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モーツァルトは様々なジャンルにおいて多くの名曲を残しましたが、中でもピアノ協奏曲というジャン ルは重要な位置を占めます。そもそも、ピアノ協奏曲というジャンルは、ピアノとオーケストラの共演 ですから、非常に贅沢なジャンルです。中には1つの楽章が長く、退屈してしまう作品もありますが、 モーツァルトのピアノ協奏曲は他の作曲家と比べて比較的短く、旋律がチャーミングなのが特徴です。 モーツァルトの作品の魅力の大きな部分を占めているジャンルなのです。作品数は27と多いですが、 本当に有名なものはごく一部ですので、ぜひモーツァルトのピアノ協奏曲に触れて頂きたいと思います。 その中で一番ポピュラーなのは、この第20番とされています。モーツァルトの作品はどのジャンルを とっても長調がほとんどなのですが、この第20番は短調です。珍しい暗さが人気なのでしょうか。 曲調は、叙情的な第2楽章を除けば、まさに慟哭そのものです。この第20番はモーツァルトにしては 珍しく、聴衆のことを考えずに、内面を吐露した作品ですが、弦の突き刺さるようなダイナミズムは聴 いていて痛ましささえ感じます。「交響曲第25番」のような感傷的な作品です。 |
ピアノ協奏曲第20番の1ヵ月後に作曲された作品です。モーツァルトのピアノ協奏曲の中でポピュラ ーなものといえば、やはり第20番と第27番が双璧で、その後に第23番、第26番、そしてこの第 21番あたりになるのですが、作品全体の印象としては、祝祭的で優雅な第23番、第26番に遅れを とっている感があります。 ですが、この第21番には、モーツァルトのピアノ協奏曲の中では最も有名と言ってもいい、第2楽章 があります。この楽章は、映画にも使われましたので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。ぜひ 下のリンクからお聴き下さい。この曲のようなチャーミングな曲があるからこそ、モーツァルトの音楽 を聴くにあたって、ピアノ協奏曲は無視するわけにはいかないのです。 第1楽章は、モーツァルトのピアノ協奏曲にしてはシンフォニックで、オケに厚みがあり、聴き応えは あるのですが、やや冗長になるのが欠点です。その分、第2楽章はヒーリング音楽の粋と言ってもいい くらいの魅力に溢れています。 |
ここでご紹介しているモーツァルトのピアノ協奏曲の中では最も演奏時間が短く、聴きやすい作品です。 「フィガロの結婚」の前年に作曲されました。 第1楽章はあたかもセレナーデかのように非常にチャーミングで、まさにモーツァルティックなムード が充満しています。それとあまりに対照的に第2楽章は感傷的で、胸に染みいる曲となっています。 第3楽章のロンドも主題が多彩で魅力的です。 |
モーツァルトの有名なピアノ協奏曲は、普段の大衆向けに作曲する創作意図とは違い、自分の内面を吐 露する性格があります。特に、有名な第20番や第27番ではそれが顕著です。 この第26番は副題の通り、レオポルト2世の戴冠式のために依頼作曲されたものですので、本来の明 るい面、優美な面が存分に出ていまして、チャーミングさでいえばモーツァルトのピアノ協奏曲の中で も屈指です。 第2楽章は、どことなく寂しげな、暗い影を感じさせる部分もあるのですが、結局モーツァルト的「暗 さ」を表さずに終わってしまうチャーミングな曲です。 よって、素直に、祝典的、モーツァルティックな作品として楽しめる逸品となっています。 |
このピアノ協奏曲第27番は、モーツァルトが亡くなった年に書かれ、最後のピアノ協奏曲となりまし た。この年は病気と貧困で悲惨そのものの状態でして、生活費を得るために子供の絵本のための童謡ま で作曲しましたが、この童謡は、第27番の第3楽章から転用したものです。 かの天才アインシュタインは、この第3楽章について「この世を去った幼な子たちが天国で遊びたわむ れるようだ」と評しました。死を前にしたモーツァルトの音楽がここにあります。モーツァルトの心は すでに天に召されていたのでしょうか。 |
クラリネット協奏曲は、モーツァルトが亡くなる年に書かれた作品です。この頃のモーツァルトは病気 と貧困にあえいでいまして、いかに明るいモーツァルトでも、その時の心境が垣間見えます。第3楽章 の中間の短調の部分がそうです。こういうモーツァルトの「暗さ」は、室内楽曲の項でご紹介している 「クラリネット五重奏曲」にも見られます。 モーツァルトはクラリネットという楽器をことのほか愛しました。友人のクラリネット奏者シュタート ラーに捧げるために作ったのが、この「クラリネット協奏曲」と「クラリネット五重奏曲」です。 第3楽章は、どこかで聴き覚えのある方が多いのではないでしょうか。 |
フルートという楽器は独奏楽器としても用いられますが、他の楽器とは何とも言えない絶妙なハーモニ ーを奏でます。モーツァルトによる、いわゆる「ヒーリングミュージック」の代表作としましては、下 でご紹介している「フルートとハープのための協奏曲」を私は挙げたいのですが、フルートのために書 いた協奏曲は第2番まであります。 「第2番」は、オーボエ協奏曲を編曲して済ませたため、ここでは「第1番」をご紹介します。 この作品は、オランダのフルート愛好家の作曲依頼で書かれたものです。モーツァルト自身はクラリネ ットが大好きで、フルートはむしろ嫌いだったらしいのですが、第2楽章などはかなり難しく書かれて いると言われています。 嫌いな楽器であっても難曲を書いてしまうのは、プロの作曲職人、あるいは天才と呼ばれる所以なので しょうか。 全3楽章構成で、計25分程度です。モーツァルティックな何とも優美な旋律の第1楽章冒頭から始ま ります。 |
この作品は、1920年に、モーツァルト学者のパウムガルトナーによって筆写譜が発見され、「フル ート協奏曲第2番」の原曲と認定されました。1777年に作曲されたことは分かっていたのですが、 楽譜の所在は不明で、1949年になってやっと出版されたという作品です。 ザルツブルク宮廷楽団のフェルレンディスのために書かれたとされています。 モーツァルトにはクラリネットやフルート、ホルンなどの管楽器の協奏曲の作品がありますが、オーボ エがお好きな方には是非とも聴いて頂きたい逸品です。 |
フルートとハープの共演で、しかもモーツァルト作曲ならばどんな曲になるのか想像してみて下さい。 ご想像の通り、モーツァルトのあらゆる作品の中でもその雅なこと、優美なことといったら特筆もので、 まさに天国的な音楽がここにあります。いつまでもこの音楽美の中に浸っていたいと思わせられます。 初心者の方にとっても、難しくもなんともありません。音色、響きそのものが芸術なのです。この作品 を聴いていると、いえ浸っていると、余計なことはすべて忘れて音楽美の中に身をゆだねることができ ます。まさに純音楽のヒーリングの極みのような作品です。 この作品の純音楽的美しさに満足できないのならば、モーツァルトとは絶対的に相性が悪いということ になるでしょう。 |
モーツァルトは4つのホルン協奏曲を作曲していますが、第1番は、亡くなったために第1楽章しか完 成されていませんし、第3楽章はありません。また、作曲順では、第2番、第4番、第3番、第1番と なる点で、珍しい作品群ということになります。 特に有名なのは第3番です。ホルンのほのぼのとした音色や、華やかさが魅力的で、伴奏のオケの充実 さが奥行きを持たせています。 |