱団(55〜79)(デッカ)      S    ・ニューイヤー・コンサート’54/クラウス(OPUS蔵)           S    ・ニューイヤー・コンサート’02/小澤(デッカ)               ?    ・ニューイヤー・コンサート’2020/ネルソンス(SONY)         ?    ・ニューイヤー・コンサート’2021/ムーティ(SONY)          ?    ・ニューイヤー・コンサート’89/クライバー/(89)(グラモフォン)DVD ?    新しい録音でシュトラウス・ファミリーの曲集を、という方にはクライバーの89年と92年    のニューイヤー・コンサート盤が人気です。その中でも断然に、89年と92年のニューイヤ    ー・コンサートが一緒になった3枚組のCDがお薦めです。3枚組の割に約2500円と格安    なのが魅力です。お薦め度◎です。    さらに、一番下にある89年のニューイヤー・コンサートのDVDもいかがでしょう。    amazonでは国内盤、輸入盤ともに廃盤中のようですので、CDショップ等で入手して頂ければ    と思います。    クレメンス・クラウスはシュトラウス・ファミリーの作品を世界に浸透させた指揮者として名    高く、現在のウィーン・フィルの「ニューイヤー・コンサート」は、クラウスがウィーン・フ    ィルを指揮してシュトラウス・ファミリーの作品だけを演奏するというコンサートが元となっ    ています。「ニューイヤー・コンサート」の創始者ということになります。やや年代は古いも    のの、録音が残っていまして、演奏の評価は高いです。    確かに素晴らしい演奏です。CDは、元々デッカから販売されていた1番上と2番目の「ファ    ミリーコンサート」と題された2つのCDが定盤で、VOL.1と2を合わせればニューイヤー    ・コンサートのお決まりの曲が揃いますので、立派な2枚組のCDができあがるのでしたが、    長らく廃盤中です。OPUS蔵のCDも廃盤中です。いずれ再発売されるでしょう。    それにしても、ウィーン・フィルからこれだけの甘美な音色を引き出すことができたことには    感服するほかないです。とりわけ有名曲である「美しき青きドナウ」はクラウスの演奏を超え    るものはないとも言われていますが、私も全く同感です。クラウスの演奏を聴いて、改めてウ    ィンナー・ワルツの魅力に惹かれ、今までに聴いた「美しき青きドナウ」は、他の誰の演奏で    も退屈で仕方なく、聴けなくなってしまいました。優美で典雅な音楽の粋です。    聴いて頂ければ、なぜクラウスの演奏がS評価なのかをお分かり頂けると思うのです。    なお、クレメンス・クラウスは、シュトラウス・ファミリーの演奏でしか名前が出てこないユ    ニークな指揮者でもあります。当然、ウィーン出身です。    ボスコフスキーは、クラウスに次いで、シュトラウス・ファミリー演奏の大家です。CDを何    枚か挙げておきましたが、3番目以降は収録曲が少なかったり、有名曲が揃っていなかったり    ですので、お好みでどうぞ。お薦め度○としたのは、ボスコフスキー指揮による、シュトラウ    ス・ファミリーの作品の大全集とも言えるCD6枚組です。シュトラウス・ファミリーの作品    を最も多く聴きたいのならば、このCDでしょうし、シュトラウス・ファミリーの作品につい    ては「通」となれます。国内盤は廃盤中で、これは輸入盤なのですが、お値段は6枚組にして    はお安目です。輸入盤ですので曲名が分からないかもしれませんが…。    あとは、2002年の小澤指揮のものと、2020年以降のニューイヤー・コンサートを挙げ    ておきました。    正直、クライバーの演奏を除けば、ニューイヤー・コンサートのCDに大差はありませんので、    どの年のものでもよいのではないでしょうか。収録曲や好きな指揮者のものが一番のお薦めか    と思われます。



名曲案内へ

管弦楽曲・室内楽曲編T(アンダーソン〜グリーグ)へ     管弦楽曲・室内楽曲編U(サラサーテ〜シューベルト)へ

管弦楽曲・室内楽曲編V(スメタナ〜ハイドン)へ     管弦楽曲・室内楽曲編W(バッハ〜フランク)へ

管弦楽曲・室内楽曲編X(ブラームス〜ヘンデル)へ     管弦楽曲・室内楽曲編Y(ベートーヴェン〜メンデルスゾーン)へ

管弦楽曲・室内楽曲編Z(モーツァルト)へ     管弦楽曲・室内楽曲編[(ラヴェル〜リムスキー=コルサコフ)へ




inserted by FC2 system