名曲案内〜管弦楽曲・室内楽曲編Y〜

(ベートーヴェン〜メンデルスゾーン)



    
  クラシックの大曲といえば交響曲ですが、管弦楽曲、室内楽曲も美しい弦の響き、アンサンブル
  などが聴き手を魅了してやみません。交響曲よりも聴きやすいので、クラシックの入門用として
  も高い価値があります。また、一度は聴いたことのある曲も多いことでしょう。
  ちなみに、管弦楽曲とはフルオーケストラ用でない曲のこと、室内楽曲とは各楽器一人ずつによ
  るアンサンブル曲のことを指すようですが、区別は明確ではありません。
   *推薦盤にある(P)はピアノの略です。  

ベートーヴェン   ・ホルスト   ・ムソルグスキー   ・メンデルスゾーン


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☆ベートーヴェン
作品NO.28 ヴァイオリン・ソナタ第5番「春」 ★★ 2021年3月最新更新
  
 この作品はベートーヴェンの10曲のヴァイオリン・ソナタの中でも一番有名な作品です。第1楽章冒
 頭の主題が非常に有名で、「春」という標題そのものを感じさせ、幸福感に満ちた明るい作品です。
 この「春」という標題はベートーヴェンによってではなく、後につけられたものです。
 推薦盤に挙げた3つのCDはいずれも次にご紹介する「クロイツェル」とのカップリングでして、「春」
 と「クロイツェル」の2枚を買わなくて済むのはお得なところです。

第1楽章
 ☆推薦盤☆    ◎クレーメル/アルゲリッチ(P)(87)(グラモフォン)         S    ・ファウスト/メルニコフ(P)(08)(ハルモニア・ムンディ)      S    ・イブラギモヴァ/ティベルギアン(10)(ヴィグモア・ホール・ライヴ)  A    ○デュメイ/ピリス(P)(97)(グラモフォン)             A    ▲オイストラフ/オボーリン(P)(62)(デッカ)            A    21世紀になって大活躍中のファウストクレーメルがS評価で並んでいます。    ファウスト盤は全集でして、現在は廃盤中です。イブラギモヴァ盤も廃盤中です。       クレーメル&アルゲリッチという、夢のようなデュオ、2021年3月現在でも現役の第一線    で活躍中の二人による演奏をお薦め度◎としました。カップリングは「クロイツェル」です。    非常に歯切れのいいクレーメルの演奏も素晴らしいですし、伴奏のアルゲリッチの力強く、か    つ珍しく(?)女性的で、華のある演奏も抜群です。    他に2枚挙げておきました。    デュメイピリスのコンビには、他の作曲家のヴァイオリン・ソナタでもトップ級の名盤があ    りまして、この二人のアンサンブルは評価が高いです。カップリングは「クロイツェル」です。    オイストラフの演奏も名演ということで定着しています。62年と録音は古いですが、クレー    メル&アルゲリッチ盤よりもお安い点を重視する方にはこちらの方がお薦めです。カップリン    グは「クロイツェル」です。

作品NO.29 ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」 ★★★ 2021年3月最新更新
  
 ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタの中では、上でご紹介した「春」が最も親しみやすく、有名で
 すが、ここでご紹介する「クロイツェル」は、そのスケールの大きさ、雄大さにおいて「春」をはるか
 に上回り、あらゆるヴァイオリン・ソナタの中でも屈指の大曲と言われています。ベートーヴェン自身
 は「協奏曲のつもりで書いた」と述べています。
 「クロイツェル」とは、作曲当時のイギリスの名ヴァイオリニストの名前でして、当時ヨーロッパに名
 を轟かせていたほどのピアニストでもあったベートーヴェンは、この作品をクロイツェルと共演する意
 図で献上しました(しかし、クロイツェルは誘いに応じなかったそうです)。
 ベートーヴェンは「共演」というよりも「競演」する意図で書いたのではないでしょうか。特に第1楽
 章は、いかにもヴァイオリンとピアノが火花を散らして競演するような曲です。
 従いまして、他のヴァイオリン・ソナタとは違った趣の作品ですので、中〜上級者の方向けでしょう。
 CDでは「春」とカップリングされているのがほとんどなのですが、趣、親しみやすさなどはまるで違
 う作品です。

