バッハ 1685〜1750 BACH S ドイツ |
バッハは、「音楽の父」と呼ばれ、今日の音楽にでさえ影響を与え続けています。
バッハがいなければ、今日の音楽はないとも言われています。それほど、音楽の形式というも
のを確立させた人物です。それだけでも大人物ですが、クラシック作曲家屈指のメロディーメ
イカーでもあります。音楽という枠を通り越して、歴史上の偉人の一人と言えます。
音楽史的には「バロック」、あるいは「古楽」と呼ばれる時代の大作曲家です。
バロックという時代は、モーツァルトらのいた時代と明確に区別されていますので、CDショ
ップでも陳列が別になっていることが多く、バッハのCDはそちらにあることも多いです。
バッハは主に宗教的色合いの濃い名作を残しました。当時は教会で音楽を奏でることが多かっ
たのが一因ですが、「トッカータとフーガ」は誰もが一度は音楽の教科書で見たことがある、
あるいは授業で聴いたことがあるはずの代表作です。
バロック時代の有名な作品には、他にヴィヴァルディの「四季」、パッヘルベルの「カノン」
などがありますが、バッハほど有名曲の多い作曲家はいません。
バッハと言いますと、どうしてもオルガン曲のイメージがありまして(音楽の教科書が原因で
しょうか)、オルガン曲、例えば「トッカータとフーガ」などを聴きますと、いかにも形式的
な音楽ばかりのようなイメージをお持ちになるかもしれませんが、実は大変多様なジャンルに
おいて魅力的な作品を数多く残しています。また、一番の大作であるマタイ受難曲は、イエス
・キリストを描いた長大な声楽曲で、あらゆるクラシック作品の中でも最高傑作の一つとされ
ています。
バッハに馴染みの薄い初心者の方は、是非とも下にご紹介している管弦楽曲、室内楽曲、鍵盤
楽曲の小品から触れて頂ければと思います。
☆代表作☆
<協奏曲> ヴァイオリン協奏曲集 チェンバロ協奏曲集
<管弦楽曲> 管弦楽組曲(「G線上のアリアなど」) ブランデンブルク協奏曲
<室内楽曲> 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ 無伴奏チェロ組曲
フルート・ソナタ集
<鍵盤楽曲> オルガン作品集(「トッカータとフーガ」など) イギリス組曲
フランス組曲 パルティータ全曲 平均律クラヴィーア曲集
ゴルトベルク変奏曲 音楽の捧げ物
<声楽曲> カンタータ集 ミサ曲 マタイ受難曲 ヨハネ受難曲
クリスマス・オラトリオ
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モーツァルト 1756〜1791 MOZART S オーストリア |
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトは紛れもなく歴史上における天才音楽家でありま
す。作曲を始めたのは5歳の時。交響曲、協奏曲、管弦楽曲、室内楽曲、器楽曲、声楽曲、オ
ペラ曲と、ほぼすべてのジャンルに名曲を残しました。通常、作曲家は鍵盤楽器などで曲を構
成していくのですが、モーツァルトは鍵盤を用いず、すべて頭の中の音符を書き記していきま
した。そして、30代半ばで神に召されました。
現在でも死に関しては謎が多いです(詳しくは、「レクイエム」の紹介をお読み下さい)。
モーツァルトの音楽の特徴は、旋律が天国的な明るさと美しさを持っている点にあります。そ
れゆえ、常にあらゆる作曲家の中でも人気NO.1の最有力候補に挙げられる作曲家です。
ですが、現実のモーツァルトは、最晩年などは病気と貧困にあえいでいました。そんな境遇に
ありながらも天国的な美しさをもつ旋律を作り出す、そこにモーツァルトの芸術の最大の秘密
があります。
「音楽は、いつでも楽しくなければいけない」
それが、モーツァルトの音楽観でした。
ただ音楽の表面が明るいだけが、モーツァルトの芸術の本質ではありません。人間は誰しも悲
しく、人生はつらいものです。それを十分承知しながらも、せめて音楽は楽しく聴きましょう、
