|
ウェーバーは主にオペラ曲の作曲家であるが、一番の代表作がこの「魔弾の射手」である。ロマン派初 期の、後のロマン派オペラの先駆けとなる作品で、音楽史的に重要な作品である。 ストーリーは、魂を引き換えに、悪魔から必ず標的に当たるという魔弾を手に入れた猟師が、最後は信 仰を誓うことによって救われるというもの。 音楽は平易に書かれ、合唱の役割が高いのが特徴。とりわけ、「狩人の合唱」と名づけられた歌はこの オペラで最も有名な歌で、単独で男声合唱のコンサートでも採り上げられる。 ☆推薦盤☆ ・クライバー/ドレスデン国立管弦楽団(73)(グラモフォン) S |
|
ヴェルディの「椿姫」はオペラの入門用としてはトップに挙げられる作品の一つである。「ラ・トラヴ ィアータ」とも呼ばれる。一番有名な曲は「乾杯の歌」で、「ああ、これ聴いたことがある」という方 も多いと思う。 ストーリーは、主人公が病死するという悲劇である。よって曲も甘美で、哀切なものが多い。涙もろい 方は感動して涙することもあるだろう。そして、「またオペラが観たい」となったら、新たなオペラ初 心者の誕生だ。 |
アイーダの初演は1871年なので、日本では明治時代になったばかりの頃の作品ということになる。 ストーリーは、エジプトとエチオピアとの闘争を背景にしたもの。エジプトの司令官とエチオピアの王 女、アイーダは恋に落ちるのだが、様々な邪魔が入る。両国の闘争などを経て、結局二人とも地下牢に 入れられ、そのまま死を迎えるというところで幕が下ろされる、悲しい恋の物語。二人の恋は実ったも のの…という悲劇である。 音楽的には、第2幕の「凱旋行進曲」(主人公が司令官を務めるエジプトの勝利の凱歌)が有名。この 曲は某テレビ局のサッカー中継のテーマとして定着しているのだが、その由来は、当時イタリアのセリ エAの強豪、パルマに中田英寿が在籍していたことと関係がある。作曲者ヴェルディはパルマ出身の英 雄のため、パルマのチームの応援歌にこの曲が使われていた。それを気に入った中田が自身のHPで紹 介したのを受けて、某テレビ局がテーマ曲として採用したという。よって、中田は既に引退したが、サ ッカー自体と全く関係がない訳ではないのである。 ちなみに、アイーダという作品は、ヴェルディがスエズ運河の開通の記念に作曲を依頼されたとされて いるが、現在では、これは偽説であることが判明している。 初心者の方でも充分楽しめる作品。 |
|
「カルメン」も「椿姫」同様にオペラの入門用としてはトップに挙げられる作品の一つである。何より 「第1幕への前奏曲」は「カルメン」の代名詞ともなっている曲で、この曲の曲名を「カルメン」と思 っている方もいるのではないだろうか。テレビでよく聴く、あの威勢のいい曲である。 「カルメン」はその曲があまりに有名なので、全曲盤だけでなく、組曲、あるいは抜粋盤としてCD化 されているものもある。全曲を聴くのが大変な方は、まずは曲数の少ないそちらの方からお買い求めに なるのもいいと思う。 |
|
プッチーニの音楽はメロディーが美しいことで知られている。一応中級者用としたが、この「蝶々夫人」 と「ラ・ボエーム」、「トスカ」、「トゥーランドット」の代表作4作を紹介することにしよう。 「蝶々夫人」の花は、第1幕、それも蝶々さんの登場から幕切れまでにある。御覧になる時は是非その 点を覚えておいて頂ければと思う。 「蝶々夫人」は名前のイメージの通り、和風の旋律がちりばめられている。その意味では、日本の劇団 ととても相性がいいので、本場の劇団にこだわらずに積極的に足を運んでいただきたい作品である。 ☆推薦盤☆ ・カラヤン/ウィーンフィル(74)(デッカ) SS |
「ラ・ボエーム」は、パリの屋根裏部屋に、詩人、画家、音楽家、哲学家の4人の貧しい若者が共同生 活している物語である。彼らの友情に哀しい恋がからみ、最後は少女ミミの死によって悲劇的に幕を閉 じる。全体は4幕からなるが、ここに交響曲のアレグロ、スケルツォ、アダージョ、アレグロという曲 のテンポの違いを適用し、短く簡潔に書かれ、その中に情感溢れる音楽を充満させていくあたり、音楽 的な構成もよくできている。 ☆推薦盤☆ ・カラヤン/ベルリンフィル(72)(デッカ) SS |
