☆サティ |
作品NO.176 ジムノペディ〜ピアノ名曲集〜 ★★★ 2017年2月最新更新 |
サティは19世紀後半から20世紀前半にかけてフランスで活躍したピアニスト兼作曲家で、20世紀
初期のフランス音楽、更には第二次大戦後の現代音楽界にも大きな影響を与えた作曲家ですが、異端な
作曲家として知られています。
まずは下のリンクから、代表作である、3曲からなる「ジムノペディ」の1番をどうぞ。
この曲はテレビでも使われる曲なので、どこかで聴いた覚えのある方もいらっしゃるのでは。単純な構
成ながら、ちょっとオシャレな、オトナのムードが漂う名曲として親しまれています。
「バーで流れていそうなクラシックのピアノ曲」の最有力候補(私が勝手に決めました)でしょう。
「ジムノペディ」という言葉は、古代ギリシャで行われていた祭典からの造語です。
この曲がサティの代名詞でもあるのですが、実はサティという作曲家の本質はもっとはるかに異端で、
反ロマン主義を貫き、時には過激に他の作曲家を皮肉った曲を作った人物なのです。「ジムノペディ」
も曲としては大変魅力的ですが、極めて遅い三拍子の形式には、反ロマン主義への反逆がこめられてい
るそうです。
他に例として2つの曲集をご紹介します。
「梨の形をした3つの小曲」は、ドビュッシーが伝統主義に傾倒し、サティに対して「形式を無視しす
ぎている」と批判したことに対して、相当怒りながら作曲したと言われています。「梨」には「アホ」
という意味があり、いかにも形式に準じたリズムと陳腐な旋律が、「型にはめるとこうなるぞ」という
ドビュッシーに対する皮肉なのだそうです。
「干からびた胎児」は曲名からして凄いです。ここでのサティの反権威主義は、形式を重んじたクラシ
ック音楽そのものを批判しています。1曲目は演奏者と聴衆をおちょくり、2曲目はショパンとシュー
ベルトをおちょくり、3曲目は伝統的な音楽形式をおちょくっているそうです。
この2つの曲集を理解するには、「形式」に対する音楽知識が必要なのかもしれません。正直私もそこ
までは詳しくないですので、完全に作曲意図をつかむまでには至っていませんが、これらを聴くために
は作曲意図を知っていないと、「あえて」つまらない曲として作曲しているだけに、本当につまらない
だけの音楽になってしまいます。
サティのブラックユーモアが解れば、随分と笑える部分もあるのだそうです。詳しくお知りになりたい
方は、他のサイトをあたって見て下さい。
ジムノペディ1番
☆推薦盤☆
★◎チッコリーニ&タッキーノ/(83〜86)(ワーナー) SS お薦め!
○ティボーデ/(2001、2002)(デッカ) A
▲ロジェ/(83)(デッカ) A
△高橋アキ/(2013)(カメラータ) VOL.1 A
△高橋アキ/(2013)(カメラータ) VOL.2 A
△高橋アキ/(2013)(カメラータ) VOL.3 A
サティといえばチッコリーニ、チッコリーニといえばサティと以前から言われていまして、や
はりSS評価です。音質も問題なく、曲数も充分、お値段も手ごろとなれば、★の文句なしの
お薦め盤です。
ティボーデによる録音も捨てがたいです。お安いですので、サティにハマってしまった方はど
うぞ。
他に、従来から定評あるロジェ盤を高橋アキ盤を挙げておきました。高橋アキは日本のサティ
弾きの第一人者です。3枚に分かれていまして、1枚がお高いですが、サティのファンの方は
ぜひどうぞ。
<更新のポイント> 高橋アキ盤を追加し、高橋悠治盤を外しました。
また、チッコリーニ盤のお薦め度を★にしました。
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☆シューベルト |
作品NO.182 即興曲集 ★★★ 2017年2月最新更新 |
シューベルトは「未完成」のような有名な交響曲も作曲しましたが、どちらかと言いますと、大曲向き
の作曲家というよりは小品向けの作曲家です。最も得意としたジャンルは歌曲で、詳しくは声楽曲の項
でご紹介していますが、その次に得意としたのがピアノ曲です。シューベルトのピアノ曲で有名なのは、
多くのピアノ・ソナタと、ここでご紹介する「即興曲」といわれる作品集です。「即興曲集」は4つの
曲からなる作品90と作品142の2つの即興曲から構成されていて、作品数は計8曲ということにな
ります。
中でも、作品90の第2番はアンコールでもよく弾かれますし、作品142の第2番も有名です。