表面は明るく振舞っていましょうというのがモーツァルトの芸術の本質なのです。
とは言え、病気と貧困の状態であった頃の作品には、時々暗い心境が垣間見える部分もあって
興味深いのです。
なお、モーツァルトの音楽が胎教に良いことはよく知られていまして、それを題したCDも発
売されていますが、21世紀になって、何と「医学的」に、病気治癒の効果があることまで研
究されています。みな特有の音階で作られているというのが主な理由らしいのですが…まさに
天才作曲家にしか成し得ない神業なのでしょう。
また、モーツァルトの作品には、旋律を覚えやすい小品がたくさんありますので、クラシック
初心者の方にも向いていますし、安らぎを求めて聴く、いわゆる「ヒーリング音楽」としても
適しています。
天才の音楽は永遠に不滅なのであります。
☆代表作☆
<交響曲> 第25番 第38番「プラハ」 第40番 第41番「ジュピター」
<協奏曲> ピアノ協奏曲第20番 ピアノ協奏曲第27番
<管弦楽曲> アイネ・クライネ・ナハトムジーク 3つのディヴェルティメント
<ピアノ曲> ピアノ・ソナタ第11番「トルコ行進曲つき」
<声楽曲> レクイエム 戴冠ミサ曲
<オペラ曲> フィガロの結婚 魔笛 ドン・ジョバンニ
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ベートーヴェン 1770〜1827 BEETHOVEN S ドイツ |
「天才」モーツァルトに対して、ベートーヴェンには「楽聖」という称号がよく使われます。
クラシックを代表する2大作曲家ですが、音楽に哲学性、思想性を盛り込み、芸術性を高めた
という意味では、ベートーヴェンは世界史史上、最も偉大な音楽家の1人です。
ベートーヴェン以降、概ね20世紀までの音楽を「ロマン主義」と呼びます。
耳が不自由だった、というのは学校でも習うことなのですが、有名な「第九」を作曲した頃に
は、もう筆談でしか会話ができない状態でした。「第九」の初演の指揮をしたのは作曲者であ
るベートーヴェン自身なのですが、耳が不自由で、演奏が終わったのに気付かなかったという
エピソードは有名です。そんなハンデを背負いつつも、おびただしいほどの名曲を作曲したの
ですから、ベートーヴェンはむしろ、作曲家という枠を超えた、世界の偉人の1人とも言える
のではないでしょうか。「耳」ではなく、「想像」の中の楽譜で音楽を作り上げていきました。
ベートーヴェンの作風は、9つの交響曲によく表されています。様々なジャンルの名曲を作っ
たのは確かですが、交響曲の中でもとりわけ有名な第3番「英雄」、第5番「運命」、第9番
「合唱」は、いずれもあらゆる交響曲の中でも一際光る大傑作でして、ベートーヴェンの作風
を知るには、まずこれらの交響曲から聴くのがいい方法なのではないでしょうか。
あるいは、ピアノ・ソナタの中でも代表的作品で、「3大ピアノ・ソナタ」と呼ばれる「悲愴」
月光」「熱情」の3つのピアノ曲から触れるのも良いのではないでしょうか。
モーツァルトの音楽が女性的な優しさを持っているのとは対照的に、ベートーヴェンの音楽は
男性的な力強さなどを持っていると言えば解りやすいかもしれません。
エリーゼのために
☆代表作☆
<交響曲> 第3番「英雄」 第5番「運命」 第6番「田園」 第9番「合唱」
<協奏曲> ヴァイオリン協奏曲 ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
<ピアノ曲> エリーゼのために ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」
ピアノ・ソナタ第14番「月光」 ピアノ・ソナタ第23番「熱情」
ピアノ・ソナタ第17番「テンペスト」
ピアノ・ソナタ第21番「ワルトシュタイン」
ピアノ・ソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」
<管弦楽曲> ヴァイオリン・ソナタ第5番「春」 弦楽四重奏曲第14番
ピアノ三重奏曲第7番「大公」 チェロ・ソナタ
