古楽器について
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 *「名演奏家列伝」「名作曲家列伝」のコーナーでご紹介している演奏家や作曲家は  
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T.古楽器とは    U.主な古楽器演奏者達

T.古楽器とは  1970年代、クラシックの演奏史において、最も大きな変革期といってもよい変化が起   こりました。「古楽器演奏」の始まりです。                       「古楽器」とは何なのか、ご説明していきましょう。                   バッハヴィヴァルディヘンデルなどが活躍したバロック時代や、モーツァルトハイ   ドンなどが活躍した古典派の時代では、今日一般の楽器店で売っている弦楽器や管楽器と   は違う、「古楽器(こがっき、ピリオド楽器、オリジナル楽器)」と呼ばれる楽器で演奏   されていました。それに対して、今日、楽器店で売られている楽器は「現代楽器」「モダ   ン楽器」などと呼ばれています。                            古楽器は、現代楽器と比べると、やや音が低く(周波数を低く設定してあります)、あま   りヴィブラートがかかりませんし、総じてテンポが速くなる傾向にありますので、演奏を   耳にすれば、どちらの演奏かは判ります。                        学問的な意味で、当時の作品を演奏するには当時の楽器を使って、という「復古的演奏」   という目的で、古楽器演奏を行なう演奏家達が登場しました。               主にバロック時代の作品を演奏していたのですが、ベートーヴェンらのロマン派に比べる   と楽譜が簡単に書いてあり、かなり即興性が活かされているため、演奏者によっては、非   常に斬新な、あるいは奇抜な演奏も可能となりました。そんなわけで、元々の「復古的演   奏」という枠に縛られず、古楽器演奏の方が、現代楽器の演奏よりも、かえって自由奔放   な演奏を行なうようになったのです。そして、1980年代、90年代になると、自由奔   放な演奏を行うのは当たり前、そして演奏する作品も、古典派はもちろん、何とベートー   ヴェンらのロマン派まで及ぶようになってきました。ベートーヴェンの時代には現代楽器   が使われていましたから、「復古的演奏」という名目を通り越しているのですが、それだ   け「古楽器演奏」が幅を利かせるようになり、また、名演も多く生まれることとなったわ   けです。                                       以上が「古楽器演奏のブーム」と呼ばれます。                      21世紀の現在では、更に古楽器演奏が盛んになってきました。以前と違い、奇をてらっ   た面は薄れ、現代楽器よりもむしろスケールが大きかったり、重厚な演奏が増えてきまし   た。バロック時代の作品では、名盤の上位がほとんど古楽器演奏ばかりで、新しい録音も   古楽器演奏ばかりというのも当然のようになりましたし、古典派の時代の作品の名盤、そ   れがたとえモーツァルトの交響曲でさえも、古楽器演奏のCDがベスト盤争いの常連とい   う時代となっているのが事実です。それが「時代の流れ」ということでしょう。       また、現代楽器による演奏の代表格であるアバドアーノンクールなどの演奏が、あまり   ヴィブラートをかけず、やや早めのテンポで演奏する、いわゆる「ピリオド・アプローチ」  となっているのは、「古楽器演奏」の影響を受けていることの証拠でもあります。今後は   ピリオド・アプローチによる演奏が更に増えていくかもしれません。            なお、古楽器演奏をする指揮者は決まっています。例えば、小澤征爾バレンボイムなど   は古楽器演奏はしません。アーノンク−ルは、楽団によって、古楽器演奏をするか、しな   いかに分かれます。ですので、CDを購入なさる場合は指揮者よりも楽団に充分ご注意下   さい。以下、主な古楽器をご紹介しますが、鑑賞においては特に知識は必要ありません。 


  <主な古楽器一覧>

   ・弦楽器     バロック・ハープ(トリプル・ハープ)、 ルネサンス・ハープ、 ゴシック・ハープ
           ヴィオール属、 ヴィオラ・ダ・ガンバ、 ヴィオラ・ダモーレ、 ヴィオラ・ポンポーサ(チェロ・ピッコロ)
           ヴィオローネ、 バロック・ヴァイオリンなどヴァイオリン属の古楽器、 バリトン、 レベック
           プサルテリウム(プサルテリー)、 ハーディ・ガーディ、 シターン、 リュート
           テオルボ・キタローネ、 ビウエラ、 オルファリオン

   ・管楽器    リコーダー、 フラウト、 トラヴェルソ、 ショーム、バロック・オーボエ、オーボエ・ダモーレ
           オーボエ・ダ・カッチャ、シャリュモー、バセットホルン、ナチュラル・トランペット
           スライド・トランペット、ナチュラル・ホルン、コルノ・ダ・カッチャ、クルムホルン
           コルネット(ツィンク)、サックバット(サグバット)、セルパン、オフィクレイド、ポンマー(ポマー)(英語版)  