なお、「即興曲」というのは、即興的に浮かんだ楽想をもとに作られた作品のことを指します。音楽史
上、最初の「即興曲」であるのがこのシューベルトの即興曲集で、ショパンも作曲しています。
作品90 第2番(ツィメルマン演奏)
☆推薦盤☆
H★◎ピリス/(96、97)(グラモフォン) SS
○ツィメルマン/(90)(グラモフォン) A
▲ルプー/(82)(デッカ) A
・リュビモフ/(09)(ジグ=ザグ・テリトワール) A
「現在はピリス盤が断然の評価という状況。この作品集の「定盤」としての地位を確立するこ
とになれば、録音もよいので、SS評価と「絶対の1枚」★にします。」
と書いたのが6年前でしたが、不動の1枚となりましたので、その通りにしました。
2番手にはツィメルマン盤を挙げました。未確認ですが、おそらくSHM−CDであると思わ
れます。だいぶお安くなりました。
3番手のルプー盤ですが、ピリス盤、ツィメルマン盤が出る前はこの作品の代表盤だっただけ
に、この作品のファンの方は一聴の価値はあります。
リュビモフ盤はこの度の更新で追加しました。古楽器のフォルテピアノによる演奏ですが、ど
うも廃盤中のようです。
<更新のポイント> ピリス盤のお薦め度を★にし、リュビオフ盤を追加しました。
作品NO.237 ピアノ・ソナタ第21番 ★★★ 2021年3月最新更新 |
この「ピアノ・ソナタ第21番」は、シューベルトの最晩年、ピアノ・ソナタとしては最後に作曲され
ました。
とは言いましても、シューベルトは31歳で早逝しましたので、若さと老成が同居している希有な例と
言われています。
シューベルトの作品の中では、大曲に属する方で、21のピアノ・ソナタの中で最高傑作とも評されて
いまして、叙情性と、寂寥感が入り混じった作品です。
その点を念頭において聴いて頂けば、より理解が深まるでしょう。
全楽章(ブレンデル演奏)
☆推薦盤☆
・リヒテル/(72)(メロディア) SS
○ポリーニ/(87)(グラモフォン) A
・シフ/(14)(ECM) A輸
◎ピリス/(11)(グラモフォン) A
・ブレンデル(08)(フィリップス) A輸
SS評価のリヒテル盤は残念ながら廃盤中で、音源の確認もとれておりません。
ポリーニ盤は2枚組で、ややお高いのですが、「第21番」以外の作品もお聴きになりたい方
には◎でお薦めです。
そこで、◎は1枚でお安いピリス盤にしました。シューベルトはお得意のピリスだけに、相性
も良いと思われます。
シフ盤は、古楽器(フォルテピアノ)演奏ですので、その方がお好きな方にはお薦めしたいの
ですが、音源の確証がありません。
ブレンデル盤も、おそらく間違いないと思われるのですが、100%音源が同じかの確証があ
りません。
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☆シューマン |
作品NO.188 子供の情景 ★★ 2017年2月最新更新 |
「子供の情景」はドビュッシーの「子供の領分」と間違えそうですが、13曲によって構成されていま
す。シューマンは後に子供の学習用のピアノ曲を作曲していますが、本人によると、この「子供の情景」
はそれらとは違って、「子供心を描いた、大人のための作品」だそうです。
第7曲目の「トロイメライ」は、非常に有名なピアノ曲で、「ピアノ曲集」のようなオムニバス盤の常
連といってもよく、単品として扱われることが多いです。
トロイメライ(何とホロヴィッツ演奏!)
☆推薦盤☆
B2◎ホロヴィッツ/(62)(SONY) SS お薦め!
H○アルゲリッチ/(83)(グラモフォン) A
ホロヴィッツ盤が伝説的名盤として有名です。20世紀を代表する大ピアニスト、ホロヴィ
ッツの代表盤の1つです。62年録音ですのでホロヴィッツにしては音がいいですし、シュ
ーマンの他のピアノ曲「クライスレリアーナ(8曲 A評価)」「アラベスク」もカップリ
ングされているのは大きいです。録音年代を気にしないのならば真っ先にこれがお薦めです。
アルゲリッチ盤は「子供の情景」ではホロヴィッツに譲っていますが、同じくカップリング
の「クライスレリアーナ」ではダントツのSS評価ですので、非常にお得なCDです。
CDは以上2枚あれば十分かと思われます。
<更新のポイント> ホロヴィッツ盤をSS評価にしました。
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