<声楽曲> ミサ・ソレムニス
<オペラ曲> フィデリオ
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シューベルト 1797〜1828 SCHUBERT A オーストリア |
音楽室に肖像画が飾ってあった、眼鏡をかけた作曲家、といえば、誰もがシューベルトと答え
るでしょう。それくらい有名なのですが、「シューベルト作曲の曲は?」と問われると、ほと
んどの方は答えに苦しむのではないでしょうか。それは、シューベルトの主な作品といったら
歌曲で、テレビなどで耳にする機会がほとんどないからだと思われます。歌曲には珠玉の作品
が多く残されています。
クラシックに馴染みのない方でも、交響曲「未完成」をご存知の方は多いかもしれません。
というのは、レコードの時代には、「未完成」は交響曲の中でもかなりポピュラーだったそう
です。ですが、この交響曲がシューベルトの作品ということまでご存知かとなると、かなり厳
しいかもしれません。
もちろん、今なおシューベルトの代表作品であることは事実なのですが、有名な割には、特に
第1楽章が暗く、あまり初心者の方のクラシック入門に向いているとは言えない面があります。
どちらかと言いますと、大曲というよりは小曲向けの作曲家なのでしょう。
シューベルトの作風はモーツァルトに近く、旋律の美しさが魅力です。モーツァルトほどの天
国的な明るさ、美しさはありませんが、ウィーン情緒にあふれた、ムードのある作品が多く残
されています。
野薔薇
☆代表作☆
<交響曲> 第8番「未完成」 第9番「ザ・グレイト」
<管弦楽曲> 軍隊行進曲
<室内楽曲> ピアノ五重奏曲「ます」
<ピアノ曲> 即興曲集 ピアノ・ソナタ第21番
<声楽曲> 歌曲集「美しき水車小屋の娘」 歌曲集「冬の旅」 歌曲集「白鳥の歌」
野薔薇
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ショパン 1810〜1849 CHOPIN S ポーランド |
「ショパン」といえばピアノ曲です。他のジャンルの作品もありますが、まあ100%ピアノ
曲と思って頂いてもいいです。女性でピアノを習ったことのある方はきっと多いと思われます
が、おそらくほぼ全員の方がショパンの作品を一度は弾いているのではないでしょうか。その
意味では、ヴァイオリンなどの弦楽器や、フルートなどの管楽器を習ったことがある人よりは、
ピアノを習ったことがある女性の方が圧倒的に多いと思われますので、日本の国民に最も演奏
されている作曲家ということにもなります。
ショパンは「ピアノの詩人」と呼ばれました。ピアノという一つの楽器に絞り、鍵盤だけであ
らゆることを表現しえた天才的な作曲家です。とにかく他の作曲家に比べて旋律が美しく、覚
えやすい小品もたくさんあるため、非常に親しみやすいです。よって最も人気のある作曲家の
1人であると共に、クラシック作曲家屈指のメロディーメイカーでもあります。
ピアノ曲は短いですし、ピアノの音だけを聴いていればよいわけですから、初心者の方はまず
ショパンの有名なピアノ曲からクラシック音楽に親しむというのも良い方法なのではないでし
ょうか。その場合は、「ショパン ピアノ名曲集」のようなCDから聴き始めるのが良いので
はないかと思われます。
☆代表作☆
<協奏曲> ピアノ協奏曲第1番 第2番
<ピアノ曲> 練習曲集(「別れの曲」など) ワルツ集(「子犬のワルツ」など)
ポロネーズ集(「英雄ポロネーズ」など) 夜想曲集(「第2番」など)
即興曲集(「幻想即興曲」など) 前奏曲集(「雨だれのプレリュード」など)
バラード スケルツォ
お安めで名曲揃いのCDを選びました。ここからいかがでしょうか。
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ブラームス 1833〜1897 BRAHMS A ドイツ |
ドイツの「3大B」という言葉がありまして、バッハ、ベートーヴェン、そしてこのブラーム
