名曲案内〜協奏曲編U〜

(ショパン〜ハチャトゥリアン)



    
  協奏曲とは、オーケストラを伴奏に、ソロの演奏家が一人で演奏する形式をいい、ヴァイオリン
  協奏曲、ピアノ協奏曲などがあります。主に3つの楽章からなります。
  交響曲と違ってソリストが主役となるので、ソリストの演奏が存分に楽しめ、かつ重厚なオーケ
  ストラの響きも楽しめるという、贅沢なジャンルなのです。
  なお、協奏曲には「カデンツァ」といって、伴奏がストップしてソロだけが演奏する部分が一ヶ
    所ありますが、ソリストだけの演奏を楽しめるという意味で協奏曲の魅力の一つとなっています。
   *推薦盤にある(Vn)はヴァイオリン、(P)はピアノ、(Cl)はクラリネット、
    (Fl)はフルート、(Hp)はハープの略です。

ショパン   ・チャイコフスキー   ・ドヴォルザーク   ・ハチャトゥリアン


協奏曲編T(ヴィヴァルディ〜シューマン)へ     ・協奏曲編V(バッハ〜ベルク)へ

協奏曲編W(ベートーヴェン〜モーツァルト<協奏交響曲>)へ

協奏曲編X(モーツァルト<ピアノ協奏曲第20番>〜<フルートとハープのための協奏曲>)へ

協奏曲編Y(YOSHIKI〜ロドリーゴ)へ




☆ショパン
作品NO.61 ピアノ協奏曲第1番 ★★ 2021年2月最新更新
  
  ショパンと言えば、もちろん作品はすべてピアノだけの曲と言ってもいいくらいなのですが、ピアノ協
 奏曲も2つ作曲しています。あるいは「チェロ・ソナタ」などもありますが、やはりピアノが関わって
 いますので、ショパンの作品はすべてピアノが関係しているということになります。ショパンはピアノ
 ですべてを表現しようとしたのです。ピアノの天才作曲家ショパン。言わずもがな、クラシック作曲家
 でも屈指の知名度と人気があり、かつ、多くの「美メロ(美しいメロディー)」を作曲した偉人です。
 近年、CDショップでも「美メロ」という言葉と販売促進が流行っているようです。
 この「ピアノ協奏曲第1番」の第1楽章の冒頭を初めて聴いた時は、きっとほとんどの方が「え?これ
 がショパンの曲?」と首をかしげるのではないでしょうか。チャイコフスキーか何かとCDを間違えた
 か?と思われるのでは。それくらい、第1楽章の冒頭は、非常にシンフォニックで、とても「夜想曲」
 や「ワルツ」などを作曲したショパンが書いたとは思えないほどの、オーケストラのスケールの雄大さ、
 荘厳さに圧倒されるでしょう。ショパンもオーケストラの作品を書いていたのです。
 第2楽章冒頭のピアノの独奏部分は、あらゆるクラシック作品の中でも有数の「美メロ」に挙げられる
 ほどでして、協奏曲とは言え、クラシック作曲家でも最高レベルの「美メロメイカー」ショパンの魅力
 が満喫できる部分です。面目躍如といったところです。
 韓国で最高視聴率を記録したドラマ「天国の階段」(ポスト「冬ソナ」と期待され、期待を上回る実績
 を残しました)でも、主人公が愛を伝えるという意図で何度かここの旋律をピアノで弾くシーンがあり
 ます。とろけそうな甘い旋律に特に女性はKOされるのかもしれません。
 下のリンクでは、アルゲリッチが22:05から、ブレハッチが0:52からです。
 ぜひお聴き下さい。