   ・鍵盤楽器   チェンバロ、ヴァージナル、スピネット、クラヴィコード、タンゲンテンフリューゲル(英語版)
           フォルテピアノ、ポルタティフ・オルガン(en:Portative organ)、パイプオルガン
 


                 

                                       参考:Wikipedia






U.主な古楽器演奏者達

  ここでは、古楽器演奏で有名な演奏家と楽団をご紹介します。指揮者として挙げた演奏家 
  もチェンバロなどの楽器演奏家である場合がほとんどですが、便宜的に区分けしましたの 
  でご了承下さい。                                 
  また、楽団名の後の()内は、その楽団を設立、指揮をしている演奏者です。ここに挙げ 
  た楽団はすべて古楽器演奏ですので、CDを購入なさる際にご参考になさって下さい。  

  

   ・指揮者   ・レオンハルト  ・アーノンクール  ・ブリュッヘン  ・ノリントン ・ジンマン  
          ・ホグウッド  ・ガーディナー  ・コープマン  ・インマゼール  ・ピノック
          ・ミンコフスキ  ・鈴木雅明

                
                

  ・レオンハルト(1928〜2012) オランダ
   ここに挙げた古楽器指揮者の中では第一人者的存在です。元々はチェンバロ奏者で、
   特にバッハの演奏においてはかなり高い評価を受けています。          
   「弾き振り」のスタイルで、特定の楽団の指揮者というわけではありませんでした。

  ・アーノンクール(1929〜2016) オーストリア
   現代楽器の指揮者としても、ウィーン・フィルとの共演などが多く、21世紀まで 
   活躍した指揮者の中で長老的存在でした。                   
   「ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス」という楽団を率いたときは古楽器演奏 
   をしました。とりわけ、同楽団との77年録音のヴィヴァルディの「四季」では斬 
   新、というよりも、むしろ奇抜な表現を試み、古楽器演奏の自由奔放さとは何かを 
   初めに世間に知らしめました。現代楽器での演奏でも「ピリオド・アプローチ」を 
   行う傾向にありました。                           
   古楽器演奏と、現代楽器の演奏の二刀流の代表的な指揮者でした。        

  ・ブリュッヘン(1934〜2014) オランダ
   元々はブロックフレーテ(昔の縦笛フルート)奏者ですが、「18世紀オーケスト 
   ラ」という古楽器集団を率いて演奏旅行をし、レコーディングをしました。    
   バロック音楽は対象とせず、ハイドンモーツァルトベートーヴェンの交響曲を 
   中心に演奏しましたが、いずれも同曲ベストワン級の評価を得ているあたり、古楽 
   器演奏最高の成功者の1人です。                       
   日本では、古楽器ではないオーケストラとの公演もありました。         

  ・ノリントン(1934〜) イギリス
   「ロンドン・クラシカル・プレイヤーズ」を率いて、ベートーヴェンなどの古楽器 
   演奏に取り組んだ時は脚光を浴びましたが、晩年は、ジンマンらと同様に、現代楽 
   器のオーケストラ専門の指揮者になりました。                 

  ・ジンマン(1936〜) アメリカ
   「チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団」との古楽器演奏によるベートーヴェンの交 
   響曲全集が高評価されましたが、それに続きませんでした。その後は現代楽器のオ 
   ケを指揮するようになりました。                       

  ・ホグウッド(1941〜2014) イギリス
   「エンシェント室内管弦楽団」を率いて、バロック時代はもちろん、幅広いレパー 
   トリーで古楽器演奏を行なってきました。                   

  ・ガーディナー(1943〜) イギリス
   古楽器演奏を代表する一人です。「イギリス・バロック・ソロイスツ(イギリス・ 
   バロック管弦楽団)」では主にバロック音楽を、「オルケストル・レヴォルショネ 
   ール・エ・ロマンティーク」ではバロック音楽以外を演奏、録音していまして、名 
   盤を数多く輩出しています。現代楽器のオケも指揮する二刀流です。       

  ・コープマン(1944〜) オランダ
   「アムステルダム・バロック管弦楽団」を率いてひたすらバロック時代やモーツァ 
   ルトの演奏、録音に専念し、名盤も輩出しています。チェンバロ奏者でもあります。

  ・インマゼール(1945〜) ベルギー
   「アニマ・エテルナ」とのシューベルトの交響曲演奏は高い評価を得ています。   
   ブリュッヘン同様、交響曲でも力強い演奏をするのに成功した古楽器演奏の指揮者 
   です。                                   

