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ベートーヴェンが書いた唯一のヴァイオリン協奏曲で、4大ヴァイオリン協奏曲の中の一つです。 「ベトコン」と呼びたくなりますが、ベートーヴェンには「第5番『皇帝』」に代表されるピアノ協奏 曲が5つありますので、あまり「ベトコン」と呼ばれることは多くありません。 ベートーヴェンの作曲意欲が最も充実した時期に書かれた作品で、中期の傑作の一つと言われています。 当時、36歳のベートーヴェンはヨゼフィーネ(ある未亡人)に恋をしていたそうで、彼女を想う優し い気持ちが、このような音楽を書かせたのではないかとも言われています。 この作品は傑作と言われてはいますが、見事な技巧に酔いしれたり、ゆったりと甘美な旋律に身をゆだ ねて、という性質の作品とはいいがたいです。それよりは内容主義の作品で、内に秘めた想いを音符に 託したかのような作品という方が適切かもしれません。よって、「4大ヴァイオリン協奏曲」の中では、 外面的に、すぐに魅かれる要素は一番乏しいかもしれません。逆に、それだけ音楽が奥深いということ でありまして、演奏者のヴァイオリニストの解釈によって新たな発見がある作品とも言えましょう。 残念なのは、第1楽章がやや冗長で演奏時間も約25分と長いですので、初心者の方にはとっつきにく い点でしょうか。 |
ベートーヴェンによるピアノ協奏曲は5つで、その中で断然有名なのは次でご紹介している第5番です。 この第3番は、5つのピアノ協奏曲の中で唯一、短調で書かれているのが特徴です。第1楽章、第3楽 章はダイナミックで、伴奏のオケもたっぷりとぶ厚く書かれていますので、いかにもベートーヴェンの 作品という印象を受けます。なお、この楽章の主題はモーツァルトの「ピアノ協奏曲第24番」の影響 を受けているという指摘をされています。第2楽章は叙情的な音楽で、第3楽章では再び激しい音楽へ と変わり、エネルギッシュなベートーヴェンの心境が垣間見られます。 元々、慈善公演のために創作したということもあって、作曲当時は不評だったものの、現在ではピアニ ストの重要なレパートリーとなっている作品でもあります。 |
ベートーヴェンはピアノ協奏曲を5つ書きましたが、その中の最高傑作として名高いのがこの第5番 「皇帝」で、チャイコフスキーのピアノ協奏曲と並び、このジャンルにおける最高傑作の誉れ高い作品 です。また、シューマンのピアノ協奏曲がピアノ協奏曲の「女王」と称されるのとは対照的に、ピアノ 協奏曲の「王様」と称されます。 そのゆえんは、こちらの方がいかにもベートーヴェンらしく、シンフォニックだからのようです。 この作品が「ベトコン」と呼ばれることはまずなく、「皇帝」と言えばこの作品を指すのが一般的です (ハイドンにも有名な「皇帝」という作品があります)。 「皇帝」の名の通り、まことにスケール雄大な第1楽章、主題を次々と変奏させていく第3楽章共に魅 力的です。音楽評論家の中には、この第5番「皇帝」ではなくて、第4番の方が優れているのではない かという意見もありますが、第4番はいささか地味ですので、よりベートーヴェンらしく、ポピュラー な「皇帝」の方から聴き始めるべきだと思われます。 |
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4大ヴァイオリン協奏曲の一つです。この4作品は、「チャイコン」「ブラコン」「ベトコン」、そし てこの「メンコン」の略称で呼ばれます。 ところで、略称というのはクラシックの世界では常識と言いますか、どの単語もなるべく短く略そうと しますので、リスナーとしてもぜひ慣れたいところです。 「メンコン」は第1楽章冒頭の旋律でよく知られていますので、この部分だけで言えば、4大ヴァイオ リン協奏曲の中でも最も有名な作品ということになるでしょうか。 ヴィヴァルディの「四季」もバロック音楽ゆえに形式は異なりますが、ヴァイオリン協奏曲に属するの で、最も有名なヴァイオリン協奏曲はダントツで「四季」ということになりますけれども。 「メンコン」は有名ですが、あまり深みがなく、飽きがきやすいと言われています。 |
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様々な作曲家がヴァイオリン協奏曲を作曲している中、チャイコン、ブラコン、ベトコン、メンコンが 4大ヴァイオリン協奏曲と呼ばれ、5つも作曲しているモーツァルトのヴァイオリン協奏曲はその下に おかれます。5つの作品すべてが19歳の時の作品であるため、完成度が今一つであるのがその理由と 言われています。 5つ作曲されたことは分かっているのですが、それ以降は詳細が不明なため、演奏されるのは第3番か ら第5番の3つが断然多いです。いずれもモーツァルティックな魅力に溢れていますので、モーツァル トファンは必聴といったところです。 |
”協奏””交響曲”とは、一体何なのでしょうか。一風変わったジャンルだけに、ここでご紹介します。 最も有名なのはモーツァルトのこの作品で、ハイドンなどにも作品はありますが、耳にすることはほと んどありません。 協奏交響曲とは、伴奏のオケと「複数の」独奏楽器による作品のことを言う、協奏曲の変型です。独奏 楽器はそれこそ作品によって様々です。となりますと、ベートーヴェンの三重協奏曲やブラームスの二 重協奏曲も、呼び方は違えども、形式は協奏交響曲と同じということになります。なお、ショスタコー ヴィチのピアノ協奏曲第1番も、ピアノと共にトランペットも独奏楽器的な役割を担っていますので、 厳密に言えば協奏交響曲ということになります。 この作品のタイトルに「K364」という表記がついていますが、これは、モーツァルトの作品には協 奏交響曲が2つありまして、「第○番」という呼び方はせず、もう片方は「K297b」という表記が ついていますので、そちらと間違えないためです。モーツァルトの「協奏交響曲」と言ったら、一般的 にこちらの「K364」を指します。 さて、この作品は、ヴァイオリンとヴィオラという、弦楽器2つが独奏楽器となっています。オケをバ ックに、ヴァイオリンとヴィオラの掛け合いが魅力的な作品です。 |