全楽章(何とアルゲリッチ演奏!)   第2楽章(ブレハッチ演奏)
 ☆推薦盤☆    ★◎アルゲリッチ/アバド ロンドン交響楽団(68)(グラモフォン)       SS    △アルゲリッチ/アバド ロンドン交響楽団(68)(グラモフォン)       SS    ○ツィメルマン/弾き振り ポーランド祝祭管弦楽団(99)(グラモフォン)    A    ・仲道郁代/有田正広 クラシカル・プレイヤーズ東京(10)(デンオン)     A    △アラウ/クレンペラー ケルン放送交響楽団(54)(ICA Classics) A    △フランソワ/フレモー モンテ・カルロ国立歌劇場管弦楽団(65)(エラート)  B    ・アルゲリッチ/ロヴィツキ ワルシャワ国立管弦楽団(65)(コロンビア)    B    ▲ポリーニ/クレツキ フィルハーモニア管弦楽団(60)(ワーナー)       B    ☆リパッティ/アッカーマン チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団(50)(ワーナー)       まず、予想通りというべきか、アルゲリッチ&アバドの演奏が以前からトップの座を譲らず、    SS評価の座を安定して保っています。絶対的な1枚としてお薦めできますので、お薦め度は    ★にさせて頂きました。アルゲリッチはショパンが特に得意なレパートリーという訳ではあり    ませんが、コンチェルトとなるとやはり独壇場です。この演奏は68年録音ですので、アルゲ    リッチのこの作品の録音の中でも古い方にあたります。90年代の再録音とお間違えのないよ    うご注意下さい。また、このCDには2楽曲が収録されておりまして、SS評価のリストの    「ピアノ協奏曲第1番」とのカップリングという、凄まじいCDで、超お薦め盤、殿堂入りの    CDなのです。    2番目は、カップリングがリストの「ピアノ協奏曲第1番」ではなく、ショパンの「ピアノ協    奏曲第2番」となっているCDです。殿堂入りの1番目とはカップリングが違いますので、お    薦め度を低くしました。詳しくは次の「ピアノ協奏曲第2番」でどうぞ。    3番目のツィメルマン盤も、アルゲリッチ盤には及ばないものの、この作品の定盤です。    斬新なアプローチが人気で、この作品のファンの方には是非とも聴いて頂きたい演奏です。カ    ップリングの「第2番」はS評価です。冒頭からゾクっとする感覚を覚えた演奏は私自身滅多    にないことで、「これがツィメルマンの『指揮』なのか…」と納得してしまった個性的な「指    揮」ぶりです。どのように個性的なのかはもちろん聴いてのお楽しみということで。    ここに挙げている推薦盤の中ではかなり録音が新しい方なのも魅力です。    なお、ツィメルマンが弾き振りをしたのは、今までに共演した指揮者の演奏では満足がいく表    現ができなかったからだそうで、ポーランド祝祭管弦楽団という楽団も、この作品の演奏旅行    を行うためだけに結成したというのですから、意気込みが凄いです。ショパンもツィメルマン    も同じポーランドの出身だけに、理想のショパンを演奏できたのでしょう。    4番目に仲道&有田盤を挙げておきました。日本人同士のコンビとしては、これだけ有名な作    品で好評を得るというのは快挙ですが、SACD専用の再生機が必要、かつ廃盤中のようです。    5番目のアラウ盤は、カップリングがよくないため、お薦め度を下げました。    6番目のフランソワ盤は、旧EMIの音源です。これも以前は第2番とのカップリングだった    のですが、ワーナーミュージックからは分売となってしまったため、お薦め度を下げました。    7番目のCDは、アルゲリッチのショパン・コンクールのもので、今でも評価が高い演奏です。    アルゲリッチのファンの方でなくても、記録として価値があるCDですが、国内盤は廃盤中の    ようで、リンクだけ残してあります。輸入盤はありません。    8番目のCDはポリーニによる演奏ですが、国内盤は廃盤中のため、輸入盤へのリンクを追加    しました。しかし、輸入盤も廃盤中のようです。    美音が魅力のポリーニですので、この作品との相性の良さも感じます。    この時のポリーニはショパン・コンクールを優勝した直後、18歳で、”元祖”天才ピアニス    トだということも改めて実感させられます。完璧なまでのテクニックです。    最後に、モノーラルのリパッティ盤を歴史的名盤として入れておきましたが、正直、人によっ    ては音質が相当悪く感じられるかもしれません。演奏自体は絶品なのですが…。    また、このCDはEMIレーベルのままですので現在廃盤中です。ワーナーミュージックから    いずれ再発売されるはずです。   