スのことを指します。同じロマン派の作曲家の大先輩として、ブラームス自身もベートーヴェ
ンを敬愛していましたし、またベートーヴェンの後継者とも呼ばれていました。
ブラームスの交響曲第1番はベートーヴェンの第10番交響曲とも称されているのは有名な話
です(第4楽章に「第九」をモチーフにした部分がありましてよく分かります)。
ブラームスの作風の特徴は「渋さ」でしょうか。自身の言葉に「私の音楽を聴く時はハンカチ
を用意してほしい」というものがありますが、モーツァルトとは大変な違いです。
ブラームスの性格自体、クラシック作曲家でも屈指のネクラに入るのですが、その何とも言え
ない哀愁とロマンティシズムに満ちた旋律の魅力には抗し難いものがあります。また、オーケ
ストラが非常にぶ厚く、重厚感があります。
憂鬱な気分の時にブラームスの音楽を聴けば尚更憂鬱になってしまいかねませんが、芸術的に
は非常に価値が高く、共感する方も非常に多いのは確かです。
その反面、若い方向けではないかもしれません。ブラームスの芸術が少しでも解る頃になれば、
クラシック鑑賞もいよいよ本格的になると言ったところでしょうか。
また、ブラームスは自分が相当納得しないと、その作品は破棄する癖があったのですが、近年
の研究によりますと、実は声楽曲の作曲家としてはクラシック作曲家の中でも筆頭格なのでは
ないかという意見もあるようです。現在では「ドイツ・レクイエム」が有名なくらいなのです
が、いずれ、百を超える声楽曲の作品が公になる可能性もあるそうです。
☆代表作☆
<交響曲> 第1番 第2番 第3番 第4番
<協奏曲> ヴァイオリン協奏曲
<管弦楽曲> ハンガリー舞曲集
<室内楽曲> ヴァイオリンソナタ第1番〜第3番 弦楽六重奏曲
<声楽曲> ドイツ・レクイエム
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チャイコフスキー 1840〜1893 TCHAIKOVSKY A ロシア |
チャイコフスキーはロシアが生んだ最大の作曲家です。クラシック音楽と言いますと、一般に
西洋と旧ソ連を含む地域を指しまして、、アジアなどの音楽は「民族音楽」と称されます。
ロシア生まれのクラシック音楽家は非常に多いです。ロシア人は名前に特徴があるので覚えや
すいのですが、同じ作曲家ではラフマニノフ、ショスタコーヴィチ、ストラヴィンスキーなど
がいまして、演奏家としては、代表として指揮者のムラヴィンスキー、ヴァイオリニストのハ
イフェッツ、オイストラフ、ピアニストのリヒテルという、颯爽たる面々です。
チャイコフスキーの作品は、ショスタコーヴィチなどと比べれば世界中に広まり、西洋で人気
を博しました。作風がロシア風というよりも西洋風なのでしょう。
また、「バレエ曲」という、他の作曲家にはあまりないジャンルを確立したという意味でも偉
大な作曲家です。「白鳥の湖」という題名ならば誰もが聴いたことはあるでしょう。
「くるみ割り人形」は、ヨーロッパ各地では年末に演奏される定番曲ともなっています。
チャイコフスキーの作品は何と言っても甘美な旋律が魅力です。どことなくメランコリックで、
哀愁を帯びた甘美な旋律に魅かれるファンは多いです。曲数も多いですので、クラシック作曲
家屈指のメロディーメイカーです。
なお、チャイコフスキーといえば、どうしても「病的な作曲家」というイメージが払拭できま
せん。現在でも、研究が進むほど病的な内面があらわにされています。
代表作である交響曲第6番「悲愴」は、チャイコフスキー自身が最高傑作と自負していますが、
暗く、絶望のうちに幕を閉じます。
初演の数日後に亡くなったため、一時期は自殺説もありましたが、現在では病死説が定説とな
っています。
☆代表作☆
<交響曲> 第4番 第5番 第6番「悲愴」
<協奏曲> ヴァイオリン協奏曲 ピアノ協奏曲第1番
<管弦楽曲> 弦楽セレナーデ
<バレエ曲> 白鳥の湖 くるみ割り人形 眠りの森の美女
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