全楽章(ムター&オーキス演奏)
 ☆推薦盤☆    ◎クレーメル/アルゲリッチ(P)(87)(グラモフォン)   SS    ○オイストラフ/オボーリン(P)(62)(デッカ)       A    ▲デュメイ/ピリス(P)(97)(グラモフォン)        A    ・コパチンスカヤ/サイ(P)(07)(avexクラシックス)  A    上でご紹介している「春」とお薦めCDはほとんど同じです。    この作品はヴァイオリン・ソナタでして、ヴァイオリンとピアノによるデュオです。    ですが、「競演」となれば黙っているはずがないピアニストのご登場です。    アルゲリッチクレーメルと組んだCDは「春」以上に他のCDを完全に突き放していまして    ダントツの評価を得ています。「伴奏」と言うよりも、むしろ「主役」です。    特に第1楽章は、何と言いますか、良い言葉が見つかりません。いつもはクールなクレーメル    が鬼人のごとく、ヴァイオリンが壊れるほどの猛演を繰り広げれば、「売られた喧嘩は買う」    とばかりにアルゲリッチが壮絶なまでのピアニズムの世界を展開しています。    私のクラシック鑑賞の経験で、これほど凄まじい「競演」は聴いたことがありません。    この演奏においては、流麗だの、華麗だのという要素は無縁なのでしょう。ヴァイオリニズム    とピアニズムの応酬がひたすら繰り広げられ、あまりの緊張感、興奮度に唖然とすらしてしま    います。これも音楽芸術の1つなのだと思います。ベートーヴェンが求めていた「競演」すら    超えているのではないかと感じさせられます。カップリングは「春」です。    2番手は、「春」と同じく、評価を確立させているオイストラフ盤です。    録音は古いですが、音質は気になりません。カップリングは「春」です。    3番手には、やはり他のヴァイオリン・ソナタでもトップ級の名盤を輩出している、デュメイ    &ピリスのCDを挙げておきました。カップリングは「春」です。    コパチンスカヤ盤は廃盤中です。    クレーメル&アルゲリッチ盤は別格かと思われます。これを聴いてしまったら、どうしても他    の演奏は生ぬるく聴こえてしまうほどの演奏で、「春」とのカップリングを考えましても、絶    対的な1枚です。

作品NO.30 弦楽四重奏曲第14番 ★★★ 2021年3月最新更新
  
 ベートーヴェンといいますと、どうしても交響曲がメインの作曲家と思われがちですが、作曲活動の中
 で弦楽四重奏曲(=カルテット)も大きな柱でした。交響曲やピアノ・ソナタの創作をやめてしまって
 からも、弦楽四重奏曲だけは続けたほど、このジャンルに愛着を持っていたそうです。そして、32作
 品のピアノ・ソナタに次ぐ、16作品を書き上げました。その中から、第14番だけをご紹介します。
 他はいずれ追加したいと思います。
 カルテットの構成は、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロです。
 弦楽四重奏曲16作品の中で、最も傑作の誉れ高いのが、この第14番です。第12番から第16番ま
 でを「後期弦楽四重奏曲」とも呼びます。この作品は、7つの楽章から成り、約38分です。
 第1楽章は晩年のベートーヴェンの寂寥感を描いたもの、第2楽章も同様、第3楽章は約1分という短
 いつなぎの曲、第4楽章は逆に約13分と長く、世にも美しいアダージョ(テンポの遅い緩徐楽章)で
 第14番の核心ともいえる曲、第5楽章はスケルツォ(ややテンポの速い曲)、第6楽章は哀愁を帯び
 たヴィオラが主役となる曲、そして最後の第7楽章は本来のベートーヴェン風のシンフォニックな曲と
 なって最後を飾っています。

全楽章
 ☆推薦盤☆    ◎アルバン・ベルクSQ/(83)(ワーナー)          S    ▲モザイクSQ/(14〜16)(ナイーヴ)           S    ○エベーヌSQ/(19、20)(エラート)           A    ベートーヴェンの弦楽四重奏曲のCDにおいては、アルバン・ベルク四重奏団のCDが定盤と    なっています。このCDは「第14番」だけのようですのでお手頃で、お薦め度◎です。    古楽器演奏のモザイク盤は、3枚組の「後期弦楽四重奏曲集」のためか非常にお高いです。エ    ベーヌ盤は7枚組の全集で、モザイク盤よりはお安いとはいえ、どちらも積極的にはお薦めし    づらいところです。