作品NO.62 ピアノ協奏曲第2番 ★★★ 2021年2月最新更新
  
  この「第2番」の方が実は「第1番」よりも先に作曲されていますので、実際はショパンの最初のピア
 ノ協奏曲はこちらということになります。
 この作品はショパンが19歳の時に作曲したもので、初恋の女性、コンスタンティア・グラドコフスカ
 への想いを込めて書いたと言われています。それを前提の上で聴けば、確かに「第1番」よりはこちら
 「第2番」の方が女性受けするのではないかという気もします。
 ここが、という部分はないものの、全体的に「第1番」のようにショパンならではの美しい旋律に満ち
 溢れていますので、何とも言えない香りがあります。
 この「第2番」もオケの厚みの不足が「第1番」以上に指摘されていますが、ひたすらピアノの奏でる
 美しいショパンのしらべに耳を傾けて頂きたい作品です。

第1楽章(ツィメルマン演奏99年)   全楽章(ブレハッチ演奏)
 ☆推薦盤☆      ◎ツィメルマン/弾き振り ポーランド祝祭管弦楽団(99)(グラモフォン)     S    ▲ブレハッチ/セムコフ ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(09)(グラモフォン)S    ・ピリス/プレヴィン ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団(92)(グラモフォン) S    ○アルゲリッチ/ロストロポーヴィチ ナショナル交響楽団(78)(グラモフォン)  A    △アルゲリッチ/デュトワ モントリオール交響楽団(98)(ワーナー)       A    △フランソワ/フレモー モンテ・カルロ国立歌劇場管弦楽団(65)(エラート)   A    「第1番」には、アルゲリッチアバド盤という殿堂入りのCDがあるのですが、「第2番」    は大混戦となっています。    その中で、A評価の「第1番」とカップリングのツィメルマン盤、21世紀の新たな定盤とな    りそうなブレハッチ盤、20世紀録音のピリス盤の3つをS評価とし、カップリングのよいツ    ィメルマン盤をお薦め度◎としました。ピリス盤は廃盤中です。    続くA評価のCDとしましては、SS評価の「第1番」とのカップリングというアルゲリッチ    &ロストロポーヴィチ盤をお薦め度○にしました。このCDと、ツィメルマン盤は差をつけが    たいですし、他のピアニストの演奏も同列、あくまでCDとしてのカップリングを考慮の末に    つけた◎○とお考え下さい。アルゲリッチとデュトワ盤のカップリングの「第1番」は上でご    紹介している演奏ではありませんのでご注意下さい。    最後に挙げたフランソワ盤も、古くからの定盤です。以前は「第1番」とのカップリングでし    たが、EMIからエラートへの再発売で、カップリングではなくなってしまいました。その点    をマイナスにせざるをえず、お薦め度を下げました。

