覚えておきたい作曲家達





  メンデルスゾーン  1809〜1847  MENDELSSOHN  A  ドイツ

メンデルスゾーンは38歳で亡くなったのですが、モーツァルトと似た天才肌の作曲家でした。  モーツァルトのような絶対音感や、一度見た楽譜、一度聴いた曲の記憶力に天才的な力を宿し  ていたと伝えられていまして、常人では考えられない才能の持ち主だったようです。  ある逸話があります。「真夏の夜の夢」の序曲の楽譜を引越しの際に紛失してしまい、記憶を  頼りに書き直しました。後に紛失したはずの楽譜が見つかったのですが、意図的に書き直した  部分以外は全く同じだったそうです。また、「真夏の世の夢」の中の曲で、有名な「結婚行進  曲」を作曲したのは17歳のときだといいますから、相当な才能があったと言われているのも  うなずけます。  メンデルスゾーンの作風は、「結婚行進曲」に見られるように、メルヘンチックな旋律が主体  でした。現在、頻繁に聴かれる曲の数はそれほど多くはありませんが、クラシック鑑賞には必  聴の「真夏の夜の夢」や、4大ヴァイオリン協奏曲の中で最もポピュラーともいえる、いわゆ  る「メンコン」という逸品があります。  ですが、実はメンデルスゾーンが音楽界に遺した功績と言いますと、むしろ指揮業の方が大き  いのかもしれません。  まずは、指揮棒を使って指揮をするという、「指揮者」という役割を独立させたこと、これは  今日にまで影響を与えています。実はメンデルスゾーンが指揮者の「元祖」なのです。  (バロック時代は杖で指揮をしていたそうです)  次に、特にバッハベートーヴェン、とりわけバッハというバロック時代の古い音楽を発掘し、  自ら演奏を行い、バッハやベートーヴェンの諸作品を広めたという功績もあります。  バッハに至っては、クラシック作品の最高傑作の1つとも言われているマタイ受難曲という偉  大なキリスト教作品の価値を広めたこと、また、友人であるシューマンが発見したと言われて  いる、シューベルト交響曲第9番「ザ・グレイト」の初演も行いました。  このように、作曲家としてだけでなく指揮者としてもクラシック音楽界に多大な功績を遺した  38年間でした。    ☆代表作☆  <交響曲>    第3番「スコットランド」 第4番「イタリア」  <協奏曲>    ヴァイオリン協奏曲  <管弦楽曲>   真夏の夜の夢(「結婚行進曲」など)

  ドヴォルザーク  1841〜1904  DVORAK  A  チェコ
 
ドヴォルザークはあらゆる作曲家の中でも有数の人気を誇り、今で言うチェコ(当時はボヘミ  ア)出身の作曲家です。よって、どちらかというと、西欧よりは民族的、土俗的な曲を作曲す  るのが作風です。  ドヴォルザークは後期ロマン派の作曲家で、当時のチャイコフスキー(ロシア)、グリーグ  (ノルウェー)らのように、スメタナと共にチェコの国民学派(クラシック音楽の主流であっ  た、ドイツ、オーストリア、イタリアなど以外の国で、国民的作曲家と呼ばれた作曲家のこと  です)の作曲家と言われています。  「スラヴ舞曲集」のご紹介のところでも触れていますが、ブラームスに触発されて作曲したこ  の作品によって、ドヴォルザークの名はヨーロッパ中に轟き、成功へのきっかけとなりました。  そしてアメリカに渡り、音楽教育に力を注ぐ傍ら、ネイティヴ・アメリカン(アメリカが母国  のアメリカ人です)の音楽や黒人霊歌などに影響を受けました。  最も有名な作品で、演奏回数も交響曲の中では屈指である、交響曲第9番「新世界より」も、  それらの影響を受けています。よって、都会的な、洗練されたイメージではないのですが、素  朴でどことなく懐かしさを感じさせるメロディーに惹かれるファンの方は多いです。  ドヴォルザークの作品の中では、第9番「新世界より」がとび抜けて有名ですので、ぜひ聴い  て頂きたいです。ほとんどの方は第4楽章の冒頭を聴いたことがあるのではないでしょうか。
ユーモレスク(パールマン演奏)
 ☆代表作☆  <交響曲>    第8番  第9番「新世界より」  <協奏曲>    チェロ協奏曲  <管弦楽曲>   スラヴ舞曲集  弦楽セレナーデ  <室内楽曲>   弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」  ユーモレスク

  マーラー  1860〜1911  MAHLER  B  オーストリア

マーラーは、本業は当時最高の指揮者でした。副業で作曲もしたのですが、20世紀後半のマ  ーラーブームによって、今では有数の作曲家として知られるようになりました。  指揮者としては、暴君もいいところで、楽員を震え上がらせるほどの存在だったそうです。  残念ながら録音が遺されてはいませんが(マーラーが弾いているとされるピアノ演奏の録音が  ありますが、疑わしいようです)、ワルタークレンペラーという、20世紀を代表する名指  揮者を育てています。とりわけワルターは、晩年のマーラーの唯一の友人とも言える存在でし  た。ワルターは師匠マーラーの演奏家として第一人者となり、現在ではバーンスタインと共に  マーラー指揮者として名高いですが、この3人に共通するのはユダヤ人の血をひいているとい  うことで、両指揮者、特にアメリカ生まれのバーンスタインが大変な共感を持ってマーラーの  作品を演奏できたことに関しては同じユダヤ系であるということがクラシック界の話題にもな  っています。  マーラーの作品はほぼ10の交響曲といくつかの歌曲だけと言えます。マーラーといえば交響  曲の作曲家として有名ですが、歌曲を伴っていまして、特に交響曲「大地の歌」は、交響曲な  のか歌曲なのか今一つ判然としない面はありますが、有名な名作です。  マーラーの作曲のコンセプトはただ一つ、「死への恐怖」です。マーラーは病的に死を恐れま  した。その反動として、現世の美しさに憧れぬきます。傑作の名が高い交響曲第9番など、死  の恐怖にのたうちまわるマーラーの姿があります。この作品はマーラーの作風が顕著に表現さ  れた代表的な作品です。  よって、多分にメランコリックな作品もあるのですが、どうしても陰鬱になりやすく、かなり  好みが分かれる作曲家でもあります。  ☆代表作☆  <交響曲> 第1番「巨人」 第2番「復活」 第4番 第5番 第9番 「大地の歌」  <声楽曲> さすらう若人の歌  子供の不思議な角笛  亡き子をしのぶ歌


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