作品NO.31 ピアノ三重奏曲第7番「大公」 ★★★ 2021年3月最新更新
 
 ピアノ三重奏曲とは、ヴァイオリン、チェロ、ピアノの3人のソリストによるアンサンブル作品のこと
 です。ベートーヴェンのこの作品は、あらゆるピアノ三重奏曲の最高傑作と言われています。堅固な造
 形、規模の雄大さ、高貴な情緒など、ベートーヴェンの管弦楽曲、室内楽曲の中でも屈指の力作です。
 ルドルフ大公に捧げられたため「大公」という副題がついています。。
 この作品は、古くからヴァイオリン、チェロ、ピアノの名手がトリオを組んで、名演を聴かせてきまし
 た。そのキラ星のごとくならぶ名前は、まさに豪華絢爛そのものです。
 例えば、カザルスティボーコルトーのカザルス・トリオ。ハイフェッツ、フォイアマン、ルービン
 シュタインの100万ドルトリオ。シェリングフルニエケンプのトリオなど、クラシックの歴史そ
 のものとも言える名ヴァイオリニスト、チェリスト、ピアニストが一堂に会したかのようで、こんなに
 贅沢な作品は他に類をみません。

全楽章(何とカザルス&ティボー&コルトー演奏!)  第1楽章(100万ドルトリオ演奏)
 ☆推薦盤☆    ☆カザルス・トリオ/(28)(ワーナー)                   ○ファウスト、ケラス、メルニコフ/(11)(ハルモニア・ムンディ)  S    ◎シェリング、フルニエ、ケンプ/(70)(グラモフォン)       A     ・ベス、ビルスマ、インマゼール/(99)(SONY)         A    ・トリオ・ヴァンダラー/(10、11)(ハルモニア・ムンディ)    A    ▲ハイフェッツ、フォイアマン、ルービンシュタイン(41)(RCA)  A        「チェロの神様」カザルス率いるカザルス・トリオ盤が今なお伝説的名盤として語り継がれて    います。ヴァイオリンにティボー、チェロにカザルス、ピアノにコルトーというのですから、    豪華この上ない3人です。20世紀のヴァイオリン、チェロ、ピアノの第一人者がコンビとし    て録音したこと自体、記録としての価値も絶大と言えます。    それを考えなくても、演奏が本当に素晴らしいです。とろけるような、甘美さに満ちた音色は    19世紀生まれの3人の、時代による芸風で、21世紀になった今となっては、誰も真似でき    ないのではないかという思いがします。19世紀の芸風を21世紀に伝える貴重な録音です。    とは言え、この録音は1928年であまりにも古いです。90年以上前です。YOUTUBEへのリ    ンクは同じ音源だと思われますので、音質をお試し頂く意味でもどうぞ。    その他は横並びですが、録音のいい、シェリング、フルニエ、ケンプの演奏を◎にしました。    音質という意味では、ファウスト、ケラス、メルニコフ盤もお薦めなのですが、お値段がかな    りお高いですので、こちらは○としました。    古楽器演奏のベス、ビルスマ、インマゼール盤、トリオ・ヴァンダラー盤は廃盤中です。    △はハイフェッツ、フォイアマン、ルービンシュタインの「100万ドルトリオ」にしました    が、1941年の録音です。これも上のYOUTUBEから音質をお試し下さい。やはり古いです。

作品NO.32 チェロ・ソナタ全集 ★★★ 2021年3月最新更新
 
 ベートーヴェンは全部で5つのチェロ・ソナタを書きました。「チェロ・ソナタ」というジャンルは、
 チェロとピアノのソロ2人によるデュオです。あまり馴染みのないジャンルです。ベートーヴェンはこ
 の作品でチェロに非常に高度な技術を要求していまして、奏者は大変なようですが、そこが1番の聴き
 どころとなっています。
 5つの中で第3番は、このジャンルの最高傑作との呼び声が高い逸品です。

