|
ベートーヴェンが書いた唯一のヴァイオリン協奏曲であり、4大ヴァイオリン協奏曲の中の一つである。 ゆえに、「ベトコン」と言ったらこの作品のことを指す。 特に第1楽章は非常に優美な旋律をもった傑作であるが、作曲当時、36歳のベートーヴェンはヨゼフ ィーネに恋をしていたそうだ。 彼女を想う優しい気持ちが、ベートーヴェンには珍しいこのような音楽を書かせたのだろうか。 ☆推薦盤☆ ・クレーメル/アーノンクール ヨーロッパ室内管弦楽団(92)(テルデック) A |
ベートーヴェンはピアノ協奏曲を5曲書いたが、その中の最高傑作として名高いのがこの第5番「皇帝」 で、チャイコフスキーのピアノ協奏曲と並び、このジャンルにおける最高傑作の誉れ高い名作である。 私個人的にはこちらの方がシンフォニックで好きである。 しかし、この作品が「ベトコン」と呼ばれることはまずない。 「皇帝」の名の通り、まことにスケール雄大な第1楽章、主題を次々と変奏させていく第3楽章ともに 魅力的だ。中にはこの第5番「皇帝」ではなくて、第4番の方が優れているのではないかという評価も あるが、第4番はいささか地味であり、よりベートーヴェンらしい「皇帝」の方から聴き始めるべきだ と思う。 |
|
4大ヴァイオリン協奏曲の一つ。ちなみに、この4曲は、「チャイコン」「ブラコン」「ベトコン」そ してこの「メンコン」の略称で呼ばれる。ところで、略称というのはクラシックの世界では常識である。 どの単語もなるべく短く略そうとするので、慣れた方がいいと思う。一時期の女子高生言葉のようだ。 「メンコン」は第1楽章冒頭の旋律でよく知られているので、この部分だけで言えば、4大ヴァイオリ ン協奏曲の中でも最も有名な曲ということになるだろうか。 ちなみに、ヴィヴァルディの「四季」もバロック音楽ゆえに形式は異なるが、ヴァイオリン協奏曲に属 するので、最も有名なヴァイオリン協奏曲はダントツで「四季」ということになる。 「メンコン」は有名ではあるが、あまり深みがないので、特に上級者の方は飽きがきやすい。 |
|
実に様々な作曲家がヴァイオリン協奏曲を作曲している中、ベトコン、ブラコン、メンコン、チャイコ ンが4大ヴァイオリン協奏曲と呼ばれ、5つも作曲しているモーツァルトのヴァイオリン協奏曲はその 下におかれる。 5つ作曲されたことはわかっているのだが、それ以降は詳細が不明なため、演奏されるのは第3番から 第5番の3つが断然多い。いずれもモーツァルティックな魅力に溢れているので、モーツァルトファン は必聴といったところだ。 ☆推薦盤☆ ・グリュミオー/ディヴィス ロンドン交響楽団(61、62)(フィリップス) S |
「協奏」「交響曲」とは、一体何ものなのだろうか。一風変わったジャンルだけに、ここで紹介したい。 最も有名なのはモーツァルトのこの作品で、ハイドンなどにも作品はあるが、耳にすることはほとんど ない。この曲のタイトルに「K364」という表記がついているが、これは、モーツァルトの作品には 協奏交響曲が2曲あり、もう片方は偽作の疑いがあって、「K297b」という表記がついているので、 そちらと間違えないためである。モーツァルトの「協奏交響曲」と言ったら、一般的にこちらを指す。 協奏交響曲とは、伴奏のオケと、「複数の」独奏楽器による曲のことを言う、協奏曲の変形である。独 奏楽器はそれこそ曲によって様々。となると、ベートーヴェンの三重協奏曲やブラームスの二重協奏曲 も、呼び方は違えども、形式は協奏交響曲と同じということになる。なお、ショスタコーヴィチのピア ノ協奏曲第1番も、ピアノと共にトランペットも独奏楽器的な役割を担っているので、厳密に言えば協 奏交響曲であるらしい。 さて、この曲は、ヴァイオリンとヴィオラという、弦楽器2本が独奏楽器となっている。オケをバック に、ヴァイオリンとヴィオラの掛け合いが魅力的な曲。曲風は、いつものモーツァルト調である。 ☆推薦盤☆ ・クレーメル/アーノンクール ウィーンフィル(83)(グラモフォン) SS |
