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サラサーテは作曲家として曲も残したが、クライスラーやパガニーニと同様、本業はヴァイオリニスト、 しかも19世紀で最も優れたヴァイオリニストの一人で、超絶的な技巧を持っていた。その技巧を披露 するために「カルメン幻想曲」と、この「ツィゴイネルワイゼン」を作曲したのである。もちろん、二 曲とも超絶技巧を要する曲である。 そのうち、割とテレビで流されていることもあり、聴いたことのある方が多いのは、この「ツィゴイネ ルワイゼン」の方だろう。「ツィゴイネルワイゼン」とは、「ジプシーの歌」という意味である。ドラ マチックな冒頭、中間部のジプシー的な哀愁のこもった旋律、そして後半部は伴奏も勢いを増して、ヴ ァイオリンもより超絶技巧になり、一気にクライマックスへと向かうという、聴いている方も弾いてい る方も気分爽快な曲である。ヴァイオリニストにとっては、ほとんどソロのような形になる中間部が聴 かせどころとなる。 原曲は管弦楽が伴奏を務めるが、ピアノだけの場合も多い。 |
「教養人」サン=サーンスによる諷刺音楽。「亀」「象」や、単品でも演奏される有名な「白鳥」など 短い全14曲からなり、初心者の方にも聴きやすい。 しかし、これらの曲は描写音楽というよりはユーモア、あるいはブラックユーモアを含んだ曲で、あく まで「諷刺音楽」であることを常に意識して聴くと愉しい。 |
シベリウスはフィンランド、すなわち北欧の作曲家である。交響曲が有名だが、いずれも北欧のムード と郷愁に満ちており、ファンにはこたえられない魅力がある。 しかし、彼の交響曲は難しい。クラシック中級者レベルでもチンプンカンプンだと思う。ブルックナー と同じで、相性のいい指揮者でないと、とたんに音楽の魅力を壊してしまう。 そんな彼の作品に、気軽に接することができるのが、この「フィンランディア」である。この曲は単発 の曲で7分程度なので、聴き易い。彼の作品の中で最も有名な曲である。 この曲は、残念ながら、彼の交響曲とは違った内容である。フィンランドに対する愛国心に満ちた曲で、 そのため、作曲当時、圧政をしいていたロシアから演奏禁止命令が出たという逸話もある。 ちなみに、この曲は映画「ダイ・ハード2」にも使われた。 単品なので、CDとしては、シベリウスの「管弦楽曲集」に入っているか、交響曲のカップリングとし て入っている。 |
アルペジオーネというのは楽器の名前で、19世紀に考案された、ギターのような形をした6弦(普通 は4弦)の小型のチェロである。響きに味わいがあったそうなのだが、弾くのが難しく、いつの間にか 忘れ去られてしまったらしい。よって、アルペジオーネ・ソナタというのは、弦楽器のソナタであるか ら、ヴァイオリン・ソナタやチェロ・ソナタと同様に、ピアノとのデュオの作品のことである。 シューベルトは当時、アルペジオーネという楽器に目を付けてこの作品を作曲したのだが、現在では滅 多に見かけないジャンルの作品であるという意味も込めて、取り上げてみた。しかし、決してマイナー な作品ではなく、シューベルトの代表作の一つである。いや、それ以上に、チェロ独奏の曲が少ないこ ともあり、チェリストにとっては貴重なソナタ曲、定番曲の一つである。 現在、6弦もの広い音域を持つアルペジオーネをどうやって代用しているのかというと、ヴァイオリン では低音が出ないため、ほとんどはチェロで相当な高音まで出して代用しているが、ヴィオラで何とか 代用している場合もある。 時には、「高音のチェロ」もいかがだろう。チェロの魅力は何と言ってもその豊富な音量の低音にある のだが、高音はどこか哀切を感じさせ、非常に味わい深い。私はヴァイオリン弾き(プロではありませ ん)だが、改めてチェロの奥深さに目覚めさせられた。 特に、ヴィオラかチェロのファンの方には是非とも聴いて頂きたい逸品。 ☆推薦盤☆ ・マイスキー/アルゲリッチ(84)(フィリップス) SS |
「ピアノ五重奏曲」とは聴きなれないジャンルだが、ピアノ5台で弾くわけではなく、ピアノと、あと 4つの弦楽器によって演奏するスタイルである。「ピアノ○重奏曲」として最も有名なのは、ここでも 紹介しているベートーヴェンの「ピアノ三重奏曲『大公』」であるが、これはピアノ、ヴァイオリン、 チェロによるアンサンブルのことである。よって、「ピアノ五重奏曲」とは、ピアノ、ヴァイオリン、 ヴィオラ、チェロ、コントラバスによるアンサンブルのことを指している。 この曲はシューベルトの室内楽曲の中では最も有名な曲で、当時としては異例のコントラバスを加える ことによって、ピアノと弦楽四重奏(カルテット)が一体になった、何ともいえない美しいアンサンブ ルの曲となっている。特に第4楽章は、2年前作曲の歌曲「ます」を変奏曲にしたもので、一番の聴き 所である。全部で5楽章からなる。 ☆推薦盤☆ ・ブレンデル/クリーヴランドSQ団員他(77)(フィリップス) S |