第3番 全楽章(何とロストロポーヴィチ演奏!)
 ☆推薦盤☆    ◎ロストロポーヴィチ/リヒテル(P)(61〜63)(デッカ)        ・ケラス/メルニコフ(P)(13)(ハルモニア・ムンディ)     S    ○ペレーニ/シフ(P)(01、02)(ECM)           A    ▲フルニエ/グルダ(P)(59)(グラモフォン)          A    △フルニエ/ケンプ(P)(65)(グラモフォン)          A    ベートーヴェンのチェロ・ソナタにおいては、ロストロポーヴィチの演奏が不滅の金字塔です。    録音年は古いですがステレオ録音ですし、当面、これを超える演奏は現れないだろうと思われ    ていました。    ピアノがリヒテルというのも心強いです。ロストロポーヴィチがチェリストとして遺したCD    の中でも最高傑作の1つです。今や歴史的名盤と呼ばねばならない時代となりましたが、決し    て音質は悪くありませんので、お薦め度は◎のままとしました。    ケラス盤は廃盤中のようですので、新しい録音で、という方にはペレーニ盤がお薦めです。    お薦め度○のフルニエグルダ盤は、1枚ものでこちらの方がお値段はお安いですので、価格    重視の方にはこちらの方がお薦めです。    フルニエ&ケンプ盤は、なぜか非常にお高いです。

作品NO.238 ピアノと管楽のための五重奏曲 ★★ 2021年4月最新更新

 「ピアノと管弦のための五重奏曲」という作品名を聞いて、どんな楽器構成かと疑問に思われるのでは
 ないでしょうか。決してピアノ協奏曲ではありません。「五重奏曲」ですから、ピアノを含めて5つの
 楽器構成だと答えられる方はかなりの通です。主役はピアノです。
 この作品は、ピアノと4つの管楽器(オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴット)という珍しい編
 成で、モーツァルトが作曲した「ピアノと管楽のための五重奏曲」をモデルとしており、そのことは楽
 章構成や3つの楽章が同じ調性で一致していることからみても明らかだと言われています。
 ベートーヴェンが作曲したピアノと管楽器のための室内楽曲で、娯楽音楽を代表する傑作の一つです。

全楽章
 ☆推薦盤☆    ◎Ensディアーロギ/(15)(ハルモニア・ムンディ)         S    ・ブレンデル/ホリガー(Ob)他(86)(デッカ)           S    ・グルダ/(60)ウィーン・フィルハーモニー管楽Ens(グラモフォン) A     ・レ・ヴァン・フランセ(14)(ワーナー)               A    ・プレヴィン/ウィーン管楽合奏団(85)(テラーク)          A    「Ens」はアンサンブルの略称です。    お薦め盤は、古楽器演奏のEnsディアーロギ盤しかありません。レ・ヴァン・フランセ盤は    廃盤ではないのですが、古楽器演奏なのかどうか、そしてほぼ間違いないと思いますが、音源    の確証が得られておりません。    ブレンデル盤、グルダ盤、プレヴィン盤は完全廃盤中です。    Ensディアーロギ盤はちょっとお高いですが、ベートーヴェンのこの作品のモデルとなった    モーツァルトの作品も収録されていますので、その点を考慮すると、お得だと思われます。

☆ホルスト
作品NO.102 組曲「惑星」 ★★ 2021年3月最新更新
  
 イギリスの作曲家ホルストは、この「惑星」以外にめぼしい作品はありませんが、この作品は管弦楽曲
 の中でも最もポピュラーな作品の一つで、学校の教科書にも載っていることがあります。
 オーケストラの技量さえよければよい演奏が可能だと言われているだけに、CDの数は非常に多いです。
 なお、2003年に平原綾香が発売したシングル「JUPITER」は、100万枚を越すヒット曲と
 なりましたが、JUPITER、ジュピターとは日本語では木星のことで、この「惑星」の中の第4曲
 「木星〜快楽をもたらすもの」のテーマがサビの部分となっていることをご存知の方も多いでしょう。
 ちなみに、モーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」とは何の関係もありません。
 更に、この組曲は冥王星が発見される前に作曲されましたので、冥王星と地球は基本的には入っており
 ません。