この作品は、音楽というよりは、オペラとしての見せ場が多いことから、オペラ史の中でも重要な作品 として位置づけられている。原作の持つ複雑な背景や政治性をカットして、主役のトスカの悲恋にスポ ットを当て、メロドラマ風に分かりやすく仕立て直した作品である。 作品は簡単にいうと、画家カヴァラドッシと恋人で、有名な歌手である主役の女性トスカの物語である。 カヴァラドッシは脱獄した政治囚の逃亡を助けたために死刑宣告をされる。トスカは彼を救おうと、警 視総監スカルピアを殺すが、スカルピアの計略で彼は結局処刑されてしまい、トスカも彼の後を追って 自殺するという、悲惨な物語である。 ちなみに、20世紀最大のオペラ歌手とされているマリア・カラス(女性)はトスカを何度も演じたこ とで知られている。トスカ=カラスというイメージをいまだに拭えない本場のファンもいるらしい。 ☆推薦盤☆ ・サバータ/ミラノ・スカラ座管弦楽団(53)(EMI) SS |
プッチーニ最後のオペラで、未完に終わっている。プッチーニは第3幕の「リューの死」まで作曲して 亡くなり、残りはアルファーノが草稿に基づいて完成させた。 この作品の舞台は中国である。異国の王子カラフが冷酷非情なトゥーランドット姫に恋をすると、姫は 3つの謎を解くようにと王子に告げる。王子は何とかして謎を解き、姫の冷酷な心も溶け、二人は結婚 するという物語。音楽には、中国的な旋律が盛り込まれている。 この作品が有名なのは、第3幕の「誰も寝てはならぬ」という歌が、数あるオペラのアリアの中でも屈 指といえるほどの有名曲だからである。この曲、CM等でよく耳にする曲というほどではないのだが、 何と荒川静香さんがトリノオリンピックで金メダルを取った時にBGMとして使った曲なのでありまし た。荒川さんのファンの方、あるいはフィギュアスケートのファンの方にはこの曲をご存知の方もいら っしゃるのでは。イナバウアーという名前はこの曲名から来ていると思った人も多かったとのこと。 |
|
「フィガロの結婚」はモーツァルトのオペラの入門用に最もふさわしいだけでなく、あらゆるオペラの 入門に最も適している作品の一つ。何より音楽やストーリー自体が明るく楽しく、まさにモーツァルト ならではの魅力が満載だからである。 「フィガロ」の序曲だけでも聴いたことがある方は、いかにもモーツァルティックな音楽だなと感じら れたのでは。聴いたことがない方は、下のMIDIでどうぞ。まさにモーツァルトの粋。 特にモーツァルトのファンの方でオペラを観たことのない方には、「フィガロ」を第一にお薦めしたい。 |
「魔笛」はモーツァルトの亡くなった年に書かれた。それだけでもファンはその音楽の内容が気になる が、それほど暗い物語ではなく、むしろチャーミングな、漫画チックな歌劇である。 この作品はあえて中級者向けにしておいたが、それはやはりモーツァルトのオペラといったら「フィガ ロ」から観てほしいからである。「フィガロ」を観た後には、他の初心者向けオペラ、例えば「椿姫」 や「カルメン」に進むのも良いし、この「魔笛」に進んでも良いと思う。 ☆推薦盤☆ ・ショルティ/ウィーンフィル(69)(デッカ) SS |
|
ウィンナーワルツやポルカで知られる、ヨハン・シュトラウスU世は、オペラ曲にも素晴らしい傑作を 残した。それが、この「こうもり」である。オペレッタの最高傑作の地位を不動のものにしているだけ でなく、あらゆるオペラ曲の中でも最高傑作の誉れが高い。 とはいえ、この作品はワーグナーの作品のように決して奥深かったり、長い訳ではなく、むしろ、最も 初心者向けの作品の最有力候補でもある。 その一番の理由は、劇としての愉快、痛快さにある。「こうもり」という作品名が一体何を意味してい るのか最後まで分からないというような「仕掛け」もあるし、登場人物のセリフもシャレが利いていて 面白い。とにかく、観ていて面白く、かつ、初心者の方にも非常に分かりやすい作品なのだ。 また、作曲者が作曲者だけに、ウィーン情緒溢れる、美しく流麗な音楽も大きな理由である。 なお、オペレッタとは「喜歌劇」のことで、オペラの中でも喜劇や、やや気軽に接することのできる作 品のことを指している。 この「こうもり」は、オペラの中でも屈指の作品ということで、ストーリーに大晦日が関わっているこ とにちなみ、ヨーロッパの主要な歌劇場では、大晦日に上演されるのが現在でも恒例となっている。 |
