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ショパンと言えば、もちろん作品はすべてピアノだけの曲と言ってもいいくらいなのですが、ピアノ協 奏曲も2つ作曲しています。あるいは「チェロ・ソナタ」などもありますが、やはりピアノが関わって いますので、ショパンの作品はすべてピアノが関係しているということになります。ショパンはピアノ ですべてを表現しようとしたのです。ピアノの天才作曲家ショパン。言わずもがな、クラシック作曲家 でも屈指の知名度と人気があり、かつ、多くの「美メロ(美しいメロディー)」を作曲した偉人です。 近年、CDショップでも「美メロ」という言葉と販売促進が流行っているようです。 この「ピアノ協奏曲第1番」の第1楽章の冒頭を初めて聴いた時は、きっとほとんどの方が「え?これ がショパンの曲?」と首をかしげるのではないでしょうか。チャイコフスキーか何かとCDを間違えた か?と思われるのでは。それくらい、第1楽章の冒頭は、非常にシンフォニックで、とても「夜想曲」 や「ワルツ」などを作曲したショパンが書いたとは思えないほどの、オーケストラのスケールの雄大さ、 荘厳さに圧倒されるでしょう。ショパンもオーケストラの作品を書いていたのです。 第2楽章冒頭のピアノの独奏部分は、あらゆるクラシック作品の中でも有数の「美メロ」に挙げられる ほどでして、協奏曲とは言え、クラシック作曲家でも最高レベルの「美メロメイカー」ショパンの魅力 が満喫できる部分です。面目躍如といったところです。 韓国で最高視聴率を記録したドラマ「天国の階段」(ポスト「冬ソナ」と期待され、期待を上回る実績 を残しました)でも、主人公が愛を伝えるという意図で何度かここの旋律をピアノで弾くシーンがあり ます。とろけそうな甘い旋律に特に女性はKOされるのかもしれません。 下のリンクでは、アルゲリッチが22:05から、ブレハッチが0:52からです。 ぜひお聴き下さい。 |
この「第2番」の方が実は「第1番」よりも先に作曲されていますので、実際はショパンの最初のピア ノ協奏曲はこちらということになります。 この作品はショパンが19歳の時に作曲したもので、初恋の女性、コンスタンティア・グラドコフスカ への想いを込めて書いたと言われています。それを前提の上で聴けば、確かに「第1番」よりはこちら 「第2番」の方が女性受けするのではないかという気もします。 ここが、という部分はないものの、全体的に「第1番」のようにショパンならではの美しい旋律に満ち 溢れていますので、何とも言えない香りがあります。 この「第2番」もオケの厚みの不足が「第1番」以上に指摘されていますが、ひたすらピアノの奏でる 美しいショパンのしらべに耳を傾けて頂きたい作品です。 |
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4大ヴァイオリン協奏曲という言葉がありまして、ブラームス、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、 そしてこのチャイコフスキーの作品のことを指しています。 当然のように業界用語の略称があり、それぞれ「ブラコン」「ベトコン」「メンコン」「チャイコン」 と呼ばれますが、チャイコフスキーの場合は、次にご紹介しているピアノ協奏曲第1番も「チャイコン」 と呼ばれることがあるため、この作品は「チャイコのヴァイコン」と呼ばれることもあります。 チャイコフスキーの魅力である、哀愁を含んだ甘美な旋律は、第2楽章で味わえますが、やはり第1楽 章が傑作です。 4大ヴァイオリン協奏曲の中では最も明るく、祝祭的な第1楽章で、楽章全体の印象の強さからすれば 一番なのではないかとさえ思われますが。かなり長いのが欠点です。 「ブラコン」「メンコン」には、ファンにはこたえられない旋律がありますが、共に暗いです。チャイ コのこの作品には華やかさがあります。 |
チャイコフスキーは3つのピアノ協奏曲を書きましたたが、断然の演奏機会を誇っているのがこの第1 番で、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」と並ぶ、ピアノ協奏曲の最高傑作の一つです。 「チャイコン」、あるいは、「チャイコのPコン」と呼ばれます。 第1楽章冒頭を聴いたことのある方は多いと思われますので、あらゆるピアノ協奏曲の中でも知名度で は1番でしょう。この楽章はスケール雄大で、3つの楽章の中では一番優れていると言われます。ただ、 20分以上あるため長いです。 ピアノ協奏曲というのはオーケストラとピアノの共演ですから、非常に贅沢なジャンルです。 チャイコフスキーはこの作品を自信満々に作曲して、先輩のルビンシテインに見せたところ、「全く無 価値で訂正もできない」と酷評され、落ち込んでいました。その時チャイコフスキーが作品を破棄して しまったらこの名曲が存在しなかったことになるのですが、幸い、指揮者のハンス・フォン・ビューロ ー(ベルリン・フィルの初代常任指揮者です。こちらもご参照下さい)に演奏を依頼したところ、大成 功を収めたとのことです。 |
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チェロ協奏曲についてご説明しておきたいと思います。 チェロ協奏曲はエルガーのものと、このドヴォルザークのもの2つが有名です。後者の方が演奏機会が 多いですので、チェリストにとっては登竜門的な作品となっていまして、「ドヴォコン」と呼ばれてい ます。チェロ協奏曲はヴァイオリン協奏曲の数に比べれば圧倒的に少ないですので、まあ有名なチェリ ストはみな、この協奏曲を録音していると考えてもいいくらいです。さしずめ、チェリストによる腕比 べといったところです。 |
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この作品は、完全に「私個人的な」お薦めの作品です。 ハチャトゥリアンという作曲家の名前を知っている方は多くはないでしょう。知っている方でも、有名 な曲はと問われれば、「剣の舞」と答える方がほとんどだと思われます。「剣の舞」でさえ作品名では ないのですけれども。 ここでご紹介するヴァイオリン協奏曲も書いたのですが、よほどのマニアの方でも、この作品を聴いた ことがある方がどれだけいらっしゃるのでしょう。もちろん、私も以前はその存在すら知りませんでし た。しかし、当時自分が参加した演奏会で、プロのソリスト(以前の私の先生)を呼んでこの作品を演 奏することになったのですが、隠れた名曲の発見に驚いたのです。 この作品のイメージは、ブラームスのヴァイオリン協奏曲にジプシーさを加えた感じです。 ハチャトゥリアンはアルメニア出身ですので、民族的な雰囲気もあります。 第1、2楽章は哀愁をたっぷりと含んだ渋い曲で、第3楽章は愉しいムードの曲となります。 初心者の方にはやはり難しいですが、ブラームスのヴァイオリン協奏曲がお好きな方は特に、騙された と思って聴いて頂ければ幸いです。下のリンクから試聴をどうぞ。 |