火星  木星  ジュピター(平原綾香)
 ☆推薦盤☆    △ラトル/ベルリン・フィル(06)(ワーナー)            S    ◎V・ユロフスキー/ロンドンフィル(09)(avexクラシックス)  S    ○デュトワ/モントリオール交響楽団&合唱団(86)(デッカ)     A    ▲カラヤン/ウィーン・フィル(61)(デッカ)            A    △デイヴィス/ベルリン・フィル(88)(デッカ)           A    標題音楽のため、あまり深い解釈よりも、オーケストラの演出性を楽しみたい作品です。    一番上のラトル盤は、ベルリン・フィルの機能美を堪能できますし、「冥王星」が収録されて    いるという意味ではお薦めなのですが、いかんせん、なぜか2枚組でお高いのがネックです。    あまり積極的にお薦めはできません。△にしました。    それよりは、かなり割安なV・ユロフスキー盤を◎にしました。    他、A評価の3枚ですが、演出性のある曲は天下一品のデュトワ盤、録音は古いながらもウィ    ーン・フィルの機能美が魅力のカラヤン盤、そして作曲者ホルストと同じイギリス出身のデイ    ヴィス盤が揃っていますので、お好みでどうぞ。     

☆ムソルグスキー
作品NO.152 組曲「展覧会の絵」 ★★ 2017年1月最新更新
 
  第1曲目の「プロムナード」が有名な作品です。耳にしたことのある方はきっと多いと思われます。
 ムソルグスキーは画家の友人を亡くし、遺作展が開かれたのですが、その時の印象をピアノ曲にまとめ
 ました。
 当時は全くうけず、そのままになってしまったのですが、後にラヴェルがこれを管弦楽曲に編曲し、一
 挙にポピュラーになりました。それによって、原曲の方も多くのピアニストに演奏されるようになった
 という話です。
 よってこの作品には、オーケストラヴァージョンとピアノヴァージョンがあります。お買い求めの際は
 どちらなのかご注意下さい。
 組曲は主な10曲と、その間に「プロムナード」が4曲はさまれる構成となっています。プロムナード
 とは、作曲者ムソルグスキーが展覧会場を歩き回る散歩の様子を描いたものです。

プロムナード(ゲルギエフ指揮)
 ☆推薦盤☆  <管弦楽版>   ◎アバド/ベルリン・フィル(93)(グラモフォン)       A お薦め!    ○デュトワ/モントリオール交響楽団(85)(デッカ)      A    ▲ジュリーニ/シカゴ交響楽団(76)(グラモフォン)      A    ・ライナー/シカゴ交響楽団(57)(RCA)          A    △ゲルギエフ/ウィーン・フィル(00)(デッカ)        A        CDはこれというものがありませんので、A評価に値するCDを5つ挙げ、お値段、カップリ    ング等を考慮して私のお薦め度順に上から並べました。    アバド盤は、お安いSHM−CDです。ピアノ版まで収録されていまして、そちらは無評価な    のですが、1枚で聴けるだけでも価値があると思い、◎としました。    デュトワ盤は、20世紀では1つ抜けた評価を得ていましたが、近年評価が下がっています。    とはいえ、過去の実績をふまえて○としました。    ジュリーニ盤は今回初登場です。76年の録音ですが、なぜか評価が上がっています。カップ    リングのラヴェルの「マ・メール・ロワ」はB評価と悪くありませんし、ここに挙げたCDの    中ではお安めですので▲としました。    ライナー盤も今回初登場ですが、国内盤、輸入盤共に廃盤中です。    最後のゲルギエフ盤はややお高いですが、カップリングはそこそこです。    ここにご紹介しているCDはレベルの高い争いで、どのCDも作品の魅力は充分堪能できると    思われます。    <更新のポイント> すべてのCDをA評価にしました。ショルティ盤を外し、              ジュリーニ盤、ライナー盤を追加しました。
プロムナード(何とホロヴィッツ演奏!)
    <ピアノ版>    ◎ホロヴィッツ/(51)(RCA)               S お薦め!    ◎ホロヴィッツ/(51)(RCA)               S お薦め!   B2○キーシン/(01)(RCA)                 A    ▲リヒテル/(58)(デッカ)                 A    △フェルツマン/(02)(カメラータ)             A    ピアノ版のCDは、帯に短したすきに長しという感じです。    ホロヴィッツ盤が古くからの名盤です。これは歴史的演奏で、義父のトスカニーニとのチャイ    コフスキーのピアノ協奏曲第1番とのカップリングで、超豪華コンビの演奏として名高い(チ    ャイコフスキーの評価はAです)演奏とセットになったCDです。物凄い演奏、ピアニズムの    極ともいえる猛演で、ホロヴィッツの中でもベスト演奏の一つです。モノーラルで録音が古い    のが最大の欠点ですが、音質には定評があるRCAですし、ホロヴィッツの全盛期だけに、音    を超えて迫りくるものがあります。この作品を聴く人にはどうしても避けては通れない不滅の    金字塔となっています。音源は違いますが(おそらく同じ音源と思われる1947年録音のC    Dもあります)上のYOUTUBEへのリンクからお聴き下さい。    2番目のCDは、お安い期間生産限定盤です。    エフゲニー・キーシンは1971年ロシア生まれのピアニストで、まだ若いのですが、将来楽    壇を担うのではないかというほど期待されている逸材です。    以前はかなりお高かったのですが、お安めのBlu-specCD2が発売されましたので、これを○    としました。    リヒテルによる58年録音のCDも、古くからの名盤として知られています。    ショパンラフマニノフなども入っていて1000円前後という大変お得なCDなのですが、    なぜかすべてモノーラル録音なのは痛いところです。    フェルツマン盤は今回初登場です。21世紀の新しい録音で、もう少しお安ければお薦め度を    上げたいのですが、△までとしました。    <更新のポイント> ホロヴィッツ盤のお薦め度をSSからSに、リヒテル盤もSからAに              下げ、フェルツマン盤を追加しました。   