☆チャイコフスキー
作品NO.214 ヴァイオリン協奏曲 ★★★ 2017年2月最新更新
 
 4大ヴァイオリン協奏曲という言葉がありまして、ブラームスベートーヴェンメンデルスゾーン、
 そしてこのチャイコフスキーの作品のことを指しています。
 当然のように業界用語の略称があり、それぞれ「ブラコン」「ベトコン」「メンコン」「チャイコン」
 と呼ばれますが、チャイコフスキーの場合は、次にご紹介しているピアノ協奏曲第1番も「チャイコン」
 と呼ばれることがあるため、この作品は「チャイコのヴァイコン」と呼ばれることもあります。
 チャイコフスキーの魅力である、哀愁を含んだ甘美な旋律は、第2楽章で味わえますが、やはり第1楽
 章が傑作です。
 4大ヴァイオリン協奏曲の中では最も明るく、祝祭的な第1楽章で、楽章全体の印象の強さからすれば
 一番なのではないかとさえ思われますが。かなり長いのが欠点です。
 「ブラコン」「メンコン」には、ファンにはこたえられない旋律がありますが、共に暗いです。チャイ
 コのこの作品には華やかさがあります。

全楽章(フィッシャー演奏)
 ☆推薦盤☆    B2★◎ハイフェッツ/ライナー シカゴ交響楽団(57)(RCA)    SS 超お薦め!    B2○オイストラフ/オーマンディ フィラデルフィア管弦楽団(59)(SONY)  A   B2△コパチンスカヤ/クルレンツィス ムジカエテルナ(14)(SONY)     B    ▲ミルシテイン/アバド ウィーン・フィル(72)(グラモフォン)       B    ・ミルシテイン/4大ヴァイオリン協奏曲集より                 B    ハイフェッツ盤は他の演奏を完全に凌駕する圧倒的評価を得ていて、泣く子も黙る名盤です。    同じくSS評価の「メンコン」とのカップリングで、あらゆるクラシックCDの中でも屈指の    名盤の一つです。有名な、チャイコフスキーの「弦楽セレナーデ」の第2楽章のワルツをアレ    ンジしたものまでカップリングされています。    テクニックも腕が鳴りきっていますし、57年の録音なのに音質も驚くほど良好です。まして    や、Blu-specCD2も発売され、これ1枚あれば他のCDはいらないほどです。    ハイフェッツは20世紀最高のヴァイオリニストの一人で、音質には定評のあるRCAに、5    0年代後半の良質の録音を残してくれたことにはひたすら感謝です。    個人的にも、音色がズバリこの作品にハマっていると思います。    マイクの位置によるのか、音量が豊富でハイフェッツの音色を間近で聴けるような録音も大変    魅力的です。    オイストラフ盤は、ハイフェッツ盤に次ぐ評価を確立していまして、唯一のA評価です。    カップリングの「シベコン」もB〜A評価です。    2014年録音のコパチンスカヤ盤は近年評判がよいCDです。Blu-specCD2で少々お高い    のですが、この作品のファンの方はぜひ。    ミルシテイン盤は、約1000円です。私自身は演奏も良いと思いますので、とりあえずお安    くこの作品に触れたい方にはお薦めです。    なお、廃盤中のようですが、ミルシテインの「4大ヴァイオリン協奏曲集」へのリンクも残し    ておきました。    <更新のポイント> コパチンスカヤ盤を追加しました。

作品NO.215 ピアノ協奏曲第1番 ★★★ 2017年2月最新更新

  チャイコフスキーは3つのピアノ協奏曲を書きましたたが、断然の演奏機会を誇っているのがこの第1
 番で、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」と並ぶ、ピアノ協奏曲の最高傑作の一つです。
 「チャイコン」、あるいは、「チャイコのPコン」と呼ばれます。
 第1楽章冒頭を聴いたことのある方は多いと思われますので、あらゆるピアノ協奏曲の中でも知名度で
 は1番でしょう。この楽章はスケール雄大で、3つの楽章の中では一番優れていると言われます。ただ、
 20分以上あるため長いです。
 ピアノ協奏曲というのはオーケストラとピアノの共演ですから、非常に贅沢なジャンルです。
 チャイコフスキーはこの作品を自信満々に作曲して、先輩のルビンシテインに見せたところ、「全く無
 価値で訂正もできない」と酷評され、落ち込んでいました。その時チャイコフスキーが作品を破棄して
 しまったらこの名曲が存在しなかったことになるのですが、幸い、指揮者のハンス・フォン・ビューロ
 ー(ベルリン・フィルの初代常任指揮者です。こちらもご参照下さい)に演奏を依頼したところ、大成
 功を収めたとのことです。