  ・ピノック(1946〜) イギリス
   「イングリッシュ・コンサート」という古楽器演奏の楽団を率いて、バロック時代 
   や古典派の演奏を行ないました。                       
   2003年に引退し、現在は一線を退いています。               

  ・ミンコフスキ(1962〜) フランス
   当初はバロック・ファゴット奏者でしたが、「グルノーブル・ルーヴル宮音楽隊」
   を結成し、バロック音楽を中心に、古典派、ロマン派の演奏を行っています。  
   2018年に「オーケストラ・アンサンブル金沢」の芸術監督に就任しました。 

  ・鈴木雅明(1954〜) 日本
   チェンバロ、オルガン奏者でありながら、BCJ(バッハ・コレギウム・ジャパン)
   を設立、音楽監督に就いています。特にバッハの演奏においては国内外から高い評 
   価を得ていまして、今や世界屈指のバッハ演奏家と言えます。          
   バッハの「教会カンタータ」集の全曲録音(CD55枚)という偉業も成し遂げ、 
   現在も精力的に活動しています。                       

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   ・楽器演奏家 ・シギスヴァルト・クイケン  ・ビルスマ  ・シュタイアー ・リュビモフ    
          ・ファウスト  ・鈴木秀美
                            
                

  ・シギスヴァルト・クイケン(1944〜) ベルギー
   CDでは「S・クイケン」と表記されています。自身はバロック・ヴァイオリニス 
   トで、バロック・チェロ奏者である、兄のヴィーラント・クイケン、リコーダー奏 
   者である、弟のバルトルト・クイケンと共に、「クイケン3兄弟」として知られて 
   います。「ラ・プティット・バンド」や「クイケン弦楽四重奏団」を結成し、レオ 
   ンハルトと親交があったことも知られています。                
   かつてはバロック時代、古典派中心でしたが、ロマン派や印象派までレパートリー 
   を広げ、現在も活躍中です。                         

  ・ビルスマ(1934〜2019) オランダ
   元々は現代楽器のチェリストでしたが、バロック・チェロの先駆者となり、世界的 
   な名手として知られるようになりました。室内楽においては「ラルキブデッリ」を 
   主宰し、多くの名盤を遺しました。ノリントンやブリュッヘンの古楽器演奏をはじ 
   め、現代楽器の演奏にも大きな影響を与えたと言われている、古楽器演奏の第一人 
   者の一人です。                               

  ・シュタイアー(1955〜) ドイツ
   従来は、古楽器オーケストラの客演フォルテピアノ奏者でしたが、現在はソリスト 
   として活躍、多くの名盤を残しています。                   
   レパートリーはバロック音楽からロマン派まで幅広く、チェンバロ曲、協奏曲、室 
   内楽曲、そしてリートと呼ばれる歌曲の伴奏においても活躍中です。       

  ・リュビモフ(1944〜) ロシア
   フォルテピアノ、チェンバロ奏者です。西欧の現代音楽を旧ソ連で演奏したことで 
   国内に拘束されていた際、古楽器演奏に打ち込みました。            
   モスクワ・バロック四重奏団、モスクワ室内楽アカデミーの創立にも貢献しました。
   現在も精力的に活動しています。                       

  ・ファウスト(1972〜) ドイツ
   詳しくは「名弦楽器奏者」の項で。現在世界屈指の現代楽器のヴァイオリニストで 
   すが、古楽器演奏をすることもあります。いわゆる「二刀流」のヴァイオリニスト 
   です。                                   

  ・鈴木秀美(1957〜) 日本
   鈴木雅明の弟で、妻には声楽家の鈴木美登里がいます。当初は現代楽器のチェリス 
   トでしたが、バロック・チェロの巨匠、ビルスマ(前述)に師事し、古楽器演奏を 
   始めました。現在はバロック・チェリストとして兄が音楽監督を務めるBCJに参 
   加するかたわら、指揮者業も行っています。                  

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   ・楽団    ・ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス(アーノンクール)  ・18世紀オーケストラ(ブリュッヘン)   
          ・ロンドン・クラシカル・プレイヤーズ(ノリントン)  ・チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団(ジンマン)  
          ・エンシェント室内管弦楽団(ホグウッド、エガー)  ・イギリス・バロック管弦楽団(ガーディナー)  
          ・オルケストル・レヴォルショネール・エ・ロマンティーク(ガーディナー)  ・アムステルダム・バロック管弦楽団(コープマン)   
          ・ラ・プティットバンド(S・クイケン)  ・クイケン弦楽四重奏団(S・クイケン)  ・アニマ・エテルナ(インマゼール)
          ・バッハ・コレギウム・ジャパン(鈴木雅明)・イングリッシュ・コンサート(ピノック)  ・ベルリン古楽アカデミー


                                            





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