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プッチーニの音楽はメロディーが美しいことで知られている、どちらかというと女性向きの作曲家です。 この「蝶々夫人」と「ラ・ボエーム」、「トスカ」、「トゥーランドット」の代表作4作をご紹介して いきます。 「蝶々夫人」の花は、第1幕、それも蝶々さんの登場から幕切れまでにあります。御覧になる時は是非 その点を覚えておいて頂ければと思います。 「蝶々夫人」は名前のイメージの通り、和風の旋律がちりばめられています。その意味では、日本の劇 団ととても相性がいいですので、本場の劇団にこだわらずに積極的に足を運んでいただきたい作品です。 |
「ラ・ボエーム」は、パリの屋根裏部屋に、詩人、画家、音楽家、哲学家の4人の貧しい若者が共同生 活している物語です。彼らの友情に哀しい恋がからみ、最後は少女ミミの死によって悲劇的に幕を閉じ ます。全体は4幕からなりますが、ここに交響曲のアレグロ、スケルツォ、アダージョ、アレグロとい う、曲のテンポの違いを適用し、短く簡潔に書かれ、その中に情感溢れる音楽を充満させていくあたり、 音楽的な構成もよくできていると言われています。 |
この作品は、音楽というよりは、オペラとしての見せ場が多いことから、オペラ史の中でも重要な作品 として位置づけられています。原作の持つ複雑な背景や政治性をカットして、主役のトスカの悲恋にス ポットを当て、ドラマ風に分かりやすく仕立て直した作品です。 作品は簡単に言いますと、画家であるカヴァラドッシと恋人で、有名な歌手である主役の女性トスカの 物語です。 カヴァラドッシは脱獄した政治囚の逃亡を助けたために死刑宣告をされます。トスカは彼を救おうと、 警視総監スカルピアを殺すのですが、スカルピアの計略でカヴァラドッシは処刑されてしまい、トスカ も彼の後を追って自殺してしまうという、悲惨な物語です。結局、主役3人はみな亡くなってしまうの です。 ちなみに、20世紀最大のオペラ歌手とされているマリア・カラス(女性)はトスカを何度も演じたこ とで知られています。トスカ=カラスというイメージをいまだに拭えない本場のファンもいるようです。 |
プッチーニ最後のオペラで、未完に終わっています。プッチーニは第3幕の「リューの死」まで作曲し て亡くなり、残りはアルファーノが草稿に基づいて完成させました。 この作品の舞台は中国です。異国の王子カラフが冷酷非情なトゥーランドット姫に恋をすると、姫は3 つの謎を解くようにと王子に告げます。王子は何とかして謎を解き、姫の冷酷な心も溶け、二人は結婚 するという物語で、音楽には、中国的な旋律が盛り込まれています。 この作品が有名なのは、第3幕、主役のカラフが歌う「誰も寝てはならぬ」が、数あるオペラのアリア の中でも屈指といえるほどの有名曲だからです。 |
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作曲者のマスカーニは、イタリア出身の作曲家兼指揮者です。 この「カヴァレリア・ルスティカーナ」は、音楽出版社の懸賞に応募して当選した作品で、当時の文芸 運動の現実主義を主張する動きに影響された、「ヴェリズモ・オペラ」の第1号作品とされています。 劇の内容も、日常生活に根差した、人間の欲望を生々しく描いたものになっています。 村娘サントゥッツァと、恋人である若者トゥリドゥとの悲恋を描いた作品です。 間奏曲が有名で、約3分の曲ですが、テレビなどで流されたり、単品としてオムニバスのCDに収録さ れていることがある、抒情的で美しい曲です。 |
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「フィガロの結婚」はモーツァルトのオペラの入門用に最もふさわしいだけでなく、あらゆるオペラの 入門に最も適している作品の一つです。何より音楽やストーリー自体が明るく楽しく、まさにモーツァ ルトならではの魅力が満載だからです。 「恋とはどんなものかしら」だけでも聴いたことがある方は多いのでは。オペラなんか聴いたこともな いという方でも、「キューピー3分…」ならば…。 下のYOUTUBEからどうぞ。まさにモーツァルトの粋でチャーミングの極みです。特別に歌だけバージョ ンへのリンクも作りました。 音楽だけでなく、特にモーツァルトのファンの方でオペラを観たことのない方には、「フィガロ」を第 一にお薦めしたいです。 |
「魔笛」はモーツァルトの亡くなった年に書かれました。それだけでもファンはその音楽の内容が気に なるものですが、それほど暗い物語ではなく、むしろチャーミングな、漫画チックな歌劇です。 この作品はあえて中級者向けにしておきましたが、それはやはりモーツァルトのオペラといったら「フ ィガロ」から観てほしいからです。「フィガロ」の後には、他の初心者向けのオペラ、「椿姫」や「こ うもり」や「カルメン」などに進むのも良いですし、この「魔笛」に進むのもお薦めです。 |
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ウィンナーワルツやポルカで知られる、ヨハン・シュトラウスU世は、オペラ曲にも素晴らしい傑作を 残しました。それが、この「こうもり」です。オペレッタの最高傑作の地位を不動のものにしているだ けでなく、あらゆるオペラ作品の中でも最高傑作の誉れが高い作品です。 とはいえ、この作品はワーグナーの作品のように決して奥深かったり、長い訳ではなく、むしろ、最も 初心者の方向けの作品の最有力候補でもあります。 その一番の理由は、劇としての愉快、痛快さでしょう。「こうもり」という作品名が一体何を意味して いるのか最後まで分からないというような「仕掛け」もありますし、登場人物のセリフもシャレが利い ていて面白いです。観ていて愉快で、かつ、初心者の方にも非常に分かりやすい作品なのです。 また、作曲者が作曲者だけに、ウィーン情緒溢れる、美しく流麗な音楽も大きな理由です。 なお、オペレッタとは「喜歌劇」のことで、オペラの中でも喜劇や、やや気軽に接することのできる作 品のことを指しています。 この「こうもり」は、オペラの中でも屈指の作品ということで、ストーリーに大晦日が関わっているこ とにちなみ、ヨーロッパの主要な歌劇場では、大晦日に上演されるのが現在でも恒例となっています。 |