第1楽章(アルゲリッチ演奏)
 ☆推薦盤☆      ◎リヒテル/カラヤン ウィーン交響楽団(62)(グラモフォン)  S 超お薦め!     ○アルゲリッチ/アバド ベルリン・フィル(94)(グラモフォン) S お薦め!    ▲アルゲリッチ/コンドラシン バイエルン放送響(80)(デッカ) A    △ホロヴィッツ/トスカニーニ NBC交響楽団(41)(RCA)  A    △ホロヴィッツ/トスカニーニ NBC交響楽団(41)(RCA)  A    この作品のベストCDには長らくアルゲリッチの新盤が君臨していましたが、近年リヒテル盤    が盛り返しています。とは言え、アルゲリッチの得意なレパートリーでもありますので、演奏    自体は全くひけをとるものではありません。    ここで、CDとして考えますと、リヒテル盤に軍配が上がります。    このCDは、SS評価のラフマニノフのピアノ協奏曲第2番とのカップリングという超お薦め    CDですので、お薦め度はこちらを◎としました。    アルゲリッチの旧盤は、新盤に比べれば評価は落ちますが、この作品が得意なアルゲリッチに    よる演奏ですし、新盤が発売される前はリヒテル盤と争っていた実績があります。    最後はホロヴィッツトスカニーニの義理の親子の超人コンビによる歴史的名演をご紹介。    41年の録音だけにお世辞にも音質がいいとは言えませんが、「これがホロヴィッツ」という    ほどの凄まじい猛演です。    カップリングに、今なお同曲ベスト盤でS評価の「展覧会の絵」が入っていますが、共にホロ    ヴィッツの代表的演奏で、CDとしてもお得です。    1番下にお安い期間生産限定盤へのリンクを追加しておきました。        <更新のポイント> リヒテル盤とアルゲリッチの新盤のお薦め度を入れ替えました。

☆ドヴォルザーク
作品NO.76 チェロ協奏曲 ★★★★ 2021年2月最新更新
 
 チェロ協奏曲についてご説明しておきたいと思います。
 チェロ協奏曲はエルガーのものと、このドヴォルザークのもの2つが有名です。後者の方が演奏機会が
 多いですので、チェリストにとっては登竜門的な作品となっていまして、「ドヴォコン」と呼ばれてい
 ます。チェロ協奏曲はヴァイオリン協奏曲の数に比べれば圧倒的に少ないですので、まあ有名なチェリ
 ストはみな、この協奏曲を録音していると考えてもいいくらいです。さしずめ、チェリストによる腕比
 べといったところです。

全楽章(ロストロポーヴィチ演奏ジュリーニ指揮)
 ☆推薦盤☆    ◎フルニエ/セル ベルリン・フィル(62)(グラモフォン)          S    ○ロストロポーヴィチ/カラヤン ベルリン・フィル(68)(グラモフォン)   S    ▲ケラス/ビエロフラーヴェク プラハ・フィル(04)(ハルモニア・ムンディ) A    △イッサーリス/ハーディング マーラー室内管弦楽団(12)(ハイペリオン)  A    △デュ・プレ/バレンボイム シカゴ交響楽団(70)(ワーナー)        A    ☆カザルス/セル チェコ・フィルハーモニー管弦楽団(37)(EMI)     B    フルニエ盤とロストロポーヴィチ盤がS評価で並んでいますが、従来トップ評価だったのは、    フルニエ盤ですので、お値段等のお好みによると思います。チェロ奏者にお詳しい方は、ど    ちらかお好きなチェリストでお選びになるとそれでよいと思われます。弦楽器奏者列伝もご    参考になさって下さい。    ロストロポーヴィチ盤は、フルニエ盤よりも、もっと雄大な演奏が好みの方にはこちらがお    薦めです。      ケラス盤、イッサーリス盤、デュ・プレ盤の中では、新しい録音がお好みの方にはケラス盤、    古くからの名盤で、お値段的にもお安い方がお好みの方にはデュ・プレ盤をお薦めします。    カザルス盤は旧EMIの音源ですので廃盤中です。