☆メンデルスゾーン
作品NO.118 劇音楽「真夏の夜の夢」 ★★ 2021年5月最新更新
  
 「真夏の夜の夢」と言われても、ほとんどの方は、「ユーミンにそんなような名前の曲があったような
 …」でおしまいでしょう。ですが、この全曲の名前はあまり知られていなくても、実は誰もが知ってい
 るであろう曲が1曲あります。それが、第9番の「結婚行進曲」なのです。近年は必ずしもこの曲で入
 場ということもなくなったのですが、超有名な曲には変わりないはずです。余談ですが、ワーグナーの
 オペラ「ローエングリン」の第三幕に、「婚礼の合唱」という曲がありまして、これも下のリンクから
 聴いて頂けばすぐにお分かりになると思いますが、結婚行進曲と同じくらいに新郎新婦入場の時に使わ
 れる超有名な曲です。実は結婚式の2大有名曲はどちらもクラシックだったのです。
 この曲が含まれているように、非常にメルヘンチックな曲集でして、中でも「結婚行進曲」「間奏曲」
 「妖精の歌」はメンデルスゾーンの魅力ここにあり、というほどの素敵な曲です。
 ちなみに、コンサートでは「序曲」「スケルツォ」「夜想曲」「結婚行進曲」の4曲を集めた組曲がよ
 く演奏されます。「序曲」を含め全13曲ですが、CDは収録曲数がまちまちです。

「結婚行進曲」(アバド指揮)   ワーグナー「ローエングリン」より「婚礼の合唱」
 ☆推薦盤☆   ★◎プレヴィン/ウィーン・フィル&合唱団(85)(デッカ)    10曲 SS    △ガーディナー/ロンドン交響楽団(16)(LSO Live)  11曲  A    ▲ブリュッヘン/18世紀オーケストラ(97)(グロッサ)    10曲  A    〇クレンペラー/フィルハーモニアO&合唱団(60)(ワーナー) 10曲  A    △アバド/ベルリン・フィル(13)(ベルリン・フィル・レコーディングス)    7曲  A    △小澤征爾/ボストン交響楽団(92〜94)(グラモフォン)   13曲  B    「真夏の夜の夢」のCDは長く断然トップに君臨しているプレヴィン盤が定盤です。もちろん    第一にお薦め、★です。    ガーディナー盤は、ロンドン交響楽団ですので、現代楽器の演奏かと思われます。リンク先の    レヴューを見ると不評のようですので、お薦め度は△にしました。    古楽器演奏でお聴きになりたい方は、ブリュッヘン盤もお薦めです。    アバドのCDは、CDプレイヤーで再生可能かの確認が取れておりませんし、そもそも非常に    お高いのであまりお薦めはできません。    クレンペラー盤は10曲ですが、今でも第一に推す人も多い古くからの名盤です。    安定性をかって、これをお薦め度〇としました。    最後に、収録曲数が多いCDをということで小澤盤を挙げておきました。



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