ショスタコーヴィチは20世紀生まれの作曲家なので、まだまだ評価が定まった作曲家とはいいがたい。 マーラーのように、いつかブームがくるかもしれない予感がする。 彼の音楽はクラシック最高といってもいいほど暗く、大衆性に乏しいところはあるが、15曲作曲した 弦楽四重奏曲、つまりカルテットは、ベートーヴェンに匹敵するほどの傑作だと評する人が多い。 その15曲の中で、最高傑作との誉れ高いのが、この「第8番」である。「ファシズムと戦争の犠牲者 の思い出に」捧げられたこの曲は、20世紀という時代背景と、ロシアという国家の背景を如実に表し ている。「ファシズム」とはヒトラーやムッソリーニのことではなく、スターリン体制のことを指し、 「戦争の犠牲者」とは作曲者の友人達を含んだ、文字通りの犠牲者のことである。 5つの楽章から構成されるが、楽章ごとの区切りはなく、連続して演奏される。深い嘆き、哀愁などに 彩られ、最後は悲歌となって幕を閉じる。 ☆推薦盤☆ ・ボロディン四重奏団/(90)(Virgin) S |
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言うまでもなく、ショパンの楽曲はすべてと言っていい程ピアノが関係している。そのうち、ピアノ協 奏曲2曲を除けば、何と4曲の室内楽曲がある。そのうち、チェロが関係した作品は3つで、すべてチ ェロとピアノのデュオであるから、やはりピアノが関係している。そのうちの1つがこの作品であるが、 実はこの作品は、彼が生前に発表した最後の楽曲でもある。4楽章構成の大作。 彼がチェロの作品を書いたのは、ピアノの次にチェロを愛していたからで、生涯の友人であったチェリ ストのフランショームの影響が大きい。この作品は彼との共演を想定して書かれたものであり、当然、 フランショームに献呈された。 チェロ・ソナタとはいうものの、ほとんどチェロとピアノの競演と言った趣が強く、ピアノは伴奏とい う存在に甘んじていない。加えて、技術的にも音楽的にも非常に高度な作品である。 当時のショパンは、亡くなる数年前だったが、ヴァイオリン・ソナタの草稿が残されている。よって、 彼はこの作品を契機に、ピアノの独奏曲や協奏曲から、新たなジャンルの開拓を目指していたことが伺 える。 ショパンがチェロ・ソナタを作曲したということは、ピアニスト側からすれば、嘘のような話であるが、 チェリスト側にとっては、「あのショパンが書いたチェロの曲」ということで、憧れの1曲の一つに挙 げられるという。 ☆推薦盤☆ ・ロストロポーヴィチ/アルゲリッチ(p)(80)(グラモフォン) S |
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スメタナはチェコを代表する作曲家である。そのスメタナの代表作といえば、何といってもこの「わが 祖国」だろう。いや、「わが祖国」なんて曲名は聞いたこともない、という方が多そうだ。では、「モ ルダウ」はどうだろうか。少なくとも学校の教科書には載っているので、合唱曲として歌ったことのあ る方は多いはずである。この「モルダウ」だけが有名なのでこの楽曲を採り上げたようなものなのだが、 特に合唱部に所属していた方で、この曲のファンの方はいるだろうと思われるので、思い切って採り上 げてみた。郷愁に満ちた旋律が何とも言えない。 「わが祖国」は6曲からなり、「モルダウ」は第2曲である。 ちなみに、チェコの首都プラハで行われる、「プラハの春音楽祭」では、この「わが祖国」がオープニ ングを飾るのが毎年恒例となっているらしい。 |
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チャイコフスキーの芸風は、暗いながらもその甘美で魅力的な旋律にある。彼の代表的な作品である交 響曲第5番、第6番「悲愴」にはその魅力がつまっているが、初心者には難しい。そこで、初心者が彼 の哀愁のこもった甘美なメロディーを存分に堪能するのにうってつけなのがこの「弦楽セレナーデ」で ある。 第1楽章の冒頭の主題から彼の魅力満点だ。この部分はコマーシャルに使われたことがあるし、かつて 携帯電話の着メロに元々入っていることが多かったので、聴いたことのある方は多いと思う。第2楽章 は彼のお得意のワルツで、こちらも一度は耳にしたことがある方も多いことだろう。第3楽章はエレジ ーで暗いので、この楽章だけは初心者にはちょっと苦しい。第4楽章は躍動感溢れる名作で、最後に再 び第1楽章冒頭の主題が繰り返される。まことに魅力たっぷりのセレナーデの傑作。 |