☆ハチャトゥリアン
作品NO.38 ヴァイオリン協奏曲 ★★★ 2021年2月最新更新
 
 この作品は、完全に「私個人的な」お薦めの作品です。
 ハチャトゥリアンという作曲家の名前を知っている方は多くはないでしょう。知っている方でも、有名
 な曲はと問われれば、「剣の舞」と答える方がほとんどだと思われます。「剣の舞」でさえ作品名では
 ないのですけれども。
 ここでご紹介するヴァイオリン協奏曲も書いたのですが、よほどのマニアの方でも、この作品を聴いた
 ことがある方がどれだけいらっしゃるのでしょう。もちろん、私も以前はその存在すら知りませんでし
 た。しかし、当時自分が参加した演奏会で、プロのソリスト(以前の私の先生)を呼んでこの作品を演
 奏することになったのですが、隠れた名曲の発見に驚いたのです。
 この作品のイメージは、ブラームスのヴァイオリン協奏曲にジプシーさを加えた感じです。
 ハチャトゥリアンはアルメニア出身ですので、民族的な雰囲気もあります。
 第1、2楽章は哀愁をたっぷりと含んだ渋い曲で、第3楽章は愉しいムードの曲となります。
 初心者の方にはやはり難しいですが、ブラームスのヴァイオリン協奏曲がお好きな方は特に、騙された
 と思って聴いて頂ければ幸いです。下のリンクから試聴をどうぞ。 

全楽章
 ☆推薦盤☆    ・オイストラフ/ハチャトゥリアン フィルハーモニア管弦楽団(55)(ワーナー)  ?    ◎パールマン/メータ イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団(83)(ワーナー)  ?    ○コーガン/モントゥー ボストン交響楽団(58)(RCA)            ?    ▲コーガン/ハチャトゥリアン モスクワ放送響(59)(スプラフォン)       ?    もちろん、作品自体がマイナーなだけに、輸入盤を合わせても現在入手できるCDは10枚程    度で、国内盤は数枚という状況です。お薦め度は私の完全な主観です。    私の聴いた限りではオイストラフ盤がおそらくベストだと思われます。    1955年の録音なのでモノーラルですが、音質はそれほど気にはなりません。何と指揮者は    ハチャトゥリアン自身という万全の布陣です。オイストラフは、この作品の完成にも携わって    います。ところが現在は廃盤中かもしれません。    そこで、パールマン盤を◎として挙げておきます。    オイストラフと比べるとあっさりしている感はありますが、この作品に合っているのはもしか    するとこちらかもしれません。    1枚では寂しいのでコーガン盤も挙げておきました。上のCDはお安いのでお薦めです。下の    CDはハチャトゥリアンの自作自演集となっています。ある意味お宝級のCDですが、2枚組    でちょっとお高いのがネックです。    できればより渋いヴァイオリニストに録音を残して欲しかったところです。もしハイフェッツ    が録音を残していたとしたら、文句なくこの曲のベスト盤になっていただろうと思いますが。


名曲案内へ


協奏曲編T(ヴィヴァルディ〜シューマン)へ     協奏曲編V(バッハ〜ベルク)へ

協奏曲編W(ベートーヴェン〜モーツァルト<協奏交響曲>)へ     

協奏曲編X(モーツァルト<ピアノ協奏曲第20番>〜<フルートとハープのための協奏曲>)へ

協奏曲編Y(YOSHIKI〜ロドリーゴ)へ




inserted by FC2 system