モーツァルトは様々なジャンルにおいて多くの名曲を残したが、ピアノ協奏曲というジャンルは彼の作 品の中でも重要な位置を占める。自分がピアノを習った経験がないと、どうしても交響曲や管弦楽曲に 興味が行きがちだが、ピアノ協奏曲というジャンルは、ピアノとオーケストラの共演であるから、非常 に贅沢なジャンルである。中には1つの楽章が長く、退屈してしまう楽曲もあるが、モーツァルトのピ アノ協奏曲は、他の作曲家と比べて比較的短く、旋律がチャーミングなのが特徴。モーツァルトの楽曲 の魅力の大きな部分を占めているジャンルなのである。楽曲数は27と多いが、本当に有名な曲はごく 一部なので、ぜひ彼のピアノ協奏曲に触れてほしいと思う。 彼のピアノ協奏曲の中で一番ポピュラーなのは、この第20番である。彼の曲はどのジャンルをとって も長調がほとんどなのだが、この第20番は短調である。彼にしては珍しい暗さが人気なのか。 曲調は、叙情的な第2楽章を除けば、まさに慟哭そのもの。この「第20番」は彼にしては珍しく、聴 衆のことを考えずに、内面を吐露した曲であるが、弦の突き刺さるようなダイナミズムは聴いていて痛 ましささえ感じる。交響曲第40番のような詠嘆の調べというよりはむしろ、交響曲第25番のような 感傷的な曲である。 |
ピアノ協奏曲第20番の一ヵ月後に作曲された作品。モーツァルトのピアノ協奏曲の中でポピュラーな ものといえば、やはり第20番と第27番が双璧で、その後に第23番、第26番、そしてこの第21 番あたりになるのだが、曲全体の印象としては、祝祭的で優雅な第23番、第26番に遅れをとってい るだろう。 しかし、この第21番には、モーツァルトのピアノ協奏曲の中では最も有名と言ってもいい、第2楽章 がある。この楽章は、映画にも使われたので、ご存知の方も多いのでは。 第1楽章は、モーツァルトのピアノ協奏曲にしてはシンフォニックで、オケに厚みがあり、聴き応えは あるものの、やや冗長になるのが欠点。その分、第2楽章はヒーリング音楽の粋と言ってもいいくらい の魅力に溢れている。 |
ピアノ協奏曲第20番は人気があるので採り上げたが、短調の曲なので、モーツァルトの曲を紹介する サイトとしては、やはり長調の曲も紹介しなければいけないと思う。 ここで紹介するのはピアノ協奏曲第23番である。第1楽章は非常にチャーミングで、まさにモーツァ ルティックなムードが充満している。また、第3楽章のロンドも主題が多彩で魅力的。 |
モーツァルトの有名なピアノ協奏曲は、普段の大衆向けに作曲する彼の創作意図とは違い、自分の内面 を吐露する性格がある。特に、有名な第20番や第27番ではそれが顕著である。 この第26番は副題の通り、レオポルト2世の戴冠式のために依頼作曲したものなので、本来の彼の明 るい面、優美な面が存分に出ており、チャーミングさでいえば彼のピアノ協奏曲の中でも屈指である。 第2楽章は、どことなく寂しげな、暗い影を感じさせる曲であるが、結局モーツァルト的「暗さ」を表 さずに終わってしまう。 従って、素直に、祝典的、モーツァルティックな曲として楽しめる逸品である。 |
このピアノ協奏曲第27番は、モーツァルトの亡くなった年に書かれ、彼の最後のピアノ協奏曲となっ た。この時の彼は病気と貧困で悲惨そのものの状態であり、生活費を得るために子供の絵本のための童 謡まで作曲したが、この童謡は、第27番の第3楽章から転用したものである。 かの天才アインシュタインは、この第3楽章について「この世を去った幼な子たちが天国で遊びたわむ れるようだ」と評した。死を前にしたモーツァルトの音楽がここにある。彼の心はすでに天に召されて いたのだろうか。 |
クラリネット協奏曲は、モーツァルトが亡くなる年に書かれた作品である。この頃のモーツァルトは病 気と貧困にあえいでいて、いかに明るいモーツァルトでも、その時の心境が垣間見える。第3楽章の中 間の短調の部分がそうだ。こういうモーツァルトの「暗さ」は、室内楽曲の項で紹介の「クラリネット 五重奏曲」にも見られる。 モーツァルトはクラリネットという楽器をことのほか愛した。友人のクラリネット奏者シュタートラー に捧げるために作ったのが、この「クラリネット協奏曲」と「クラリネット五重奏曲」である。 ☆推薦盤☆ ・ウラッハ(Cl)/ロジンスキー ウィーン国立歌劇場O(54)(ウェストミンスター) A |
フルートとハープが共演して、しかもモーツァルト作曲ときたらどんな曲になるのか想像してみよう。 ご想像の通り、この曲はモーツァルトのあらゆる曲の中でもその雅なこと、優美なことといったら特筆 ものである。まさに天国的な音楽がここにある。いつまでもこの音楽美の中に浸っていたいと思わせる。 初心者にとっても、難しくもなんともない。音色、響きそのものが芸術だからだ。この曲を聴いている と、いや浸っていると、余計なことはすべて忘れて音楽美の中に身をゆだねることができる。まさに純 音楽のヒーリングの極みのような曲だ。 この曲の純音楽的美しさに満足できないのならば、モーツァルトとは絶対的に相性が悪いということに なるだろう。 |
