シベリウスは北欧フィンランドの作曲家ですので、作品も北欧風です。ですが、同じ北欧のグ
リーグのように叙情的な作品を作った作曲家かどうかといいますと、全く作風が違います。ド
イツのブルックナーと同じく、孤高の作曲家でしたので、シベリウスの作品の中核をなす交響
曲はいずれも大変難しいです。内省的で、大衆受けを拒否する音楽ですので、作者シベリウス
が何を言いたいのかが分かりにくいのです。
初心者の方がシベリウスの交響曲を聴こうものなら、退屈で仕方なくなってしまうでしょう。
ブルックナー同様、特殊な作曲家なのです。上級者の方向けの作曲家です。
そんなシベリウスの交響曲に親しもうというのならば、演奏者も作品の真実をつかんだ人物を
選ぶ必要があります。ベルグルンドという指揮者で、シベリウスと同じフィンランドの指揮者
です。シベリウスの交響曲以外にめぼしい録音はないものの、シベリウスの指揮者としては第
一人者で、シベリウスの交響曲のCDのほとんどで、ベスト盤と評価されています。
特に内容的にも深い第5番などでは、相性の悪い指揮者の演奏など冗長で聴いていられないで
しょう。他には、バルビローリ、ネーメ・ヤルヴィ、ヴァンスカなども「シベリウス指揮者」
と言えます。
シベリウスの音楽の本質を聴くには、上級者と言えども難しいものがあります。よって、初め
てシベリウスの音楽に接する方は、ヴァイオリン協奏曲から入ることをお薦めしたいです。フ
ィンランディアはシベリウスの曲の中で最も聴きやすいものの1つですが、作曲意図が違いま
すので、シベリウス入門には向いていないと思うのです。ヴァイオリン協奏曲を聴き込んだら、
交響曲第2番、第3番あたりから聴くのがよいと思われます。内容的には第5番あたりが最も
深いと言われています。
☆代表作☆
<交響曲> 第2番 第3番 第4番 第5番 第6番
<協奏曲> ヴァイオリン協奏曲
<管弦楽曲> フィンランディア カレリア組曲
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